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国がん 21年院内がん登録全国集計結果を公表 コロナ禍で減少の新規患者数が同程度に

公開日時 2022/12/09 04:50
国立がん研究センターは12月9日、2021年に新規にがんの診断や治療を受けた人(以下、登録数)の院内がん登録全国集計結果の速報値を発表した。それによると、新型コロナの流行が始まった20年の調査では、07年の集計開始以来、初めて減少した新規がん登録数が、コロナ禍以前と同程度まで戻った。ただ、国がん・がん対策研究所がん登録センターの石井太祐院内がん登録分析室研究員は「現時点で20年に減少した分が増加したと考えることは難しく、18~19 年平均よりも進行期で発見される傾向かどうかも評価困難だった」と話しており、22年以降も新規登録数や病期(ステージ)等の分析を続けていく必要性を強調した。

国がんは、20年に続き、コロナ禍2年目に当たる21年のがん診療の状況を分析した。今回は、がん診療連携拠点病院と小児がん拠点病院合わせて459施設(うち小児拠点6施設)のうち、18年以降継続してデータ提供があった455施設(同6施設)を対象とした。このデータは新規のがんの50%強をカバーする規模という。それによると、21年の新規がん登録数は、コロナ流行前の18~19年平均の79万8078人に対し80万6589人(18~19年平均比101.1%)と同程度となり、20年の76万5044人(同95.9%)から回復傾向を示した。

◎がん検診推奨部位の健診発見例 いずれも回復傾向もコロナ禍以前に戻らず

また、国がんでは、全体の80万6589人のうち、重複を除く65万260人(自施設初回治療開始例)のデータを用いて、①がん部位②検診など発見経緯③病期(ステージ)④治療方法―の観点から登録数の推移を分析した。それによると、がん部位別では、20年にはほとんどの部位で18~19年平均よりも5%以上登録者が減少したが、21年は多くの部位で回復傾向を示した。21年に18~19年平均より5%以上減少した部位は胃と喉頭、逆に5%以上増加した部位は膵臓、乳房、子宮体部、腎盂尿管、膀胱、白血病だった。

がん検診推奨部位(胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部)別の検診発見例の推移を見ると、18~19年平均比で胃は20年77.7%→21年87.3%、大腸は86.7%→96.6%、肺は87.6%→97.8%、乳房は89.0%→105.7%、子宮頸部86.8%→97.5%といずれも回復傾向を示したが、乳房を除きコロナ禍以前の水準までには至っていない。石井研究員は「今後、検診自体の受診率、ないしは検診を受けた後の精密検査の受診率を併せて評価していく必要がある」との考えを示している。

病期や治療方法については、胃がんと子宮頸がんでは、ステージ1~2の減少を反映して手術の減少が見られた。これらの分析結果を踏まえ、石井研究員は「2020年前半はコロナウイルスについての科学的な知識がなかったため一時的に検診受診の抑制が行われたが、予防策 ・ワクチン等が開発された現在では、がん検診や有症状時の受診など必要な受診は通常通りなされるべきだ」と訴えている。
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