米FDA NSCLC治療薬Keytrudaを承認
公開日時 2015/10/08 03:50
米食品医薬品局(FDA)は、10月2日、米メルクの抗PD-1抗体製剤Keytruda(ペンブロリズマブ)について、進行(転移)非小細胞肺がん(NSCLC)の適応で承認した。
同剤の適応は、他剤による治療後進行し、かつPD-L1と呼ばれるタンパクが発現しているNSCLC。このため、今回、PD-L1の発現をテストするコンパニオン診断キットであるPD-L1 IHC22C3pharmDxも承認された。同診断薬はNSCLCにおけるPD-L1検出のために設計された初の診断キットである。
同剤は、腫瘍に対する免疫システムの活性を抑制するPD-1受容体の働きを阻害する作用を持つ。肺がんは米国でのがんによる死亡原因のトップで、米国がん研究所(NCI)によると、2015年には新規に22万1200人ががんと診断され、15万8040人ががんで死亡すると見込まれる。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「(がんの)根本にある分子経路と如何にがんと免疫システムとが相関するかの理解の深化が薬剤の重要な進歩を導いている」と指摘したうえで、「本日のKeytrudaの承認は、医師にこの薬剤から最も恩恵を受けられる特定の患者を標的とする力を与える」と評価した。FDAは、同剤を画期的治療薬に指定すると同時に迅速審査の対象とした。
Merck Research LaboratoriesのRoger M Perimutter所長は、「本日の承認は、がん患者に免疫療法の恩恵をもたらすために我々が深く関与してきたことの成果である」と評価したうえで、「世界中の科学者や医者と一緒にこの痛ましい疾患に苦しむ患者の生活を改善することに尽力を尽くしたい」と今後への意欲を示した。
コンパニオン診断キットPD-L1 IHC22C3pharmDxは、Dako North America Inc(本社:カリフォルニア州カーピンテリア)が販売する。同社は、化学分析機器・診断機器企業Agilent Technology Companyの子会社。AgilentはDakoを2012年に買収、同社内にDiagnostic and Genomics Groupを設置した。AgilentのDiagnostic and Genomics GroupのJacob Thaysen事業部長は、「個人は同じ治療薬に対してしばしば異なった反応をするので、科学者は、PD-L1 IHC22C3pharmDxがその役割を果たすような個別化医療に重きを置いてきた」と説明したうえで、「これは免疫腫瘍学の新時代を示すもの。我々は、Agilentががん治療の進歩に関与できたことにエキサイトしている」と話した。