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日本高血圧学会 滋賀医大の臨床研究「SMART」 高血圧GL2009から削除

公開日時 2014/01/30 03:52

高血圧治療薬でARBのディオバン(一般名・バルサルタン)に関する滋賀医科大学の臨床研究「SMART」(主任研究者:柏木厚典・同大学理事兼副学長兼附属病院長)の論文を米国糖尿病学会誌「Diabetes Care」が1月17日付で撤回したことを受け、日本高血圧学会(理事長:堀内正嗣・愛媛大学大学院医学系研究科分子心血管生物・薬理学教授)の理事会は「高血圧治療ガイドライン2009」内で同研究論文に言及した項目を削除することを決定した。


今回の削除はアメリカ糖尿病学会誌からの撤回通知が論文著者から学会側に連絡があったことを受けたもので、決定は1月24日付。同学会では既に同様にガイドラインに引用されていたディオバンに関する東京慈恵会医科大学のJikei Heart Studyについても、データ操作の疑いが高いとした同大学の中間報告と論文撤回宣言を受け、昨年8月6日付で同様にガイドライン内のJikei Heart Studyに関する項目を削除しており、今回はこれに続く措置となる。


削除はガイドライン冒頭の略語一覧、第6章の「臓器障害を合併する高血圧」の「3、腎疾患」の「3)糖尿病性腎症状」の項目内、第7章の「他疾患を合併する高血圧」の「1.糖尿病」の項目内、引用文献一覧、主要高血圧治療薬一覧の「バルサルタン」の説明内の全部で5か所。同ガイドラインの英文論文が掲載された2009年の英文学会誌「Hypertension Research」についても同様に措置をとる。


また、「SMART」に関しては日本腎臓学会(理事長:松尾清一・名古屋大学大学院医学系研究科腎臓内科学教授)が4年振りに改訂し、昨年8月に公表した「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013」の第4章「CKDと高血圧・心血管合併症」のクリニカルクエスチョン4「CKD における高血圧治療の第一選択薬は何が推奨されるか?」の解説でも「ARBは、蛋白尿の減少や腎機能障害の進行抑制に優れていることが示されている」との記述の根拠の1つとして例示されているが、これについても近く削除される見通しと伝えられている。


SMART研究は、高血圧を合併した2型糖尿病患者150例で微量アルブミン尿の改善作用をARBのバルサルタンとCCBのアムロジピンで比較した無作為オープンラベル多施設共同比較試験。論文発表された結果では微量アルブミン尿(アルブミン/クレアチニン比)の変化率がバルサルタン群で有意に改善したとしていた。


なお、今回の事態を受け、主任研究者だった柏木氏は既に大学に対して責任の重要性に鑑み辞任の意向を表明しているが、同大学総務課は「まだ現時点では本人から正式な辞表は提出されておらず、正式な辞任時期は不明」としている。

 


 

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