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KMバイオ・永里社長 新型コロナの不活化ワクチン「9月申請目指す」 乳幼児向けも

公開日時 2022/04/21 04:51
KMバイオロジクスの永里敏秋社長は4月20日の記者会見で、開発中の新型コロナに対する不活化ワクチン「KD-414」について、「本年(2022年)、9月申請を目指す」と表明した。18歳以上40歳以下の成人に対して3回接種で初回免疫を獲得するワクチンと、生後6カ月以上18歳未満の小児に対して2回もしくは3回接種で初回免疫を獲得するワクチンを開発。若年齢層でワクチン接種率が低い状況や、現在5歳未満に接種できるワクチンがない状況を早期に改善し、集団免疫獲得の一助とする考えだ。また、オミクロン株などの変異株に対するワクチンを迅速に開発・製造するため、「プロトタイプワクチン(製造株の変更を想定した模擬ワクチン)」としての承認取得も目指す。

不活化ワクチンは乳幼児や小児の定期接種ワクチン、インフルエンザワクチンなどで長年使われてきたモダリティで、副反応が比較的少ないワクチンとして知られている。現在、日本で新型コロナに対する不活化ワクチンはなく、KD-414が1番手で登場する可能性がある。5歳未満に投与できる初の新型コロナワクチンとなる可能性もある。

◎Meiji Seika・小林社長 「国家安全保障上の武器として早期承認を求めていく」

KMバイオと同じ明治ホールディングスの傘下で、ワクチン開発を支援しているMeiji Seika ファルマの小林大吉郎社長は会見で、「行動範囲の広い若年齢層のワクチン接種率の早期改善。5~11歳の小児のワクチン接種率、特に5歳未満に接種できるワクチンがない状況の早期改善は重要だ」と指摘。「エンデミックに向かって継続したワクチン接種は避けられない」とも見通し、KD-414で特に乳幼児・小児・若年齢層の重症化予防と、社会全体の集団免疫獲得に貢献したいと話した。

さらにKD-414は国内で製造する国産ワクチンであることを改めて訴えた上で、「KD-414の臨床的な必要性、不可欠性は明らか。緊急性もある」と強調し、「国家安全保障上の重要な武器として、早期承認を求めていく」とも語った。すでに生産設備は完成し、5月から稼働できる状態になっている。

永里社長も、「いま、感染者数が減らない理由は小さなお子さんがいる家庭での家庭内感染。いつまでたっても同じことの繰り返しになり、問題解決しない」と指摘。「いかに早く集団免疫を獲得するかを考えるとき、不活化ワクチンの存在意義はあると思っている」と述べ、安全性が高く、小児の定期接種ワクチンとしても馴染みのある不活化ワクチンは保護者の受入れも良いとの見方を示した。

◎「緊急承認制度」の活用を視野に早期申請目指す

永里社長は、KD-414の開発・申請計画について、▽安全性と、若い年齢層ほど中和抗体陽転率及び中和抗体価の増加が認められた国内第1/2相臨床試験結果(20歳以上、210例)、▽7月中に全データがまとまる予定の国内第2/3相試験結果(18歳以上、2000例)、▽4月下旬から開始する小児の国内第2/3相試験結果(6カ月以上18歳未満、600例)――の3つの試験結果を用いて、現在国会で審議されている「緊急承認制度」を活用した早期承認申請を9月に行う計画を明らかにした。同制度は、緊急時に健康被害の拡大を防止するため、安全性が確認され、有効性が推定される医薬品等に承認を与えるもの。

さらに、日本とフィリピンで18歳以上40歳以下の成人1500例を対象にした第3相臨床試験(多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較試験)を4月下旬から開始。アストラゼネカ製の新型コロナワクチン・バキスゼブリア筋注を対照薬に、KD-414の免疫原性、有効性、安全性を比較し、結果をPMDAに追加提出する形で開発を進める考えを示した。成人向けのKD-414の用法・用量は、1回0.5mLずつ2回、28日の間隔をおいて筋注し、2回目接種13週後に0.5mLを1回筋注する――となる。

対照薬をバキスゼブリアとした理由については、▽英国で4月に承認された新型コロナの不活化ワクチンの臨床試験で、対照薬がバキスゼブリアだった、▽PMDAとの治験相談で既承認ワクチンと比較して優越性を示すことが求められ、バキスゼブリアを対照薬とするよう助言があった――ことをあげた。

なお、成人向けの国内第1/2相臨床試験は3用量群(H群、M群、L群)で実施。死亡・重篤な副反応、接種を中止せざるを得ない副反応の発現はなく、健康成人および高齢者での忍容性が確認された。特に、mRNAワクチンにみられるような日常生活に支障のある重度(Grede3)以上の副反応は高用量の「H群」での回復性の発熱1例のみだった。有効性は、用量依存で中和抗体陽転率および中和抗体価の増加が認められた。特に、若い年代(20歳以上40歳未満)での中和抗体陽転率は100%だった。

◎小児の国内第2/3相臨床試験で接種回数など検討

4月に開始予定の小児の国内第2/3相臨床試験は多施設共同無作為化単盲検試験で、小児における用法(2回接種or3回接種)と用量の設定を試験目的とする。同試験結果や成人の試験結果を踏まえ、小児の第3相臨床試験を行う方針。

◎プロトタイプワクチンの承認取得し、変異株に迅速対応

永里社長はKD-414について、「プロトタイプワクチン」としての承認取得を目指すことも表明した。プロトタイプワクチンは、パンデミックワクチンの迅速な開発・製造のため、ウイルスに応じて製造株の変更を想定した模擬ワクチンのこと。従来株でワクチンを製造して承認を取得するとともに、プロトタイプワクチンとしての承認も得ることで、いち早く市中感染している変異株を用いたワクチンを製造できるようにする。

永里社長は、オミクロン株のBA.2系統は既に入手しているとし、「年明けから早急に変異株を用いたワクチンを生産開始したいという計画がある。不活化ワクチンではこういった製造ができる」と話した。

◎市場環境踏まえて開発戦略を軌道修正

KMバイオとMeiji Seikaはこれまで、初回免疫(1回目、2回目)はファイザー製やモデルナ製などのワクチンを接種し、追加免疫(3回目)にKD-414を用いる「交互接種」での使用を想定して開発してきた。しかし、高齢者を中心に3回目の追加接種が進む一方で、感染拡大している若年層では副反応を理由にワクチン接種が進んでいない/5歳未満のワクチンが存在しない――との市場環境を踏まえ、開発戦略を軌道修正。交互接種ではなく、主に若年層や乳幼児・小児を対象にKD-414で初回免疫を獲得する形で開発を進めることにした。
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