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政府の「医療DX推進本部」発足 全国医療情報プラットフォーム創設、電子カルテ標準化など新工程表策定へ

公開日時 2022/10/13 04:52
政府の「医療DX推進本部」が10月12日、発足した。初会合で岸田文雄首相は、「全国医療情報プラットフォームの創設や電子カルテの標準化などの施策を中心に、スピード感をもって取り組むための工程表を策定すべく議論いただきたい」と関係閣僚に指示した。診療報酬改定DXや全国医療情報プラットフォームを含めた新たな工程表を、2023年春を目途に策定を目指す。今月中にも取りまとめる経済対策に、「オンライン被保険者資格確認の用途拡大など、今すぐ取りかかれるものについて盛り込む」ことも指示した。23年4月以降のオンライン資格確認が原則義務化を見据え、医療機関や薬局以外で保険証を活用する場での浸透を視野に補助金の活用なども視野に入れて検討を進める方針。

◎医療分野のDX通じサービス効率化や質の向上を実現 診療報酬DXも着手へ

「医療分野でのデジタル・トランスフォーメーションを通じたサービスの効率化や質の向上により国民の保健医療の向上を図るなど、我が国の医療の将来を大きく切り拓いていくものであり、政府としても、今年の骨太の方針に盛り込み、その実現に全力をあげていく」-。岸田首相は医療DX推進本部の初会合でこう強調した。医療DXは岸田内閣が肝いりで推進する政策で、今夏に策定した骨太方針2022にも医療DX推進本部を設置することを明記。「“全国医療情報プラットフォームの創設”、“電子カルテ情報の標準化等”及び“診療報酬改定DX”の取組を行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情報の利活用について法制上の措置等を講ずる」ことが盛り込まれていた。

厚労省内ではすでに電子カルテの標準化や電子カルテ情報の共有基盤の検討などについて検討が進められており、データヘルス改革工程表にも盛り込まれている。工程表では、診療報酬改定DXや全国医療情報プラットフォームについて新たに策定。各省庁間での取り組みを調整して策定する。岸田首相も、「政府においても、縦割りを排し、省庁横断的に取組を推進する体制を整備する必要がある」と医療DX推進本部を立ち上げた理由を語った。

◎加藤厚労相 保健医療データを匿名化・二次利用で医薬品・ヘルスケアの産業振興に役立て

会合には、加藤勝信厚労相、河野太郎デジタル担当相、寺田稔総務相、西村康稔経済産業相が出席した。加藤勝信厚労相は、「医療DXの目指したい姿は、全国医療情報プラットフォームを構築し、一人ひとりが記憶してないような検査結果情報やアレルギー情報を可視化して、安心・安全に医療を受けることを可能にしていきたい。さらに、デジタル化によって医療現場による業務効率化も図ることで、次の感染症危機において、医療現場における情報入力の負担軽減し、必要な情報を迅速かつ確実に取得できるようにしていきたい。収集した保健医療データを匿名化し、二次利用することで医薬品産業やヘルスケア産業の振興にもつなげていきたい。さらに診療報酬改定に関する作業の効率化がなされることによって、医療従事者だけではなく、医療情報システムに関与する人材の有効活用や費用の低減も可能になる」と強調した。

河野太郎デジタル担当相は、「個々の手続きやサービスがデジタルで完結するデジタルファースト、一度提出した情報は二度提出することを不要とするワンスオンリー、さまざまな手続きやサービスがワンストップで実現するコネクテッドワンストップのデジタル三原則は、医療DXにおいても大変重要だ」と表明。「マイナンバーカード1枚で患者の情報がわかるとともに、医師の認証もできる。医療・福祉サービスの手続きがデジタル化されれば、一度入力された情報は再度同じ情報を別の人が入力することもなくなる。マイナンバーカードで自分の健康情報を自分で誰に見せるかをコントロールすることができる。さらに集まった医療情報をビッグデータとして分析、研究開発に活用されることで、エビデンスに基づいた医療の質の向上が実現できるなどを目指し、デジタル化のメリットを早く感じてもらえるように取り組んでいく」と述べた。

寺田稔総務相は、「まずはローカル5Gを活用した診療サービス、つまり遠隔医療の普及に向けた取り組みをやっていく。またPHR、個々人の健康情報を活用することで、さらなる診察内容の精緻化、医療の高度化を図っていきたい。また医療DXにおいて医療・健康データを利活用するための基盤の構築や高度化という形で医療DXに貢献していく」と述べた。

西村康稔経済産業相は、「PHRの環境整備を進めるとともに、民間事業者と連携し、まずは実証事業を通じ、個人の健康状態に合わせた食事やフィットネスなどのサービス創出をしていきたい」と強調。「さらに医療現場において共通のデータ様式や用語の統一などの標準化を進めないとデータが集まらない。個人情報の同意取得や情報セキュリティーもあわせて仕組みを整備していく。このような検討を民間主体で進めるための団体の設立にも、経済産業省として取り組んでいく。さらに医学界とも連携してエビデンスを整理するようなことを通じて、民間事業者が円滑にサービス提供できるような形での支援もしていく」と述べた。

医療DX推進本部の下に、「医療DX推進本部幹事会(議長:木原内閣官房副長官)」を設置し、医療DXの具体的な施策を検討する。幹事会は今後秋中にも初回を開催。3回を予定して議論を詰め、来春にも開催する第2回医療DX推進本部で工程表を策定する。その後は、各省庁で取り組みを推進。定期的に幹事会で実施状況のフォローアップを行い、必要に応じて推進本部を開催する方針。


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