6月初収載の後発品 セレコキシブ、エゼチミブ、デュタステリド 10月末に数量シェア80%に到達
公開日時 2020/12/02 04:52
2020年6月に初めて後発医薬品が登場した消炎鎮痛薬セレコキシブや高脂血症治療薬エゼチミブといった大型品の後発品の数量シェアが、10月末時点でそれぞれ80%に達したことがわかった。両剤の後発品は6月19日付で薬価追補収載されたため、わずか4か月半で80%の大台を超えたことになる。同じく大型品の認知症薬メマンチンの後発品シェアは10月末で78%だった。コロナ禍による受診抑制・来局患者の減少に伴う経営悪化対策の一環として、また患者の自己負担の軽減に向けて、後発品への切替えが進んだとみられる。
このデータは、調剤薬局の調剤レセプトをベースに実際の処方動向を把握・分析する医療情報総合研究所(通称:JMIRI、読み:ジェイミリ)のもの。調剤薬局データのため、主に内服薬と外用薬の処方動向がわかる。
6月に初収載された後発品の数量シェアが7月末時点で64%に達したと、10月6日付け記事で既報した
(記事はこちら)。今回は10月末までのデータを確認した。
20年6月に収載された初後発品は18成分あり、このうち、▽認知症薬メマンチン▽抗アレルギー薬レボセチリジン▽消炎鎮痛薬セレコキシブ▽認知症薬ガランタミン▽高脂血症治療薬エゼチミブ▽前立腺肥大症に伴う排尿障害改善薬タダラフィル▽前立腺肥大症用薬デュタステリド▽過活動膀胱薬イミダフェナシン▽糖尿病薬レパグリニド▽片頭痛薬ナラトリプタン▽特発性肺線維症用薬ピルフェニドン▽抗菌点眼薬モキシフロキサシン――の12成分について、後発品の数量シェアを見てみた。
その結果、後発品の数量シェアは、7月末に64%、8月末に71%、9月末に74%、10月末に76%――と推移していた。6月登場の後発品は一気に立ち上がったあと、緩やかながらも右肩上がりに拡大していることがわかる
(文末の「関連ファイル」に、数量シェア推移の資料を掲載しました。会員のみダウンロードできます。トライアル申込はこちら)。
製品別では、19社38品目の後発品が参入したセレコキシブの後発品シェアは、7月末に70%(GE:58%、AG:12%)だったものが、10月末に81%(同66%、15%)に拡大した。セレコキシブの先発品はピーク時に売上約500億円の大型品。加えて、先発品に新薬創出等加算が適用されていたため、後発品薬価は対先発品の28%と、先発と後発の価格差はより大きくなった。コロナ禍のなか、大型品により廉価な後発品が登場したことで一気に切替が進んだとみられる。
ちなみに、セレコキシブと同様の理由で後発品薬価が対先発品の28%となったデュタステリドの後発品シェアも、10月末に82%(同72%、10%)となった。デュタステリド後発品には15社16品目が参入した。なお、デュタステリド先発品の売上は開示されていない。
このほか、21社43品目の後発品が参入したエゼチミブの後発品シェアは10月末に80%(同67%、13%)に達した。エゼチミブの先発品も新薬創出等加算品で、後発品薬価は対先発品の36%。22社99品目が参入したメマンチンは10月末に78%(同69%、9%)まで伸びた。メマンチンも同様の理由で、後発品薬価は対先発品の38%。メマンチンの先発品もピーク時に500億円超を売り上げた。