規制改革が答申 本人同意不要の医療データの二次利用で関連法案27年通常国会提出を 成長戦略に反映も
公開日時 2026/06/30 07:00
政府の規制改革推進会議(議長:冨田哲郎・東日本旅客鉄道相談役)は6月29日、答申をとりまとめた。答申では、本人同意不要で二次利用できる医療データについて、EUのデータ利活用制度(EHDS)を参考に、事業者・研究者等の利用者起点で、対象範囲や利用主体のあり方を具体的に検討するよう提言した。2027年通常国会への法案の提出を目指すことを含め、速やかに必要な措置を講ずるよう求めた。創薬などの成功はAI技術がカギを握る中で、現行の関連法案が「主な制約の一つ」と指摘。法改正を含めて環境整備を進めることで民間投資を呼び込み、革新的新薬の創出などを後押ししたい考え。
高市早苗首相は、「規制・制度改革を日本成長戦略に積極的に取り込み、事業者の予見可能性を高め、官民投資ロードマップの下で、民間投資を最大限引き出す」と表明。速やかに規制改革実施計画を取りまとめ、「特に重要なものについては骨太方針や日本成長戦略に反映をしてください」と指示した。
◎経済成長高める観点からもAI技術の早期社会実装に向けた環境整備を
答申では、AIの利活用が医薬品開発などの成否や付加価値の源泉となっているとしたうえで、「現行の関係法令及びその運用が主な制約の一つとなり、我が国におけるAIや医療等データの利活用の環境は欧米にそん色ない魅力ある環境とは必ずしも言えないのが現状」と指摘した。「経済の成長力を高める」観点を重視し、AI技術の早期社会実装を進めるために、「医療等データの利活用に関する制度及び運用の整備、情報連携基盤の構築等の具体化、被験者保護及び研究力強化等のための倫理審査の適正化、医療分野におけるAI活用の促進などの取組が必要」とした。
◎EHDSを参考に、一次利用と二次利用を一体的に設計 26年夏を目途に結論を
特に、本人同意不要で二次利用できる医療データについては、「事業者・研究者等の利用者起点で特に重要となる事項に関する具体的検討を加速することで、国民の健康増進、より質の高い医療・ケア、医療の技術革新を推進する」ことを盛り込んだ。
医療等データの利活用に関する基本理念や包括的・体系的な制度枠組み及びそれと整合的な情報連携基盤の在り方を含む全体像(グランドデザイン)については、EHDSを参考に、一次利用と二次利用を一体的に設計し、データ利活用の価値還元が循環的に行われる仕組みの構築が必要であるとの指摘などを踏まえて、26年夏を目途に結論を得た上で公表する
患者等本人からの同意取得原則という入口規制から、医療等データの利用者の利活用の段階で対応するという出口規制の考え方に転換する中で、「適切な監督及びガバナンスの確保を前提に、本人同意を不要とするデータ及び利用主体の範囲、利用目的、医療等データを保有する民間事業者等の様々な主体に対して一定の強制力や強いインセンティブをもって当該データを収集し利活用できる仕組みの在り方等の具体的な措置内容並びに関係府省庁間の役割分担について検討を進め、26年夏を目途に結論を得次第、27年通常国会への法案の提出を目指すことを含め、速やかに必要な法令上の措置を講ずる」とした。
◎対象範囲は、医療従事者、研究機関、製薬企業、医療機器メーカーなど幅広く設定を
対象範囲については、ゲノムデータも含めることや、利用主体の対象範囲は「医療従事者、介護従事者、研究機関、製薬企業、医療機器メーカー、行政機関等を含めるなど、国民の健康増進や、より質の高い医療・ケア、医療の技術革新(医学研究、医薬品開発等)、医療資源の最適配分、社会保障制度の持続性確保(医療費の適正化等)、次の感染症危機への対応力強化の実現に資するものが含まれるよう、その対象範囲を幅広く設定することを検討する必要がある」と提案した。
医療等データの標準化については、「患者の診療等の一次利用に役立ち、二次利用にも資する観点から重要」と指摘。創薬や医療機器開発で国際連携が不可欠であることから、HL7FHIRなどを視野に「国際整合性の確保や国際連携を見越した標準化を進めていくことを検討する必要がある」とした。
◎電子カルテデータの利活用 データ収集率向上の仕組みや共有・閲覧対象者の範囲等の拡充を
電子カルテデータの利活用の促進も盛り込んだ。「電子カルテ情報共有サービスの対象情報の拡充や保存期間延長、データ収集率向上の仕組み導入、共有・閲覧対象者の範囲等の拡充、二次利用の対象情報の拡充を行うことで、国民の健康増進、より質の高い医療・ケア、医療の技術革新を実現する」方針。26年に結論を得て、結論を得次第速やかに措置する。
電子カルテ情報共有サービスの対象情報として、標準化を前提としつつ、「患者の基本情報(診察時のバイタルサイン、電子カルテ内の妊娠・出産関連情報、家族情報(既往歴等))、画像診断情報、画像・病理レポート、現在の電子カルテ情報共有サービスにおいて共有対象外の検体検査結果等、電子カルテ内のテキストにある臨床情報などの情報を含めること」とした。また、電子カルテデータの保存期間について、「慢性疾患において小児科から成人診療科への移行(移行期医療)を要する疾患など長期にわたるフォローアップが求められる疾患など長期保存が必要となる対象疾患の整理及びそれに応じた保存期間の延長を行うこと」とした。
また、データの共有・閲覧対象者の範囲については、「薬局、訪問看護ステーション、介護事業所等の医療・介護に携わる医療機関以外の主体を対象者に含めること及びその主体の性質、情報の利活用の必要性等に応じて、共有・閲覧を可能とする対象情報の具体的範囲を設定することについて検討し、結論を得次第、速やかに所要の措置を講ずる」ことも盛り込んだ。