古河赤十字病院の小山院長 古河・猿島郡地域フォーミュラリーを報告 PPIだけで28万円削減
公開日時 2022/01/14 04:50
古河赤十字病院の小山信一郎院長は1月13日、日本調剤主催「第2回フォーミュラリーシリーズオンライン勉強会」で講演し、茨城県古河市にある古河・猿島郡地域におけるフォーミュラリーの実施状況を報告した。古河赤十字病院、茨城西南医療センター、友愛記念病院が参加して2020年1月に第1回の勉強会を開始、21年11に3病院フォーミュラリー幹事会を開いた。すでにARBやPPIなど薬効群の選定を行い、施設ごとに院内フォーミュラリーを策定した。小山院長は古河赤十字病院におけるプロトンポンプ阻害薬(PPI)の院内フォーミュラリー導入前後で後発品シフトが進み、金額ベースで
28万円程度の削減効果があったと紹介した。
茨城県の古河・猿島郡地域フォーミュラリーは、古河赤十字病院、茨城西南医療センター、友愛記念病院の3病院で構成され、病床数は3病院合計で883床。古河市、猿島郡全域と近隣地域をカバーしている。地域フォーミュラリー策定の動きは、まず20年1月20日に第1回フォーミュラリー勉強会を開催。その後、11月12日の古河・猿島郡地域フォーミュラリーキックオフミーティングを経て、21年11月26日に3病院フォーミュラリー幹事会を開催した。
◎院長、事務部長、薬剤部長で「幹部会」 3病院への運用指示は「運営委員会」で
フォーミュラリーの運営は、3病院の院長、事務部長、薬剤部長で「幹部会」を構成。薬効群の選定や地域フォーミュラリーの審査・承認・評価などを行う。加えて、3病院の薬事委員長、薬剤部長、事務部で「運営委員会」を組織し、3病院への運用指示や運用後の評価などを実施。これに日本調剤のFINDAT事業部が助言、研修、勉強会などを行っている。
◎PPI 第一選択は3病院共通 第2選択以降は病院ごとに若干の違いも
小山院長は3病院におけるPPIの院内フォーミュラリーを紹介。第一選択のラベプラゾール(10mg)、ランソプラゾール(OD錠15mg、30mg)は3病院共通となったが、第2選択や条件付き使用推奨薬などで、病院間に違いがあることを説明した。また古河赤十字病院におけるPPIの院内フォーミュラリー導入前後の処方人数の変化について、タケキャブ錠20mgの使用割合で変更前(20年9月~21年3月)の15.3%が変更後(21年5月~11月)は8.6%に、ネキシウムカプセル20mgも同様に14.9%から10.6%にそれぞれ減少した。
一方、金額ベースでみても、変更前の薬剤総額
181万7768円(うち後発品241万14円、先発品157万6754円)が、変更後には総額
153万3978円(うち後発品32万4898円、先発品120万9080円)となり、その差額が総額で28万3790円の削減効果があったとした。
◎フォーミュラリー導入の問題点 製薬企業のMRとの関係悪化を懸念する意見
今後の取り組みについて小山院長は、「院内フォーミュラリーを古河猿島郡地域の医師会、調剤薬局等に啓蒙し、広めたい」と強調。地域の医療費、特に薬剤費の削減を目指したいと意欲を示した。ただ、フォーミュラリー導入にあたっての問題点にも触れ、医師の処方権などで悩ましいと指摘。さらに製薬企業およびMRとの関係悪化などを懸念する意見もあることを紹介。一方で後発品の自主回収や出荷調整など安定供給が足かせになる可能性にも言及した。
【訂正】見出しおよび記事中の下線部の金額に誤りがありました。訂正します(訂正済1月14日11時15分)