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エーザイ・内藤CEO  Societal Innovationへの進化は今後5年間の「最大のテーマ」

公開日時 2020/03/09 04:51
エーザイの内藤晴夫代表執行役CEOは3月6日、ウエブで開いたインフォメーションミーティングで、データを核とした認知症プラットフォーム“easiit”の構築を通じた「Societal Innovationへの進化」を今後5年間の「最大のテーマ」と述べた。患者データを核に、民間保険やフィットネスクラブ、自動車メーカー、小売業、介護施設など社会との接点を強化し、「全てに連携し、単独でやるよりも優れた便益を創り出すことができる」エコシステム構築に注力する。培った知見に基づいて構築してきたエーザイのプラットフォームモデルがいよいよ動き出すこととなりそうだ。(写真はエーザイ広報部提供)

「いよいよ実行し、憂慮を取り除くかできるかどうかという段階に入っている」―。この日のインフォメーションミーティングで、内藤CEOはこう語った。ヒューマンヘルスケア(hhc)を掲げ、患者や患者家族と共に過ごし共感を重視する同社。こうした活動のなかで、患者の憂慮として①症状はいつ出現するのか、②それを防ぐためには何をすればよいのか、③家族の重荷になりたくない―の3つを抽出した。こうした課題を解決するために設計するのが、認知症プラットフォーム“easiit”だ。

◎「優れた保険商品を生み出すことにも結び付く」


認知症エコシステムの中核を担うのが、認知機能をセルフチェックできるデジタルツール「Cogstate Brief Battery(CBB)」だ。同社はこれを“のう KNOW”と命名。自治体イベントや自宅での活用を通じて、認知機能や睡眠、食事、運動情報を集積。治験結果やコホート研究などから得られた認知機能やバイオマーカーなどのデータセットに基づき、予知や予防についてアプリなどを通じて提供するモデルを描く。医療機関向けとしては、疾患分類や進行予測、治療効果・予測を支援するアルゴリズムの構築を目指す。こうしたサイクルを中核として、これまでの医療だけでなく、社会にもソリューションを提供することを視野に入れる。

具体的には、民間保険では、認知症予防を組み合わせた保険商品の設計で、「優れた保険商品を生み出すことにも結び付く」(内藤CEO)。このほか、フィットネスクラブでは、認知症機能の維持・向上のための運動プログラム、自動車メーカーでは高齢者の安全運転、小売業では店頭業務での高齢者雇用拡大、介護施設では最適な介護プログラムの創出などを削視野に入れる。こうした医療分野以外のプレイヤーとの連携で、新たなビジネスを生み出す姿を描く。

◎パーキンソン病、不眠症、てんかんでも展開

内藤CEOはこうしたビジネスモデル確立について、「Medico InnovationをSocietal Innovationへと進化させることはEWAY FUTURE(2020~25年度の経営計画)で最大のテーマ」と強調。すでに国内では認知症だけでなく、パーキンソン病、不眠症、てんかんでも展開を始めていることも明らかにした。

◎グローバル見据え「パートナーシップモデルは根幹」

もう一つ重視するのが、パートナーシップモデルの構築だ。認知症領域でのバイオジェン、オンコロジー領域ではメルクと、後発品とのパッケージ戦略では日医工とのパートナーシップを紹介。これらのパートナーシップを契機にグローバル市場での開発を加速、市場浸透させてきたと説明した。特に、抗がん剤・レンビマの米国市場での売上高が今後の成長のカギを握り、グローバル展開が重要になる。内藤CEOは、「パートナーシップモデルはEWAY全期間(2016~25年度の中期経営計画)を通じて根幹のビジネスモデルとなる」と強調した。
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