「世界のFDA」をつくった女性科学者
公開日時 2015/09/30 00:00
メディカル・ジャーナリスト西村由美子2015年8月7日、米国FDAの伝説というべきFrancesKelsey博士が101歳の生涯を閉じた。米国政府に貢献するために暮らし続けたワシントンDCから、100歳の誕生日を機に、生まれ故郷カナダのオンタリオ州ロンドンに転居して1年目、科学者として真摯に生き、医薬品の安全に生涯を捧げた人生であった。米国をサリドマイド薬害から守った立役者1960年9月、米国FDA入省直後のFrancesKelsey博士はサリドマイドの米国市場へのライセンシング認可申請の安全審査を担当することになった。サリドマイドは1957年にドイツのグリュネール社が鎮静・催眠薬として開発し、市場に出てからは妊婦のつわり治療薬としても広く使用され、1960年当時にはすでに世界数十カ国で販売...