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INES 患者本位の医療政策決定プロセスで政策提言策定へ DX推進がカギ 患者視点の「医療評価制度」

公開日時 2021/10/06 04:50
新時代戦略研究所(INES)は10月5日、オンライン会見を開き、「患者目線で革新的医療政策実現を目指すパートナーシップ(PPCIP)」プロジェクトを本格始動すると発表した。これまでの医療政策決定プロセスが「供給サイド」中心で、「患者本位の評価や意見」があまり反映されてこなかった経緯を踏まえ、新たな患者・生活者参加型の医療政策決定プロセスを議論し、政府に政策提言するというもの。コロナ禍で医療分野のDXに弾みがつき始めた状況を踏まえ、患者の情報アクセスや治療満足度の向上を想定した社会保障制度の「ワンストップサービス」構築や患者の治療満足度を向上させる医療評価制度の導入などについての議論にも着手する。

PPCIPメンバーで会見に臨んだ小黒一正氏(法政大学経済学部教授)は、「現状の医療制度は長年積み上げの蓄積だ。厚労省にも保険局や医政局といった縦割りがある」と述べ、医療政策の決定プロセスにおける弊害を指摘した。続けて小黒氏は、「DXを使って患者の声を吸い上げ、医療制度自体を患者本位の仕組みに変えていく」ことも一考と指摘。「テクノロジーが発展するなかで、低コストで実現は可能」とし、「これまでの供給サイド中心の仕組みからDXを使いながら患者本位の医療政策に変えていく試みが重要なのではいか」と強調した。

宮田俊男氏(早稲田大学理工学術院教授、医療法人社団DEN理事長)は、「新型コロナ禍でも分かる通り、世界中で医療政策をめぐりドラスティックな動きが見られている」と指摘。行政経験のある宮田氏は、省庁間に跨る縦割りの弊害や、ステークホルダー同士の調整が「丁寧であればあるほど、患者のニーズから離れていってしまう傾向もあった」などを振り返りながら、患者の声を医療政策に反映させるための「革新」が求められると強調した。

◎公的保険の枠組み 政策オプションとして議論になる可能性を示唆

記者との質疑では、患者本位の医療政策実現に向けた課題として公的保険の枠組みや給付範囲(保険内・保険外)で見解を聞いた。小黒氏は、「少なくとも前提条件として患者の情報アクセスの権利など環境整備面をまずは優先すべきだ」と強調した。ただ、こうした環境整備が進む中で、「実際の政策オプションとして、保険の中でやっていくのか、それ以外でやっていくかの話には当然なると思う」との認識を示した。一方、宮田氏は、「全体を見据える中で、国民皆保険制度を堅持していくことは当然だが、医療費も増えている。なので、所得に応じた負担のあり方や、オンライン診療のような新しい(デジタルの活用やDX)仕組みが実際に使われる中で負担のあり方も当然ディスカッションになるのではないか」との考えを示した。

◎22年中に政策提言 まずは「骨太方針2023」への反映目指す

PPCIPプロジェクトは今後、①医療政策の検討・決定段階に関する提言、②医療サービスの利用段階に関する提言、③医療サービスの評価段階に関する提言-などについて議論する。医療サービスの評価では、監督官庁が保有する医療関連情報に関する公開(透明性担保)制度や、患者・生活者視点に基づく医療評価制度(治療効果、QOL、治療満足度)の構築などを論点にあげている。当面は22年中に課題解決に向けた政策提言を取りまとめ、岸田内閣が取りまとめる「骨太方針2023」への反映を目指した活動を展開することにしている。

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