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アステラス製薬・岡村社長 「想定を上回る好調な進捗」で通期は上方修正 重点製品拡大とコスト最適化

公開日時 2025/10/31 04:51
アステラス製薬の岡村直樹代表取締役社長CEOは10月30日、2025年度第2四半期(中間期)決算説明会に臨み、通期業績予想を売上収益、コア営業利益とも上方修正すると明かした。売上収益は1000億円、コアおよびフルの営業利益は800億円それぞれ上方修正するというもの。岡村社長は。「重点戦略製品が引き続き力強く成長し、売上収益が大きく増加した。為替影響を除いた実質的な成長は前同比12%増となった」と報告。コア営業利益も、重点戦略製品の拡大とコスト構造の最適化などで為替影響を除いた実質的な成長は前同比57%増となり、「想定を上回る好調な進捗を踏まえて連結通期業績を上方修正した」と説明した。

同社の第2四半期業績が好調だった背景は、「重点戦略製品が2200億円以上に拡大し、特にパドセブとビロイの力強い成長が牽引したことにある」と岡村社長CEOは強調する。なかでもパドセブの2Q実績は、前年同期比36%増の1025億円。為替影響を外した実質成長率は39%増となった。成長理由について岡村社長は、転移性尿路上皮がんの1次治療がグローバル成長を牽引しているほか、一次治療の承認国も25か国まで拡大していることなどをあげた。その上で通期予想についても、「欧州、米国で好調なことから期初から100億円上方修正し、通期で2100億円を見込んでいる」と述べた。

◎パドセブのEV-303 試験「極めて良好な結果」 売上アップサイドの可能性検討へ

また、今年10月開催の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されたパドセブのEV-303 試験の結果が、「私たちの想定を上回る、極めて良好な結果を示した」と指摘。すでに米国FDAにシスプラチン不適合のMIBC(筋層浸潤性膀胱がん)患者に対する追加適応を申請していることから、「今回得られた想定以上のデータを受けて、ピークも含めた売り上げ見通しへのアップサイドの可能性について分析を進めている。精査が完了次第、改めて最新の見通しをお伝えする」と強調した。

◎SMTのコスト最適化 研開費は臨床試験を含む開発機能の内製化に伴う外注費削減など

また、第2四半期業績における「Sustainable Margin Transformation」(SMT)の取り組み状況も示した。同社は主力品イクスタンジの LOE(Loss of Exclusivity:特許切れ)までに全社レベルで1200~1500億円のコスト最適化を追求している。岡村社長は、25年度第2四半期業績におけるSMTのコスト最適化は、「想定以上の進捗で約160億円のコスト最適化を実現した。販管費率は対前同で3.1ppt改善した」と明かした。内訳は、販管費1.3%減(為替影響を除くと1.1%増)で、対売上収益比率の販管費率は26.9%。岡村社長は、「継続したグローバルでの組織再編や成熟製品の費用削減、ITインフラの合理化などにより約70億円のコスト最適化を実現した」と述べた。

研究開発費は、前年同期比で16.9%減(同14.6%減)で、研究開発費率は13.9%だった。臨床試験を含む開発機能の内製化に伴う外注費削減などが進み約70億円のコスト最適化を行った」とした。その他に、重点戦略製品の大規模臨床試験の完了により開発費用が約60億円減少したほか、前年度に計上した一過性の共同開発費用支払いの反動なども前年同期比で費用が減少した要因となったとした。

◎年度後半はプライマリーフォーカスの進展で投資拡大を見込む

一方で、「年度後半はプライマリーフォーカスの進展に伴う投資の拡大を見込んでいる」と強調。「今年4月に研究開発組織を再編し、研究から開発まで一気通貫で進める体制を整えた。オペレーションの効率化を追求することで、将来に向けた必要な投資を継続的に行うサイクルを生み出している」と述べた。

◎米トランプ大統領の最恵国価格制度(MFN価格) 「いまは状況をモニターしている」

岡村社長はまた、米トランプ大統領の進める最恵国価格制度(MFN価格)について、欧米メガファーマ17社に大統領が手紙(書簡)を送ったことをあげながら、「ファイザーが当局と合意したことは承知しているが、細かいことは分からないまでも、きっとこういうことをやっているのではないかと想像はできる」と指摘。「私たちとしては、(大統領から)手紙をもらうまで何も対応しないとか、過剰に反応して、先回りして、いろんなことをやってしまうとかではなく、やはり世の中の動きをちゃんとモニターしながら、必要なところで必要な手を打っていくというふうに、いまは考えている」とコメントした。また、社内の専門家のチームを作って状況をモニターしていると明かしながら、「なにか動くタイミングとなれば経営会議のメンバーで議論を尽くした上で、最善の策を打っていくことになる」と見通した。

【25年度第2四半期連結業績 (前年同期比) 通期予想(前年同期比)】
売上高 1兆301億1400万円(10.1%増) 2兆300億円(6.2%増)←修正前1兆9300億円
営業利益 1993億7800万円(112.8%増) 2400億円(484.8%増)←修正前1600億円
親会社帰属純利益 1476億3500万円(100.8%増) 1800億円(254.7%増)←修正前1300億円

【25年度第2四半期のグローバル主要製品売上(前年同期実績) 通期予想、億円】
XTANDI 4770(4517) 9380←修正前8680
PADCEV 1025(754) 2100←修正前2000
IZERVAY 341(281) 800←修正前1050
VEOZAH 229(148) 500
VYLOY 266(12) 600←修正前400
XOSPATA 344(348) 700←修正前750
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 865(775) 1630←修正前1340
プログラフ 1032(1039) 1960←修正前1860

【25年度第2四半期の国内主要製品売上(前年同期実績) 通期予想、億円】
XTANDI 321(288) 640←修正前600
PADCEV 101(49) 220←修正前270
VYLOY 64(12) 150←修正前140
XOSPATA 25(24) 50←修正前60
ベタニス 111(125) 230←修正前240
プログラフ(グラセプター含む) 93(120) 180
スーグラファミリー  122(135) 240
ビーリンサイト 73(65) 非開示
イベニティ 343(274) 非開示

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