【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

ヨーロピアン・ノートブック:医療費抑制策とIPO熱の高まり

公開日時 2014/05/16 03:50

多くの欧州の国々では、景気後退から回復途上にあるが、緊縮政策を完全には緩和していない。しかし、一方では、株式市場でのIPO(新規株式公開)の動きも活発で今後の欧州医薬品市場の動向が注目される。


フランスのMarisol Touraine保健相は4月25日、2017年までの3年間で薬剤費35億ドルを含み100億ドルを上限とする医療費削減を行うと発表した。同保健相は、「各専門分野で処方の質を改善するために医師に推奨する薬剤のリストを作成する」と発言、先発品の薬価を切り下げ、後発医薬品(GE)の使用を促進する考えを示した。
フランスの製薬団体LEEMは、この計画に直ちに反発、医療費を削減するために薬剤費は過去3年間でも不均等に削減のターゲットとされてきたとし、さらなる薬価切り下げはフランスで10万人の雇用に貢献している業界の停滞を招くと警告した。


イタリアでは、Matteo Renzi新首相は、4月28日、同国の医療費の削減は行わないと明言したが、一方で、中央政府の物品・サービスの調達を削減する計画を明らかにした。この動きにより、医療保険面で間接的に患者への医療品供給に影響するものと思われる。


ポルトガルでは、保健相と全ポルトガル薬剤師協会がGE調剤のインセンティブについて合意をした。GEの処方数ならびに調剤割合を引き上げることは医療費高騰に直面する諸国の好む政策である。スペインは、安価な通常のGEよりもブランデッドGEを好んできたが、緊縮財政はこの傾向を変えた。スペインの保健相は、4月30日、2011年には調剤の数量ベースで34%だったGEが約46%になったことを明らかにした。スペインの地方自治体は薬剤償還を価値に応じた支払方法にすることを模索している。カタロニア地区は、患者アウトカムに基づく新規の支払いモデルを開発することでロシュと合意した。


しかし、このような医療保険緊縮策を背景にしているが、過去2-3年の米国ほどではないものの、欧州でもIPO(新規株式公開)熱が高まっている。


4月には、欧州の代表的CMO(医薬品製造受託機関)Recipharm(本社:スェーデン)がストックホルムのNASDAQ OMXに上場、4月3日にIPOで8億1500万スェーデンクローネ(1億2500万ドル)を調達した。4月4日には、フランスのバイオテク企業Genticel SAがパリおよびブラッセルのEuronext市場に上場、3450万ユーロを調達した。同社は、ヒトパピローマウイルス治療ワクチンProCervixをフェーズII開発中である。


4月14日には、フランスのTxCell SAがパリのEuronext市場に上場、1620万ユーロを調達した。同社は、細胞をベースとした免疫療法に特化している。また、4月16日、同じフランスのGenfitもパリのEuronext市場に上場した。同社は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を適応としたGFT-505をフェーズIIb試験中だ。さらにイタリアの同族会社であるRottapharmは4月29日にBorasa Italianoという株式市場に上場した。同社はブランデッドGEを主力品としている。


The Pink Sheet 5月5日号

 

 

 


 

プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
関連ファイル

関連するファイルはありません。

【MixOnline】キーワードバナー
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(0)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

記事はありません。
ボタン追加
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー