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【ASCO速報】KRAS野生型の転移性結腸直腸がん   FOLFIRI併用下でベバシズマブに比べセツキシマブ が全生存を向上 ORRに有意差なし

公開日時 2013/06/03 07:45

KRASが野生型の転移性結腸直腸がん患者において、FOLFIRIとセツキシマブの併用による有効性は、FOLFIRIベバシズマブの併用に比べ、主要評価である客観奏効率(ORR)では有意差はみられなかったものの、全生存期間を有意に延長することが、FIRE-3試験の結果から明らかになった。ドイツ・Ludwig-Maximilians University of MunichのSebastian Stintzing氏が、6月1日から開幕した米国臨床腫瘍学会(ASCO)のOral Abstract Sessionで、1日発表した。


試験は、ドイツ、オーストリアの医療機関150施設から、KRAS野生型の転移性結腸直腸がん患者を登録した。登録条件は、ECOG PSは0~2、補助療法が試験登録から6カ月前までに完了している患者も含まれた。ITT解析対象例は592例で、そのうち、ベースライン後に化学療法を3サイクル終了しCTスキャンを1回実施した症例526例を、事前に奏効の評価可能な症例と規定した。ファーストライン治療として、1対1の割合で、▽FOLFIRI(フォリン酸、5-フルオロウラシル、イリノテカン)とセツキシマブ(初回用量400 mg/㎡、120分静注、その後1週間毎に250 mg/㎡、60分静注)の併用(ITT解析対象例:297例、奏効評価可能例:255例)▽FOLFIRIとベバシズマブ(5 mg/kg、30~90分静注)の併用(ITT解析対象例:295例、奏効評価可能例:271例)の被験者群に割り付けた。


主要評価項目は、ORR(mRECST1.0に基づき試験担当医が評価)、副次評価項目は無増悪生存(PFS)、全生存(OS)、治療成功期間(TFS)、腫瘍縮小率、根治を目的とした肝転移の二次切除、安全性および忍容性とした。追跡期間(中央値)は、セツキシマブ群33.0カ月、ベバシズマブ群39.0カ月で有意差はみられなかった(p=0.540)。


ベースラインの患者背景において、、男性はセツキシマブ群72.1%、ベバシズマブ群66.4%、年齢(中央値)はセツキシマブ群64.0歳、ベバシズマブ群65.0歳、ECOGPS0がセツキシマブ群51.9%、ベバシズマブ群53.6%、1が45.8%、45.1%だった。原発巣の部位は、結腸がセツキシマブ群56.6%、ベバシズマブ群60.0%、直腸がセツキシマブ群38.7%、ベバシズマブ群35.9%、転移部位が肝臓のみはセツキシマブ群31.3%、ベバシズマブ群31.9%、転移部位が2カ所以上はセツキシマブ群59.9%、ベバシズマブ群58.3%、前治療歴は手術がセツキシマブ群83.8%、ベバシズマブ群85.4%、補助化学療法は22.1%、18.9%、放射線による事前治療は13.1%、13.4%などで、2群間に大きな差はみられなかった。


治療期間(中央値)は、セツキシマブ群4.8カ月、ベバシズマブ群5.3カ月で有意な群間差はみられなかったが(p=0.112)、治療サイクル数はセツキシマブ群が10サイクルに対し、ベバシズマブ群は12サイクルで、有意差がみられた(p=0.014)。


主要評価項目であるORRは、ITT症例でベバシズマブ群58.0%に対し、セツキシマブ群62.0%で有意差は見られなかった(オッズ比(OR):1.18、95% CI: 0.85 – 1.64、p=0.183)。しかし、事前に定義した奏効の評価可能症例では、ベバシズマブ群の63.1%に対し、セツキシマブ群72.2%で、有意差が認められた(OR:1.52、95% CI: 1.05 – 2.19、p=0.017)。


その他の奏効率はITT解析で、完全奏効がベバシズマブ群1.4%に対しセツキシマブ群4.4%で有意に多く、部分奏効はベバシズマブ群が56.6%に対してセツキシマブ群は57.8%と同等だった。一方、ベバシズマブ群では疾患安定が有意に高く28.8%、セツキシマブ群は17.5%だった。奏効を評価出来なかった割合は、ベバシズマブ群が7.8%、セツキシマブ群が13.1%だった。


PFSはベバシズマブ群が10.3カ月、セツキシマブ群は10.0カ月で群間差はなかった(ハザード比1.06、95% CI: 0.88 - 1.26、p=0.547)。


