NPhA 26年度調剤報酬で緊急要望 門前立地減算「断固撤回求める」医療モール集中率「激変緩和を」
公開日時 2026/02/24 06:30

日本保険薬局協会(NPhA)の三木田慎也会長は2月20日、緊急会見に臨み、2026年度調剤報酬改定で中医協答申がなされ、新設された門前薬局等立地依存減算について「断固として撤回を求める」とする緊急要望書を取りまとめたことを明らかにした。過去の最高裁での違憲判決も引き合いに、距離や立地で制限を加える方法は「実質的な参入規制」と牽制。医療モール内の複数の医療機関を一つとして集中率をカウントする変更がなされることにも見直しを主張した。既存の薬局に対して、定義変更的によって事後的にペナルティを科すことは、「行政法上の“不利益訴求”に該当し、法的安定性を著しく損なう」として、激変緩和措置を求めた。3月5日に予定される告示までの間、厚労関連議員への要望を含めて「色々活動して参りたい」と強い姿勢を示した。
要望書では、「特定の薬局の形態を狙い撃ちした措置は、“不公平・不合理”かつ“時代逆行”であり、過度な行政介入によって市場競争とイノベーションを停滞させ、最終的に国民(患者)の不利益となるため、見直しを強く求める」と強調している。
今改定では、医療モールを含め、医療機関の近隣の薬局に厳しい点数設計となっているが、「利便性を求める患者ニーズを無視している」と指摘。医療DXが進展する中で、場所を問わずに薬局機能を発揮できる中で、「立地や集中率といった外形的な条件をもって評価を下げる手法は、時代の変化に逆行している」と主張した。
◎門前立地減算「最高裁判決の精神に反する実質的な参入規制」
特に、門前薬局等立地依存減算については、「断固として撤回を求める」と強い言葉で迫った。門前薬局等立地依存減算は、都市部密集地域や医療モールなどに立地し、集中率の高い新規開設薬局に対し、15点減算するという点数。三木田会長は、1975年の薬局距離制限違憲判決を引き合いに、「職業選択の自由の侵害ということで、距離や立地をもって経営上の制裁を加える手法は、形を変えた参入規制と考えている。司法の精神にもとる施策と言わざるを得ない」と反発した。
現実的に出店規制につながることで、「結果として、既存の薬局を守ることにつながる」と指摘。新たなプレイヤーが参入しないことで、結果的に市場競争を阻害してイノベーションを阻害するということにつながると説明。「競争のない世界では、結果的に患者さんの利益が失われていく」と主張した。
◎医療モールの▲17点は「懲罰的」 行政法上の不利益遡及に該当
医療モール内の複数の医療機関を一つとして集中率をカウントする変更がなされることについても見直しを迫った。医療モールでは実質、集中率を85%以下にすることは構造上不可能だと説明。区分が調剤基本料3-ハ(37点)から3-ロ(20点)に変更され、即座に▲17点の大幅な減額が強いられることになる。一方で、同様に集中率の高い調剤基本料1も集中率に焦点が当たり、「都市部において、処方箋受付回数が600回超1800回以下かつ処方箋集中率が85%超」では調剤基本料2とされる措置が行われたものの、「当面の間、適用しない」とされた。調剤基本料1は面分業推進を理由に、点数が引き上げられており(45点→47点)、事実上既存薬局では「プラス2点」されることになる。このたえ、“不公平・不合理”であると主張した。
三木田会長は、「基本料 1 は従前どおり、医療モールや施設処方応需には新たにマイナス 17点という懲罰的なものだ」と指摘。医療モールは全国に約3000軒あるとしたうえで、「それらも含めて過去に遡った不利益な遡及は行政法上の“不利益遡及”に該当する」と強調した。「NPhAとしては敷地内薬局でも同様の仕打ちを受けた」として、「ルール変更後に行うのは理解できるが、既存薬局まで含めて過去に遡って減算することは到底受け入れがたい」と訴えた。また、「事業を行う時、数年というタームで投資するが、突然変わってしまうと予見可能性がない」ことにも課題認識を示した。
◎「実質的なマイナス改定」
26年度診療報酬は本体プラス3.09%で決着したが、「実質的なマイナス改定」との受け止めも示した。三木田会長は、賃金や物価高などによる引上げもあったが、「皆プラス改定を期待したが、蓋を開けると残念ながらマイナスになっているのが実態だ」と説明。「どうやって(社員の)給料を上げるんだろうと経営者は皆悩んでいる」と吐露した。
3月5日も告示が予定されるが、「今改定は理不尽な変更がなされている。この要望がどこまで届くか活動していく。高市政権も予算の年度内成立それに向かって努力している。我々もその精神で臨んでいきたい」と話した。
◎予見可能性を無視したプロセスにも問題意識 日薬の情報共有にも不信感露わ
NPhAは不透明な決定プロセスがなされたことにも問題意識を表明。薬局経営に大きな打撃を与えるにもかかわらず答申直前の1月になって示されたことは「予見可能性を無視したやり方で、行政手続きの観点からも課題だ」と指摘した。
中医協には診療側委員として、日本薬剤師会の代表が参画しているが、三木田会長は「日薬から中医協での議論という切り口での情報共有はあまり得られていない」と吐露。日薬との関係は、「連携して地域のために」としながらも、「議論を聞いていると、“チェーン叩き”みたいな対立構造が作られていると感じる節もある。私たちも日薬の会員であるが、会員の利益は、扱いとして疑わざるを得ない」と不信感を露わにした。