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全世代型社会保障検討会議 75歳以上の窓口負担増など「最終報告」は年末に先送り 次期通常国会への法案提出目指す

公開日時 2020/05/25 04:51
安倍晋三首相は5月22日、政府の全世代型社会保障検討会議で、今夏に予定していた最終報告の取りまとめを年末まで先送りすると表明した。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令などで、十分な審議を尽くせなかったため。安倍首相は今夏の骨太方針取りまとめまで議論を継続するものの、最終報告は12月の2021年度予算編成作業と同時期を目指す。これにより関連法案の提出も2021年の通常国会以降となる見通しだ。

75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担については、一定所得以上であれば原則1割から2割負担とすることが、昨年末に政府・与党で合意していた。年明けからは、厚労省の社会保障審議会などを開き、学識経験者の意見を踏まえて医療保険制度改革法案の骨格を議論する予定だった。ただ、新型コロナの対応に追われ、現時点で社保審での十分な議論が行われていない。

新型コロナ感染症の対応に追われたため、政府の2021年度予算概算要求のスケジュールも1か月程度遅れる見通し。同時期に行われる骨太方針の取りまとめも同様に7月にずれ込むため、安倍首相が当初描いていた今秋の臨時国会への法案提出は事実上難しい状況となった。さらに、新型コロナの影響から景気の冷え込みや雇用情勢などにマイナスの影響が予想されることから、患者の負担増に直結する施策については、早くも慎重論が出始めている。

◎新型コロナを踏まえた社会保障の新たな課題で議論

この日は「新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた社会保障の新たな課題」をめぐり議論した。感染拡大により、病院に行きたくても不安を感じるとの割合が67%(「とても不安を感じる」:36%、「やや不安を感じる」31%)となった。実際、患者の受診抑制が起き、医療機関や薬局の経営に大きな打撃を受けている。

感染拡大が続くなかで、「専門家の指摘」として、身体活動の不足や長時間の座位が続くことで、「パンデミック後の社会で大きな健康問題になることが予想される」と説明。特に、高齢者では生活活発でなくなることで、フレイル(虚弱)が進む可能性を指摘した。クラスターが発生したことから、感染リスクの高い施設として、「スポーツジムなどの屋内運動施設」が指摘されている。ただ、高齢者がボランティアグループやスポーツクラブに参加することで、9年後の要介護リスクを18%、死亡リスクが22%低下したとの研究データを示した。そのうえで、運動アプリを活用し、自宅で簡単な運動することで、フレイルに陥るのを防ぐメリットを強調。東京都健康長寿医療センター研究所と慶應義塾大が共同開発した「運動カウンター」を実例としてあげた。

◎オンライン診療やオンライン面会、運動アプリの利用促進も

主観的な健康度合いにコミュニケーションの有用性が示唆されるなかで、介護施設ではタブレット端末やビデオ通話アプリを通じ、入居者が自宅の家族とオンライン面会するなどの取り組みも進められている。

会議では、「屋外におけるプログラムや、通いの場に通うことができない高齢者への訪問型の支援など、感染防止に配慮した支援の提供を進めるべきではないか」、「感染リスクを恐れて、病院・診療所や介護事業所等において利用を控える動きがあることを踏まえ、オンライン診療やオンライン面会、運動アプリなどの非接触サービスの利用を促進するため、介護施設や医療機関等におけるタブレットやWifi等の導入支 援を強化すべきではないか」との論点を提示した。

出席した有識者からも、「医療について全国レベルでデータ連携ができるようにビッグデータの整備が必要。オンライン診療をしっかり定着させ、受療行動の変容が必要だ」、「初診からのオンライン診療をアフターコロナでも活用すべき。新しいテクノロジーも加えて対面並みの医療をできることが必要だ」などの声があがった。
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