政府専門調査会 必要病床数 25年までに最大20万床削減
公開日時 2015/06/17 03:50
政府の「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」(会長・永井良三自治医科大学学長)は6月15日、医療機能別病床数の推計に関する第一次報告を公表した。それによると2025年段階で必要な病床数は115万~119万床程度で最大で20万床程度削減する必要があるとした。一方で地域包括ケアが目指す在宅医療を想定した患者数は、介護施設や高齢者住宅を含めて2025年段階で29.7万~33.7万人程度になると推計した。
厚労省は地域包括ケアシステムの構築をめざし、2015年度から2年計画で都道府県単位に「地域医療構想」の策定に着手する。地域医療構想では、地域のニーズに応じた医療提供体制を構築するため、2次医療圏を原則とした構想区域を設定し、2025年に向けた人口の増減を加味しながら必要病床数を算出する。その上で構想区域内における医療機関の機能と病床数を見直す方針を示している。
2025年の必要病床数の内訳は、高度急性期13.0万床(病院機能報告に基づく14年7月段階の病床数=19.1万床)、急性期40.1万床(同=58.1万床)、回復期37.5万床(同=11.0万床)、慢性期24.2万~28.5万床(同=35.2万床)。
この日発表されたデータは、都道府県ごとに2025年の医療機能必要病床数を推計した。医療機関所在地別に都道府県のデータを見ると、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、沖縄などの大都市圏で病床が不足する一方、北海道、新潟、富山、石川、九州、四国などで病床が過剰となる。
一方、2025年段階での医療機関の所在地と患者の住居地を比較したところ、大都市部など一部地域で患者の流出入が起こる可能性を指摘した。患者が流入する地域は、東京、大阪、福岡などで、逆にその周辺の神奈川、埼玉、兵庫などは患者が流出する地域となった。
専門調査会は、介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療などで追加的に対応する患者数が大都市を中心に多くなると指摘。その上で、地域住民の安心を確保しながら、「今後10年をかけて介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療等の医療・介護ネットワークの構築と併行して推進」することが求められるとした。