【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

東邦HD・馬田COO スペシャリティ製品・フルラインサービス提供体制「グループにとって重要な進展」

公開日時 2025/05/16 04:50
東邦ホールディングス(HD)の馬田明専務取締役COO(東邦薬品社長)は5月15日の24年度決算説明会で、23年5月発表の中期経営計画(23~25年度)で主要施策に掲げた「スペシャリティ製品 フルラインサービス」の取り組み状況を説明した。馬田COOは、「バイオ医薬品のみならず、再生医療等製品も対象にしたスペシャリティ製品の取り扱いについて多くのサービスを提供できる体制の構築を進展させている。当社グループにとっては重要な進展となる」と強調した。

馬田専務は、「スペシャリティ製品 フルラインサービス」の具体的内容について、「供給元である国内外のバイオベンチャーや海外の医薬品メーカーに対し、製品の研究開発から製造、流通に至る一連の流れに沿って必要とされるサービスを提供していく仕組みのこと」と説明。その上で、「中計の中でも主要な取り組みとして開示しているが、その具体的な取り組みをようやくお見せできる段階になった」と進捗状況を披露した。

◎バイオベンチャーとの積極的な出資による業務提携を促進

同社では、積極的な出資によるバイオベンチャーとの業務提携を進めており、▽サイノスバイオ社と資本業務提携による再生医療等製品・サクラシーの流通受託、▽イシンファーマ社と資本業務提携による再生医療等製品サプライチェーンの確立―の成果を上げた。また、再生医療等製品の上市を目指すバイオベンチャーをサポートするため、帝人リジェネットと伊藤忠商事と連携し、再生医療エコシステムを構築する。

3社で構築するこの再生医療エコシステムについて、馬田専務は「再生医療等製品の研究・開発から事業計画策定、治験薬製造、製品製造、流通までのワンストップサービス体制の構築を目指す。このサービスを通して、バイオベンチャーコミュニティーでの流通における競争優位の確立を目指するものだが、このプラットフォームそのものから利益貢献も目指すものであり、新規事業としての展開も視野に入れている」と語った。

◎TBCダイナベースの施設内に二次包装機能を有する「羽田パッケージングセンター」開設

また、同社は羽田空港に近い好立地の同社大規模高機能物流センター「TBCダイナベース」の同一施設内に、新たに二次包装機能を有する「羽田パッケージングセンター」を開設した。さらに、産総研・慶應義塾・リプロセル社と「再生医療等製品の最適な輸送および保管条件の確立」に向けた共同研究契約を締結。佐川急便とは、スペシャリティ製品の患者宅配送サービス「L1MON」(リムオン)を開始した。

馬田専務は、「スペシャリティ製品の取り扱い強化に向けた、産総研・慶應義塾・リプロセルや佐川急便との連携、ワコン社をはじめとした多様な企業との連携による物流システムの高度化、帝人リジェネット・伊藤忠商事との連携による再生医療エコシステムの構築は、当社の医薬品卸売事業の中長期的な成長を支えるインフラとなるものだ」と強調した。

◎24年度連結業績 売上高2.8%増の1兆5185億円 営業利益2.0%減の189億円

東邦HDの24年度連結業績は、売上高が前期比2.8%増の1兆5185億円、営業利益は販管費が増加したことで2.0%減の189億円と増収・減益だった。売上全体の9割超を占める医薬品卸売事業の売上高は、コロナ関連製品の大幅な減少があったものの、スペシャリティ製品など取扱卸限定品が引き続き成長したため、2.7%増の1兆4635億円となった。

同事業の売上総利益(粗利)は1.2%増の845億円。粗利率は前期の5.86%から5.77%に0.09ポイント悪化した。馬田専務は「流通改善GLに沿って別枠品などを中心とした単品単価交渉に努めた結果、一定程度の売差改善を進めることができたが、一方で、メーカー様からの仕入原価は上昇しており、粗利面での貢献は非常に限定的だった。リベート・アローアンスの観点では、リベート率としては大きな変化はなかったが、アローアンスは製品カテゴリ―の変化もあり、率として減少傾向にあった。一方で、子宮頸がんワクチンやコロナワクチンが伸長したことは粗利率としてはプラスになったと認識している」と指摘した。

25年度連結業績予想は、売上高が3.5%増の1兆5720億円、営業利益が9.3%増の207億円を見込む。医薬品卸売事業の売上高は3.2%増の1兆5110億円、売上総利益は2.0%増の862億円を予想。粗利率は5.70%とやや悪化する見通し。「メーカー様からの仕入れ原価が昨年以上に上昇していると捉えている。引き続き流通改善GLに沿った製品価値に見合った取り組みを進めていくが、原価高騰の影響が大きいことや相対的に粗利率としては低いスペシャリティ製品などの売上構成が増えていくことも踏まえ、昨年より若干下がる見通しとしている」と説明した。

今後の粗利率の改善策については、「医療用医薬品の市場において今後の成長軸となるのはスペシャリティ製品であると捉えているが、スペシャリティ製品の粗利率は医薬品卸の販促活動やプロモーションを必要とするような薬剤と比べると相対的に低い傾向にある。ただ、1箱当たりの単価が大きいこともあり、中長期的な経営計画に基づき、この領域の取り組みを強化していくことで、粗利額の観点では貢献が見込めると考えている。また、慢性疾患を中心とする薬剤の領域でも販促活動を必要とする対象商品は減少しているが、当社が以前より取り組みを強化しているリモートディテーリングや顧客支援システムの連携による疾患啓発活動などに対してのご評価をいただいており、こちらについても引き続き取り組んでいきたい」と話した。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(0)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー