21-22年のインフルエンザ 11月の推計患者数1145人 流行なかった前年同月の3分の1
公開日時 2021/12/16 04:52
今年11月のインフルエンザの推計患者数は1145人で、流行しなかった前年同月の3分の1の水準にとどまることがわかった。コロナ禍によって社会に浸透した感染対策の徹底が背景にあるとみられる。日本感染症学会はこれまでに、今シーズン(21-22年シーズン)にインフルエンザが大流行する可能性があると警鐘を鳴らしているが、11月時点で流行入りは確認されなかった。
これは調剤レセプト、社保レセプト、厚労省のNDBオープンデータなどで実際の処方動向を把握し、拡大推計して全国の処方実態を分析できるインテージリアルワールド社の統合医療データベース「Cross Fact」によるもの。今回分析したインフルエンザの推計患者数は、抗インフルエンザ薬を処方された全国の患者数(拡大推計値)のことで、分析対象の薬剤はオセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、バロキサビル――となる。
インフルエンザは例年9月から流行し、11月から急増する傾向にある。直近5年間の各年11月のインフルエンザの推計患者数は、16年12万8552人、17年8万9022人、18年4万9812人、19年25万2007人、20年3622人――で、コロナ禍にあった前年でも3000人を超えていた。
インフルエンザのピークは例年12月から2月で、今シーズンも新型コロナとの同時流行が懸念されている。同社は、「新型コロナとの同時流行が危惧されるインフルエンザのピーク期はこれからであり、今後も動向を注視する必要がある」としている。
◎小児科と耳鼻科 コロナ以前の受診患者まで戻らず
コロナ禍により、処方せん枚数は減少し、1処方当たりの平均処方日数は伸びた。同社データによると、21年の月平均の処方せん枚数は推計約6100万枚で、年間では約7億3200万枚となる。この枚数は20年とほぼ同水準。コロナ以前は概ね年間約8億2000万枚あったため、コロナ禍で約10%減ったことになる。2年連続で延べ患者数は減ったわけだが、1処方あたりの平均処方日数は20年2月以降、32~33日をキープしており、コロナ以前の水準の10%程度増えた。つまり、市場全体では処方数量はほぼ維持された格好だ。
ただ、同社によると、疾患別の処方数量は、糖尿病などの生活習慣病薬や、不眠や不安など精神疾患の薬剤の処方数量はコロナ以前と同水準か微増傾向がみられる一方で、感染症に係る薬剤は大きく減ったという。診療科別でも、小児科の21年11月の受診患者数は、コロナ以前を100%とした場合、82%にとどまり、耳鼻科も同じく82%までしか回復していない。新型コロナによる医薬品市場へのマイナス影響はいま、特定の疾患や診療科に限定され、その影響が続いている。