公取委 アルフレッサ、東邦薬品、スズケンに排除措置命令・課徴金納付命令 課徴金の総額4億2385万円
公開日時 2022/03/30 18:50
公正取引委員会は3月30日、地域医療機能推進機構(JCHO)が発注する医薬品の入札参加業者のアルフレッサ、東邦薬品、スズケンの3社に対し、独禁法の規定に基づく排除措置命令および課徴金納付命令を行った。課徴金額は3社合計で4億2385万円。内訳は、アルフレッサが1億7562万円、東邦薬品が1億6189万、スズケンが8634万円。卸3社はそれぞれ課徴金減免制度の適用を申請しており、課徴金額の30%から最大50%の減額が認められた。一方、メディセオについては、課徴金減免制度の適用申請を行い、過去の違反行為を自主的に申告するなど、公取委の調査に全面的に協力したとして、排除措置命令および課徴金を免除された。
公取委は2016年度と18年度に実施されたJCHOを発注者とする全国57病院の医療用医薬品の入札に関して、他社と共同して受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにするなど独禁法違反行為を行ったとして、これに関わった医薬品卸各社に対し、排除措置命令と課徴金納付命令を行った。
◎都内貸会議室で部長級,課長級など営業担当者が会合 受注価格の低落防止を相談
この日、公取委が明らかにした2016年度の入札医薬品に係る違反行為は、アルフレッサ,東邦薬品,スズケン、メディセオの4社が16年6月8日以降,東京都千代田区所在の貸会議室において,部長級,課長級等の営業担当者による会合を開催。16年入札医薬品のうち「藤本製薬」の医薬品を除く医薬品について,受注価格の低落防止等を図るための措置を講じたというもの。
◎4社それぞれの受注予定比率を設定 受注予定者が受注できるよう協力することで合意
具体的には、①4社それぞれの受注予定比率を設定し、同比率に合うよう16年入札医薬品を医薬品の製造販売業者等で区分した医薬品群ごとに受注すべき者を決定、②受注予定者以外の者は、受注予定者が受注できるように協力する旨を合意、③既存の取引等を勘案し、受注予定比率に合うよう医薬品群ごとに受注予定者を決定、④受注予定者が提示する入札価格は、受注予定者が定め、受注予定者以外の者は、受注予定者等が連絡した価格以上の入札価格を提示する―などにより受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた。
また、2018年度の入札医薬品に係る違反行為は、2018年6月1日以降、東京都千代田区所在の貸会議室において、部長級、課長級等の営業担当者による会合を開催し、18年入札医薬品について受注価格の低落防止等を図るために、16年度とほぼ同様の内容で合意し、行っていた。
◎排除措置命令 合意の消滅など各社の取締役会で決議命ずる
今回の排除措置命令では、アルフレッサ、東邦薬品、スズケンの3社について、①各社合意が消滅していることを確認、②今後,相互間または他の事業者と共同してJCHOまたはJCHOが運営する病院が購入する医薬品について受注予定者を決定せず、自主的に受注活動を行う、③今後、JCHOまたはJCHOが運営する病院が購入する医薬品に係る予定価格の設定のために参考とされる見積価格を提示するに当たり、相互または他の事業者と参考見積価格に関する情報交換を行わない―ことについて取締役会で決議するよう求めた。
◎課徴金額 アルフレッサ1億7562万円、東邦薬品1億6189万、スズケン8634万円
また、これら内容をJCHOまたはJCHOが運営する病院に通知するとともに、自社の従業員に周知徹底するよう命じた。その上で、卸3社に課徴金を課している。アルフレッサは1億7562万円で、課徴金減免制度の適用を申請した結果、課徴金額の30%の減額が認められた。東邦薬品は1億6189万円で、同社も課徴金額の30%の減額が認められた。スズケンは8634万円で、16年度は課徴金額の50%、18年度は30%の減額が認められた。なお、納付期限は22年10月31日としている。