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PMDA 不妊治療薬による卵巣過剰刺激症候群が近年増加、不適切な治療継続も 適正使用呼びかけ

公開日時 2022/10/12 04:48
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、不妊治療における排卵誘発や調節卵巣刺激に用いられる医薬品の副作用として知られる「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」について、中等症OHSSに相当する所見が認められても調節卵巣刺激などの治療が継続される症例も確認されているとして、適正使用を呼びかけている。OHSSの副作用報告数は19年59件、20年72件、21年81件――、副作用救済給付の決定件数は同23件、46件、51件――と、ともに近年増加傾向にある。

女性の卵巣は親指大ほど(3~4cm)の臓器だが、その中の卵胞が不妊治療における排卵誘発剤に過剰に刺激されることによって卵巣がふくれ上がり、腹や胸に水がたまるなどの症状が起こることをOHSSと呼称する。重症例では腎不全や血栓症などの合併症を引き起こすことがある。早期発見と適切な処置が重要となる。

PMDAは医療従事者に対し、排卵誘発や調節卵巣刺激に用いる医薬品の使用にあたっては、▽患者にOHSSについて説明してください、▽各医薬品の添付文書に基づく必要なモニタリングを実施し、OHSSが認められた場合は投与を中止するなど、適切な処置を行ってください――と呼びかけている。患者説明では、OHSSを発症する可能性があることや、下腹部の痛みや緊迫感、腰痛、悪心などの症状や急激な体重増加に注意することを説明し、異常が認めれた場合は直ちに医師等に相談することを求めている。

PMDAは不妊治療が継続され、重症OHSSに至った典型例も紹介している。例えば、ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン(hMG)を用いた調節卵巣刺激を行った症例で、多数の発育卵胞により卵巣がかなり腫大しており、血清エストラジオール(E2)値が2万pg/mLを超え中等症OHSSを発症していたものと考えられたが、同日、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)を投与した。40個以上採卵した当日にOHSSは重症化し、入院加療となった。

hMGを用いた調節卵巣刺激を行った多嚢胞性卵巣症候群の症例では、hMG投与中、血清E2値が1万pg/mL以上、卵巣最大径は8cmを超え、腹水を認め、中等症OHSSを発症していたものと考えられたが、同日hMGとhCGを投与した。採卵直後にOHSSは重症化し、入院のうえ集中治療が必要になった。
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