EPファーマライン・池田社長 顧客の「+α」に応える組織づくりに注力 売上規模120億円に手応え
公開日時 2021/01/12 04:51
EPファーマラインの池田佳奈美代表取締役社長は本誌インタビューに応じ、今後の事業方針について語った。池田社長は、「我々のビジネスの基本は、製薬企業から預かっている顧客である医療者や消費者が必要とする医療情報を適正に届けること。現場からのきめ細かいケアが求められるものであり、かつ“+α”のニーズなどに対応しなければならない」と強調。加えて「営業部隊は違う角度からアプローチすることで、別のニーズを引き出すこともできる。供給側と営業側の両輪がしっかり回るための組織が求められる」と述べ、新型コロナなど業界環境の変化を踏まえた顧客ニーズに応える組織づくりに注力する考えを語った。
◎「継往開来」を社員と共有
EPファーマラインの創業者でもある西塚淳一会長からバトンを引き継いだ池田社長。昨年の社長就任に際し、「継往開来」という四文字熟語を社員と共有したという。「事業を継続させて、未来をより発展させる」という意味に自分自身の役割を重ね合わせた。
同社は、医薬品・医療・医療機器・ヘルスケア業界に特化し、DIサービス、BPOサービス、マルチチャネルプロモーションサービス、ヘルスケア・医療機器サポートサービスの4つを基軸事業に据えている。池田社長は、「製薬会社と異なり、モノ(製品)が無いので、社員が“商品”そして“商品の質”を作るようなビジネスで成り立っている。まさに人材育成の部分については力を入れていきたいと認識している。それぞれの社員に自信をもって欲しいと思うし、それを発揮できるよう努めて欲しいと期待している」と指摘した。
◎新型コロナで働き方が変わる 産業にも変化が求められる
新型コロナの感染拡大に伴うビジネス環境の変化に注目する。池田社長は、「新型コロナの感染拡大により、世の中の働き方が大きく変わり、製薬産業そのものも同じように変化が求められている」と強調した。
同社は昨春の緊急事態宣言発令時も速やかに対応した。製薬企業の中でコールセンター業務を行っていたメンバーは、企業が在宅勤務になるのと同時に、コールセンターの勤務者も一緒に在宅勤務とした。一方で、本社でコールセンター業務を行っているメンバーは、在宅と本社に切り分けて対応したという。池田社長は、「コールセンター業務の場合、近くで対応状況を聴きながら指導してもらう方がスキルアップの点で成長が早いなどのメリットもある。その点で経験の少ないメンバーについては、基本的に管理者とともに本社で対応するケースが多かった」と振り返った。
◎コールセンター業務 最新のPBXの導入やクラウドサーバー等を活用
コールセンター業務に関しては、2021年からは最新のPBXの導入やクラウドサーバー等を活用するなどして在宅業務がしやすいようなシステムに切り換える方針だ。池田社長は「これにより在宅勤務率も少し高めることができる。その際は、在宅勤務時の心のケアや管理面について、しっかり対応していきたいと考えている」と述べた。
◎販売情報提供活動GLへの対応「まさに変化を感じている」
「もう一つは製薬業界に求められるレギュレーションの変化などがあげられる」と述べながら、2019年に施行した「販売情報提供活動ガイドライン(GL)」の対応も注視する。池田社長は、「もちろん大きく変わってきた。講演会で使用するスライドの事前チェックについては、外部審査を取り入れる企業が増えている。あとは、コールセンターも苦情対応窓口を新設するなどの動きがあった。コールセンターで使用するFAQも、マーケティングベースのものと営業ベースのものと分けて使うなども対応している。まさに変化を感じているところだ」と応えてくれた。
◎中期的経営目標 収益源のDIサービスはスペシャリティ新薬で「着実に伸びる」
デジタル化への対応について池田社長は、「社内にプロジェクトチームを発足させたところ」と明かし、「既存のサービス商品について、デジタルを活用したソリューションなどをクライアント企業に提案できないか検討している。また、患者が情報を入手しやすくなる仕組みの検討も社内で行っている。少しずつ商品化できるものがあれば一緒にやっていただける企業と進めていければ良いと考えている」と述べた。
中期的な経営目標について池田社長は、「増収増益を目指したい。根拠は、大きな収益源となっているドラッグインフォメーションの部分が着実に伸びている。最近はスペシャリティ領域の革新的医薬品が増えているので、そこに求められるような窓口機能のニーズは高まっている。ここをしっかり伸ばしたい」と意欲を示した。また、「コントラクトMR事業はEPフォースに移ってはいるが、管轄下にあり、私たちとしてもコントラクトMRと組んだビジネスも行っていく。その点で言えば、売上高120億円を目指すという手応えを感じている」と強調してくれた。