◎OSはベバシズマブ群25.0カ月に対し、セツキシマブ群は28.7カ月


一方、OSは、ベバシズマブ群が25.0カ月だったのに対しセツキシマブ群は28.7カ月で、セツキシマブ群が有意に延長していた(ハザード比:0.77、95% CI: 0.62 - 0.96、p=0.017)。探索的研究として実施したOSに関するサブ解析においても、一貫してセツキシマブ群が有意な成績を示した。


二次治療を実施した割合は、ベバシズマブ群が61.7%、セツキシマブ群が65.7%で有意差はなく(p=0.347)、抗がん治療の種類は、ベバシズマブがセツキシマブ群では48.2%と多く(ベバシズマブ群では17.8%)、抗EGFRはベバシズマブ群が42.9%と多かった(セツキシマブ群では14.4%)。


血液関連の有害事象に顕著な群間差はなく、白血球減少はセツキシマブ群が66.7%(グレード3以上12.8%)、ベバシズマブ群66.8%(グレード3以上11.2%)、貧血はセツキシマブ群87.9%(グレード3以上2.4%)、ベバシズマブ群90.9%(グレード3以上1.4%)、好中球減少はセツキシマブ群61.3%(グレード3以上24.2%)、ベバシズマブ群60.3%(グレード3以上22.8%)、血小板減少症はセツキシマブ群25.6%(グレード3以上0.3%)、ベバシズマブ群23.4%(グレード3以上0.3%)だった。


非血液関連の有害事象で群間差があったのは、吐き気(セツキシマブ群48.2% vs ベバシズマブ群62.4%、p=0.0005)、嘔吐(セツキシマブ群24.6% vs ベバシズマブ群32.9%、p=0.03)、手足症候群(セツキシマブ群26.6% vs ベバシズマブ群14.2%、p=0.0002)だった。グレード3以上で有意な群間差があったのは、手足症候群だけであった(セツキシマブ群3.4% vs ベバシズマブ群0.7%、p=0.037)。


セツキシマブに関連した顕著な有害事象は、ざ瘡様発疹(セツキシマブ群77.4% vs ベバシズマブ群7.8%、p<0.0001)、低マグネシウム血症(セツキシマブ群63.3% vs ベバシズマブ群39.7%、p=0.007)、爪周囲炎(セツキシマブ群37.4% vs ベバシズマブ群9.2%、p<0.0001)、落屑(セツキシマブ群35.4% vs ベバシズマブ群11.5%、p<0.0001)など。ベバシズマブ関連の顕著な有害事象は、高血圧(セツキシマブ群21.2% vs ベバシズマブ群38.3%、p<0.001)、出血(セツキシマブ群21.2% vs ベバシズマブ群28.5%、p=0.046)などであった。


PFSに延長が見られなかったにも関わらず、OSがセツキシマブ群で有意に延長していたことについて研究グループは、過去に行われたCRYSTAL試験のデータから、腫瘍サイズの縮小がPFSよりOSの予測を可能にしていたことから、現在CTスキャンのデータを中央独立検査機関によって腫瘍量の変化を分析中であるとした。


Stintzing氏は、FIRE-3試験はKRAS野生型のmCRC患者において、FOLFIRI+セツキシマブの併用療法とFOLFIRI+ベバシズマブの併用療法を初めて直接比較検討した試験であると強調した。その上で、FOLFIRI+セツキシマブ併用によるファーストライン治療が、臨床的に意義のある有意差をもって全生存を3.7ヶ月延長したと結論した。有害事象はどちらの併用も予想通りであり、管理可能であったとも述べた。


同試験発表を論評した、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のEmily Bergsland氏は、ITT解析において主要評価項目であるORRに有意差はなく、奏効が評価可能な症例にのみ有意差があったことに触れ、解析から除外された症例数には群間差があり(セツキシマブ群42例、ベバシズマブ群24例、p=0.026)、「評価可能な症例」についての解釈には注意が必要であると指摘した。また、維持療法に関する情報が欠落していることや、OSに群間差が現れ始めた24ヶ月以降に何が起こったのかについて、疑問が残るとした。


ORRやPFSで有意差がないにも関わらず、OSが向上した理由について、ファーストライン治療はその後の生物学的要因に影響を与える点や、代替評価項目が標的治療により異なる可能性、OSでの向上は検討療法以外の影響を受ける(増悪後の治療や治療中断理由、mCRC以外の死因など)ことなどを挙げた。


その上で、より明確な結論を導くには、未治療進行性CRCまたはmCRCを対象に、FOLFOXまたはFOLFIRI+セツキシマブとFOLFOXまたはFOLFIRI+ベバシズマブを比較検討する、CALGB/SWOG #80405試験の結果(2013年12月発表予定)が待たれるとした。同試験では主要評価項目をOSに設定している。

 


 


 


 

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