オンライン診療に前向きな急性期病院、15%にとどまる 初診患者のハードル高く MDV調べ
公開日時 2020/04/14 04:52
オンライン診療に前向きな急性期病院は現時点で15%にとどまることがメディカル・データ・ビジョン(MDV)の緊急調査で4月13日、わかった。調査は、7都府県に緊急事態宣言が発出された直後に実施し、同時に策定された緊急経済対策にも、初診でのオンライン診療解禁が盛り込まれていた。オンライン診療を「実施しない」理由として、88%の病院が「環境整備」を挙げた。オンライン診療のシステム導入だけでなく、例えば保険証や患者の身元を誰がどのように確認するのか、診療費の支払いをクレジットカード払いとする場合にどのように確認するのか、多忙な中でオンライン診療に誰が対応するのか――など、実務上の課題に対応できないと二の足を踏むケースが多いようだ。
オンライン診療は、感染者との接触を医療従事者や患者が避けることや、医療機関の受診を躊躇する患者への手段として注目を集めている。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、厚労省はオンライン診療の適用範囲を拡大してきたが、13日からは、疾患を問わずにオンライン診療を初診で活用することが可能になった。
ただ、調査からは初診患者へのオンライン診療の活用は、さらにハードルが上がることがわかる。「初診患者は既往歴や処方歴がわからず、どうしても情報が少ないので、現時点では対象ではない」(国立病院機構弘前病院の藤哲・特別統括院長)との声もあった。なお、弘前病院のオンライン診療は、電話を使った処方せん発行が主となり、糖尿病や高血圧などの慢性疾患の定期受診患者に限るという。
MDVの緊急調査は、取引のある約900の急性期病院を対象にWebで実施した。調査期間は4月8日~11日。有効回答数は250病院。政府の緊急経済対策が7日に発表されたことを受けて調査を実施した。
オンライン診療を「実施する」と回答したのは38病院(15.2%)だったのに対し、「実施しない」は103病院(41.2%)、「わからない」は109病院(43.6%)となった。「実施する」との病院のうち、環境が整っているのは20病院で、残り18病院はこれから環境を整備する。
オンライン診療を「実施しない」との病院に、その理由を複数回答可で聞いたところ、上位から「環境整備」(88.2%)、「診療に対する責任」(29.4%)、「需要・ニーズが読めない」(28.4%)、「人的要因」(23.5%)、「費用対効果」(22.5%)――となった。その他の理由としては、高齢患者が多くオンライン診療を利用しないのではないか、総合病院のため通常診療に支障をきたすため――といったコメントが寄せられ、院内に新たにオンライン診療科を設けなければ対応できないとの声もあった。