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製薬企業の労働問題 外資系、オーナー企業で頻発か 社外労組に相談増加

公開日時 2017/10/27 03:50

製薬企業での不当な降格・減給や退職勧奨が頻発し、社外の労働組合への相談が相次いでいるようだ。製薬企業での労働問題を多く扱う労働組合「東京管理職ユニオン」の鈴木剛執行委員長は10月26日、厚労省内で行った久光製薬社員の労働問題に関する記者会見で、「最近、製薬企業での不利益取扱いやリストラが頻発している」と述べ、同ユニオンへの相談が増えていることを明らかにした。不利益取扱いが頻発している理由については、後発品の浸透による市場縮小、MR数、他産業に比べて高い給与水準――が背景にあるのではないかとの見方を示した。

鈴木氏は、ルールに基づく早期退職制度を導入・実施している製薬企業もあるとした上で、「特に外資系企業やオーナー企業で非常に労務管理が乱暴ということが共通している。追い出し部屋への配置転換やイジメがまかり通っている」と述べた。現役MRが集団提訴するなどしているアストラゼネカや今回の久光製薬の案件のほか、富士フイルムファーマの複数の現役MRや、マイランEPDの複数の社員から相談を受けているとし、支援していく構えをみせた。

■部長職から一般社員に降格、約40%減額

この日の会見で明らかになった久光製薬の労働問題は、一般用医薬品などを扱う久光アメリカの副社長やマーケティング部長などを歴任した勤続約30年のAさんが、メンタルを病んで約1年間休職し、職場復帰後に3回にわたる降格・減給を受けたというもの。地位確認と減額された差額賃金の支払いを求め、20日に東京地裁に提訴した。

訴状などによると、新規事業の立ち上げや、会社の指示で参加した自己啓発セミナーに出席した後から体調を崩し、適応障害と診断されて休職した。復帰後から繰り返された降格・減給により、現在は本社総務部の一般社員で、賃金は休職前に比べて約40%減となった。

Aさんの現在の仕事は、うがい薬の補充、受付のテレビモニターをオンにする、飲み残しコーヒーが入ったバケツや弁当箱の処理、蛍光灯や空調の管理――など。Aさんは会見で、3回目の降格・減給に関して、「やっている仕事はそれまでと同じなのに(等級、賃金が)落ちた。非常に不愉快極まりない状況」と心境を語った。

代理人弁護士は会見で、「メンタルを病んで休職する人が増えており、復職後はしっかりサポートすべきというのが社会の風潮」と指摘した上で、「(Aさんのケースでは)上司から『休まれたのは会社として大変迷惑』と言われ、経歴とは全く違う職務に置かれた。メンタル面で休職した人が復帰後に降格・減給の目にあっていいのかということを提起したい」と話した。

久光製薬広報部は本誌取材に、今回の提訴について、「コメントは差し控える」と述べた。

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