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グラクソ・スミスクライン ポートフォリオ専門領域 ベンリスタ/ヴォリブリス専任営業 北海道リージョン/甲信越北陸リージョン担当 濱島 知博 氏

公開日時 2017/12/29 00:00

目指すは「地域のかかりつけMR」

患者中心の活動を自問し、実践を試みる

 

グラクソ・スミスクライン ポートフォリオ専門領域
ベンリスタ/ヴォリブリス専任営業
北海道リージョン/甲信越北陸リージョン担当
濱島 知博 氏

 

「MR-1コンテスト2017」で優秀賞を受賞したグラクソ・スミスクライン(GSK)の濱島知博氏は、2017年8月に山梨に異動した後、全身性エリテマトーデスの新薬ベンリスタ、肺動脈性高血圧症ヴォリブリスの専任営業担当となり、新たな挑戦のただなかにいる。コンテストで披露したMR像は、「地域のかかりつけMR」。そこに込められているのは、地域医療が大きく変わる中でのMRの立ち位置、AI時代の中でのMRの存在感の確立ということだけではなく、医療従事者、薬の向こうにいる患者の悩みにいかに応えられるのかという思いである。「患者中心の活動」に対する自問と実践から導きだしたMR像といえる。8月のコンテスト後、図らずも難病治療薬の専任営業となり、自らの姿勢が試される機会に直面している。(インタビュアー 酒田 浩)

 

 

より意識するようになった
「社会からの評価」

 

――MR-1コンテスト決選出場者の8人のうちの1人。優秀賞でした。反響のほどは。

 

濱島氏 決選に出場できたことは本当に嬉しかったが、決選では最後の決勝の2人には残れなかったことは率直に言って悔しかった。しかし、当日終了後にTwitterで受賞が知らされ、知人がFaceBookで拡散した直後から反響が続々と寄せられた。医療機関では面識のなかったMRからも声をかけていただいたこともあった。本社で行われた大きな会議後の懇親会では、「見たよ」「見たよ」の声とともに、たくさんビールを注いでもらったりして(笑)。「誇りだ」と言ってくださる方もいた。これほどまでにお褒めの声をかけていただくという、今までなかった経験だった。
しかし、今回のインタビューが掲載された後のことを考えると、メディアに出ることには責任が伴うことなので、社内だけでなく、社会から評価してもらえるよう頑張らないと、という今までにない感情がわき、気を引き締めている。

 

――コンテストへの参加のきっかけは。

 

濱島氏 営業所に参加募集が貼り出され、それを見た当時の上司に「面白いから出てみないか」と声をかけられたのがきっかけ。他社の志の高い優秀な方が集まる場と聞いていたので、その方たちのプレゼン、ディテールを間近で見て、どういう思いでMR活動をされているのかをお聞きすることを通じて、もっと自分を伸ばせる機会になるのではないかと思い、力試しの気持ちもあって参加することにした。自分の中ではすんなりと出てみようとなった。

 

――実際、出場して印象は。自身の活動に変化はあったか。

 

濱島氏 大いに刺激を受けた。プレゼンの仕方、伝え方一つをとっても決選出場者の方はそれぞれ個性が際立っていただけでなく、面談のロールプレイングも患者さんの検査値まで踏まえて話されているところなど、とても勉強になった。あとで動画を見たが、私自身は話し方が速いことを改めて自覚した。他方、懇親会では、多くの方から患者さんに関する話し込みをしようとする姿勢について、褒めていただいたのは嬉しかった。使用薬剤と患者背景、処方医の処方背景といったことを意識していたとのことだが、これは、会社が「患者さん中心のディテール」に取り組んでいるところとつながっており、私というよりGSKとしての強みが出たと思った。

 

それで患者さん中心の活動について改めて思いを強くした。自社品の良いところばかりを勧めるのではなく、自らの親族がその疾患にかかったら、どんな治療をしてほしいかという観点から、先生方と話し合い、提案する。これまでも心がけてきていることだったので。

 

 

地域医療にはAIには
できないMRの役割がある

 

――コンテストでは、今後のMR像について「地域のかかりつけMR」と主張した。

 

濱島氏 コンテストのテーマは「AIに立ち向かえ! MR減少時代に生き残れるか」。先生方の質問にAIが即答する時代はいずれ来る。その時、MR活動の意義が問われる。地域包括ケアシステムが推進される中で、地域では医療の連携により治療をしていくことになる。治療をするのは医療従事者の先生方、人と人のつながりが大事になる。地域での治療に必要な医師、薬剤師、看護師などの方々を一定の信頼の上にMRがつなぎ、地域の方々の行動が変わり、新たな地域医療ができていく、その橋渡しは、互いの先生方を知るMRだからこそできる、AIにはできない役割だと思っている。私は薬剤師でもあるので、「かかりつけ薬剤師」と絡めて、「かかりつけ」という言葉を使わせていただいた。

 

――そういうMRが必要と思われた経験があったということか。

 

濱島氏 私がA型ボツリヌス毒素製剤ボトックスを扱っていた時、地域には上肢・下肢痙縮で困っておられる患者さんがいだが、この薬剤を治療に使えることが身近な先生方には十分に知られていないということがあった。そこで、先生方にはこの薬剤についてご紹介する一方で、地域の訪問看護師さんなどに対して、上肢・下肢痙縮で困っている患者さんがいないか、もしいたら、その患者さんのかかりつけ医から痙縮治療を専門にされている先生にご相談してみてはどうかといった活動をしたことがあった。

 

橋渡し活動だが、実際に治療に結び付き、装具を外してほしい、奥様と散歩をしたい、などという夢も語られるようになるなど、痙縮が改善された患者さんの話も耳にした。

 

これはボトックスのケースだが、橋渡し活動をもっと広範に行い、行きわたらせることで、地域医療、患者さんのためになればと思っている。

 

――難病治療薬の専任営業なら活かせそうだ。

 

濱島氏 担当する2剤の中でベンリスタは、全身性エリテマトーデスの治療薬で、GSKとしては免疫・炎症領域への参入となる薬剤。ノウハウがなく、正にチャレンジングで、チームで日々挑戦している。このベンリスタという薬剤を、1人でも多くの必要な患者さんに届けたい。
しかし、一方的に薬剤について話して通用する世界ではないことは、先生から指摘され、痛感した。

 

面談前に勉強して、この薬剤にはこういう作用があり、こういう治療に役立てられるなどと話したら、先生からは「患者さんには様々悩みがあって、そう一概には言えることではない」とご指摘をいただいた。それぞれの患者さんが抱える異なる悩みに合わせて、治療に必要なオーダーメイドの提案をしていかなければならないことを、先生から教わった。先生の意見、治療方針をよく聞くことが始まり。

 

いかに患者さんの抱えている悩み、症状に目を向け、患者さんのニーズ、先生のニーズに合った提案をできるのか問われていると実感している。今、勉強させていただいているところ。

 

 

医業経営の課題も念頭に
提案できるMR像描く

 

――3年後の2020年、どんなMRになっていたいか。

 

濱島氏 上司の竹村さんのような営業責任者になれるレベルでありたい。以前私は、何か取り組みを行う時に、伺いを立てていたが、ある日「今後は相談せずにまずはやってこい。問題が起きたら俺が責任を取るから」と言って下さり、私は成長の機会をいただいたと感じている。そのような姿勢を取れるようになりたい。

MR像は「地域のかかりつけMR」だが、加えて今後は医業経営上のファイナンスの知識を持って活動する必要があると考えている。経営者の方とお話させていただく機会があるが、薬剤の採用や薬物治療は医療機関の経営とも関わっている。医療機関の経営課題も念頭に置いて提案できるようになることで、医療機関、患者さん、自分自身ともにWin-Win-Winの地域医療にすることができるのではないかと思う。16年4月からMBAの勉強を始めた。将来的には、知識を自身の活動だけでなく、必要性を伝え、強いチームを作り上げられる責任者になりたい。

 

 

 

濱島さんの上司 グラクソ・スミスクライン ポートフォリオ専門領域
北海道リージョン/甲信越北陸リージョン担当責任者・竹村裕樹氏からのコメント

 

いつも非常ににこやかで常に前向きなため、濱島さんのことを信頼している先生や同僚も多くいます。新薬が発売の際は、自ら率先して話法を考えるなど、成功例だけでなく失敗例も恥ずかしがらず共有することで、皆を鼓舞していたのが印象的です。また自社製品は勿論ですが、MBAの勉強から学んだことを定期的に発信するなどし、エリアメンバーの役に立とうとする姿勢もよく見られました。現在は、大学を中心に新薬の成功に向け活動してもらっています。あらゆる困難をも乗り越える濱島さんに今後も期待しています。

 

 


濱島知博さん:2012年4月入社。東京都23区内の一部基幹病院担当、13年から東京都立川市、東大和市のエリア担当、17年8月から山梨に。一貫してCNS中心。31歳。柔和な表情の中に抱える医療への熱い思いは家系に医師が多いことも関係していよう。取材日に締めたネクタイはプロサッカー選手・本田圭佑ブランド「KSK」(トップ写真参照)。本田選手の諦めず挑戦し続ける姿勢を尊敬。「勝負の時に締める」。取材の前日には奥様に眉を整えてもらったという。

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