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アステラス 国内MR数は“2000人前後”に 早期退職優遇制度に約700人応募

公開日時 2019/04/26 03:52

アステラス製薬は4月25日、2018年度に日本で実施した早期退職優遇制度に約700人が応募したと発表した。本社と営業支援などを行うグループ会社を対象に実施したもので、応募者は19年3月末に退職した。同社の松井幸郎・上席執行役員販売統括担当は同日、本社で開いた19年3月期(18年度)決算説明会で、今回の早期退職優遇制度の実施により、国内のMR数は「2000人前後」になったと説明した。19年度はこの人数で情報提供・収集活動していく。

応募者の7割が本社勤務だが、応募したMR数など内訳は開示していない。募集期間や対象者の年齢などの詳細も非開示。同社はこれまでに18年度中に早期退職者を600人募集するとしていたが、応募者は約100人多かった。

国内MR数はこれまで、アステラス・アムジェン・バイオファーマ(AABP社)への出向者を含め、2100人体制としていた。現在の「2000人前後」にもAABP社への出向者を含む。

■スペシャリティ領域製品ほど人同士のコミュニケーション重要

松井氏(写真)はMRが減員となる中での情報提供・収集活動について、「MRを介した情報活動以外に、デジタルなど多くの情報提供チャネルがある。一番効率的かつ正確に副作用情報などを先生方に提供し、適正使用を推奨できる仕組みを製品ごとに考えながら対応したい」と述べ、適正使用の推進や販促に必要となる情報活動の質と量は、製品特性を踏まえつつ、デジタルチャネルなどで補完していく考えを示した。

また、説明会後、本誌に、「スペシャリティ領域の製品ほど、人間同士のコミュニケーションでフレキシブルに対応していくことが重要」と強調した。スペシャリティ領域製品にシフトしていく同社にとって、質の高いMR活動の重要性が増していくとの認識を示した格好だ。ただ、今後必要となるMR数は、製品ポートフォリオや、医師の情報収集チャネルの好みや求めによるとも指摘し、最適な人員数は変動するとの姿勢もみせた。

■19年度国内売上 14.3%減を計画

同社にとって19年度は、国内外で主力品の特許切れが相次ぎ、日本では販売権の移管もある厳しい年となる。これが国内での早期退職者募集に至った理由のひとつとなる。

グローバル製品では、19年5月に過活動膀胱治療薬ベシケアや抗がん剤タルセバがそれぞれ米国で特許切れし、これを皮切りに各国・地域で特許切れが始まる。

日本市場は19年3月に喘息薬シムビコート、同年11月に消炎鎮痛薬セレコックスが特許切れするが、シムビコートは導入元の英アストラゼネカとの契約終了に伴い、7月30日付でアステラスの活動は終了する。シムビコートは日本で18年度に412億円を売り上げた最主力品のひとつ。さらに、KMバイオロジクスとのヒト用ワクチンなどの販売提携契約の終了により、アステラスによる販売を7月31日までに順次終了する。

その一方で、日本市場では、2型糖尿病治療薬スーグラや高コレステロール血症治療薬レパーサ、慢性便秘症薬リンゼスなどの伸長に加え、19年3月に新発売した骨粗鬆症の治療に用いる抗体医薬イベニティの業績貢献で減収影響を最小限にしたい考え。

しかし、19年度の国内医療用医薬品事業の売上は3138億円を計画し、前年度比14.3%減、金額では500億円以上の減収となる見込みだ。特にシムビコートとワクチンの販売移管の影響が大きい。計画通りであれば、国内事業は16年度から4年連続のマイナス成長となる。なお、同社は、セレコックスの後発品は20年度に登場見込みとみており、19年度の同剤の売上は496億円、前年度比で横ばいの計画を立てている。

安川健司社長は説明会で、「19年度がパテントクリフで厳しい年となることは、これまでに話している通り」とした上で、「既存製品の価値最大化により、(パテントクリフによる)“谷”の入り口をできるだけ高くし、“谷”の深さを浅くする。6つの重点後期開発品の開発が順調にいっており、“谷”による減収期間は短くなり、20年度には(業績が)上昇に向かうと考えている」と述べ、業績は19年度を底にV字回復できると自信を見せた。

■前立腺がん治療薬イクスタンジ 全世界で3000億円突破

18年度の連結業績は売上1兆3063億円(前年度比0.5%増)、営業利益2439億円(14.4%増)、親会社帰属純利益2222億円(35.0%増)――と増収増益だった。前立腺がん治療薬イクスタンジや過活動膀胱治療薬ミラベグロン(国内製品名ベタニス)の全世界でのシェア拡大が主因。イクスタンジの全世界売上は3331億円(13.2%増)で、3000億円を突破した。

18年度の国内医療用薬売上は3662億円(4.5%減)だった。18年4月の薬価改定で176億円の減収影響が出たほか、17年6月に後発品が参入した降圧剤ミカルディスは今回237億円の減収となったことが大きく響いた。

19年度の連結業績は売上1兆2240億円(6.3%減)、営業利益2290億円(6.1%減)――の減収減益を計画している。全世界でイクスタンジやミラベグロンが引き続き成長し、国内新製品群の伸長を見込むものの、米欧でのベシケア特許切れ、米国でのタルセバ特許切れ、日本でのシムビコートやワクチンの販売移管が影響する。

【18年度連結業績 (前年同期比) 19年度予想(前年同期比)】 
売上高1兆3063億4800万円(0.5%増) 1兆2240億円(6.3%減)
営業利益2439億1200万円(14.4%増) 2290億円(6.1%減)
親会社帰属純利益2222億6500万円(35.0%増) 1820億円(18.1%減)

【18年度のグローバル主要製品全世界売上高(前年同期実績) 19年度予想、億円】
イクスタンジ 3331(2943) 3642
ゾスパタ 25(-) 151
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 1472(1257) 1606
ベシケア 950(1023) 418
プログラフ 1957(1985) 1877
ハルナール/オムニック 474(496) 469
ファンガード/マイカミン 345(410) 321
エリガード 148(165) 146

【18年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 19年度予想、億円】
グローバル品
イクスタンジ 323(261) 355
ゾスパタ 6(-) 39
ベタニス 327(295) 339
ベシケア 223(239) 191
プログラフ(グラセプター含む) 454(483) 424
ハルナール 52(74) 41
ファンガード 76(106) 70

ローカル品
スーグラファミリー 178(116) 254
内、スージャヌ 44(-) 非開示
レパーサ 25(16) 非開示
リンゼス 39(14) 66
ビーリンサイト 11(-) 非開示
イベニティ 6(-) 非開示
セレコックス 494(483) 496
シムビコート 412(395)非開示
ジェニナック 84(92) 80
ワクチン 298(294) 101
ゴナックス 48(47) 52
シムジア 94(90) 109
ミカルディスファミリー 226(463) 135
ボノテオ 90(133) 55
リピトール 152(196) 125
マイスリー 107(133) 95
*仕切価ベース

 

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