GE薬協・吉田会長 ジェネリックの将来ビジョン早期公開目指す 毎年薬価改定見据え
公開日時 2017/02/01 03:50
日本ジェネリック製薬協会の吉田逸郎会長(東和薬品代表取締役社長)は1月31日の賀詞交歓会で、薬価の毎年改定の導入を見据え、「早い時期にジェネリック医薬品の将来ビジョンの公開を目指す」と述べた。価格乖離率の大きな製品が薬価の毎年改定の対象品目となる中で、後発医薬品はターゲットの一つとみられている。これまで薬価差により発展してきたビジネスモデルを直撃する可能性が高い。さらに、後発医薬品80%時代の到来が迫る中で、その後の姿を描けなければ業界存続の危機にもつながりかねない。新たなビジネスモデル構築に向け、業界をあげた議論は今や待ったなしの状況と言える。吉田会長は、80%達成後の業界の姿として、日本の保険医療に加え、国際展開なども視野に、“グローバルヘルス”を担う覚悟を示した。
昨年末に、塩崎厚労相など4大臣で決定された「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」では、2年に1回の薬価改定のない狭間の年でも、大手事業者 等を対象に調査を行い、価格乖離の大きな品目について薬価改定を行うことが盛り込まれた。具体的な内容は2017年中に決められることになるが、「一般的に、ジェネリック医薬品は比較的乖離率が大きい。ジェネリック医薬品業界にとって最も影響の大きい項目」との見方を示した。薬価の毎年改定は、業界関係者だけでなく、国民にも分かりやすく受け入れやすい制度が必要との考えを表明。そのためにも、ジェネリック医薬品の将来ビジョンの早期公開を目指すとの考えを示した。
吉田会長は、後発医薬品使用促進について「限られた医療費を効率的に使用することで、医療の質を落とさず財政的に国民の保険医療を守ること」との考えを表明。「日本の保険医療とグローバルヘルスを担う自覚と責任を持ち、引き続きジェネリック医薬品を提供させていただくことで、医療の未来に貢献したい」、「国策である経済の成長戦略において医薬品産業の中でもしっかりとしたポジションを確立させたい」と述べた。
後発医薬品数量シェアは、2016年第二四半期時点で65.1%。経済財政運営と改革の基本方針2015(骨太方針)に中間目標として明記された“17年央に70%以上”について、「目標の到達が現実味を帯びてきた」(吉田会長)。業界団体をあげて、安定供給体制の構築、品質に対する信頼性確保、情報提供体制の強化に取り組んできた結果との見方を示し、「日々の活動を積みあげることで、少しでも早い時期に数量シェア80%目標を達成したい」と意欲をみせた。
◎厚労省・神田医政局長 2017年は激動の一年も「発展の土台を築いた年に」
厚労省医政局の神田裕二局長は、薬価の毎年改定導入を見据え、「後発医薬品に対する影響は非常に大きなものがある」との見方を示した。その上で、「後々になって、2017年は激動の一年ではあったけれど、後発医薬品の使用促進や後発医薬品企業の発展の土台を築いた年であった、と言えるような年にできるよう、皆様の積極的なご提言を期待したい」と述べた。具体的なテーマとして、薬価調査の在り方や、価格帯の設定などをあげ、「業界として積極的な意見を述べていただくことが必要だ。幅広い議論をしながら具体的な内容を決める必要がある」と述べた。