【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

新薬2製品が承認へ 塩野義製薬の抗うつ薬・ザズベイは添文修正が必要に 薬事審・第一部会が了承

公開日時 2025/10/31 04:48
厚生労働省の薬事審議会・医薬品第一部会は10月30日、塩野義製薬の新規作用機序の抗うつ薬・ザズベイカプセル(一般名:ズラノロン)など新薬2製品の承認の可否を審議し、承認を了承した。ただ、厚労省の担当者によると、この日の部会では、「ザズベイの使い方に関する情報提供について、いろいろな意見があった」といい、添付文書の効能・効果及び用法・用量に関連する注意の書きぶりを修正して、次回部会に報告することになった。

このほか審議品目では、田辺三菱製薬のユプリズナのIgG4関連疾患に係る効能追加の承認が了承された。報告品目は1製品。厚労省から、ノバルティスファーマのベオビュについて、①滲出型加齢黄斑変性に関する用量追加、②増殖糖尿病網膜症の効能・用量追加――を承認する方針が報告された。

新薬の承認時期に関する課長通知(令和6年4月24日)に基づき、この日の部会を通過した一変品目は11月、薬価収載に関係する品目は12月の承認が見込まれる。ザズベイの承認時期について、厚労省担当者は「承認を可とする審議結果が出ているので、12月の承認を予定している。宿題として添付文書に関する報告を次の部会でするという形になっている」と説明した。

【審議品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
ザズベイカプセル30mg(ズラノロン、塩野義製薬):「うつ病・うつ状態」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。

GABA-A受容体ポジティブアロステリックモジュレーターであり、既存の抗うつ薬とは異なる新規作用機序医薬品。米Sage社(25年7月にSupernus社により買収)からの導入品。塩野義製薬は、国内で実施した中等症から重症のうつ病患者を対象とした第3相試験の結果に基づき、24年9月に承認申請した。海外では、大うつ病性障害に対して承認されている国又は地域はない。

用法・用量は「通常、成人には30mgを1日1回14日間夕食後に経口投与する。なお、本剤による治療を再度行う場合には、投与終了から6週間以上の間隔をあけること」と、2週間の服用で効果判定が可能な設定となっている。また、漸増療法など用量調節が不要な設定となっていることも特徴といえる。

厚労省の担当者は、部会後ブリーフィングで、▽他剤からの切り替え、▽他剤への上乗せ(併用)――について、添付文書での注意喚起を修正することになったと説明。「海外と国内において他の抗うつ薬にズラノロンを上乗せする試験が行われているが、上乗せで有効性を示すことができていないことを踏まえて、単独投与を前提として注意喚起等をしているが、より慎重な記載を求める意見が出された」という。厚労省は修正した添付文書の内容を次回の部会で報告する。

海外でザズベイは、産後うつ病に対して23年8月に米国で承認され、25年8月現在、英国で承認されている。

ユプリズナ点滴静注100mg(イネビリズマブ(遺伝子組換え)、田辺三菱製薬):「IgG4関連疾患の再燃抑制」を効能・効果とする新効能医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。

抗CD19抗体。現在、視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)に係る適応を持っており、今回、IgG4関連疾患に係る適応を追加する。用法・用量は同じ。

IgG4関連疾患は、B細胞活性化によるIgG4陽性形質細胞が全身に浸潤し、複数の臓器で腫大、結節・肥厚性病変や線維化を伴う進行性の疾患であり、寛解期と予測不能な疾患再燃を特徴とする。有病率は全世界で10万人中5人と推定されているという。

海外では、NMOSDの再発予防に係る効能・効果で20年6月に米国で初めて承認されて以降、25年6月時点で、欧米を含む40以上の国又は地域で承認されている。IgG4関連疾患に係る効能・効果では、25年9月現在、米国を含む2カ国で承認されている。

【報告品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ベオビュ硝子体内注射用キット120mg/mL(ブロルシズマブ(遺伝子組換え)、ノバルティスファーマ):「〇中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性〇増殖糖尿病網膜症」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和10年3月24日まで)。

眼科用VEGF阻害剤。中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(nAMD)の適応について、現在の導入期の用法・用量は「4週ごとに1回、連続3回硝子体内投与する」となっており、今回、「6週ごとに1回、連続2回硝子体内投与するが、症状により1回追加投与できる」を追加し、選択肢を増やす。

また、現在のnAMDと糖尿病黄斑浮腫(DME)の適応に「増殖糖尿病網膜症(PDR)」を追加する。

海外では、nAMDに対して導入期に6mgを6週間隔で連続2又は3回投与する用法・用量について、欧州において23年6月に承認されている。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(11)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事

一緒に読みたい関連トピックス

MRの存在意義を問い直し
アステラス製薬 松政太郎 氏

医療貢献研究会を立ち上げた現役MRが語るキャリアとは

2025/09/01
今回は、MRとしてキャリアを積み重ねながら、医療貢献研究会を立ち上げ、全国のMRに医療貢献の重要性を発信しているアステラス製薬の松政太郎氏に、「患者貢献への気づき、キャリアに対する考え方・判断軸、並びに今後の展望」についてお話を伺いました。
後期開発品 がん領域に200品目以上 心不全、眼科疾患、精神疾患で新規プロジェクト目立つ
25年8月版 疾患別リスト

後期開発品 がん領域に200品目以上

2025/08/01
ミクス編集部は製薬企業76社(内資系企業48社、外資系企業28社)の国内フェーズ2以降の開発品を調査し、「新薬パイプラインリスト2025年8月版 疾患別」をまとめた。
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー