キッセイ薬品 医師にタブネオスの新規投与見合わせを要請 重篤な肝機能障害で国内死亡20例
公開日時 2026/05/15 18:20
キッセイ薬品は5月15日、選択的C5a受容体拮抗薬・タブネオスについて、重篤な肝機能障害で死亡に至った症例が国内で20例報告(因果関係不明を含む)されたと発表した。同社は医療関係者に対し、新規患者への投与を見合わせるよう情報提供活動を開始した。米国では、承認の根拠となった国際共同第3相ADVOCATE試験のデータの整合性に疑義があるなどとして、承認撤回が提案されている。欧州でも調査が始まっている。同社は、今回の新規投与の見合わせについて、「国内の安全性情報の蓄積に基づく、患者さんの安全性を最優先にした当社の自主的な判断」と説明。米国などでの有効性をめぐる問題がきっかけではないとしている。
同社は医療関係者に対し、当面の間は、▽新規患者への本剤の投与を控えてください、▽継続投与中の患者には、肝機能障害のリスク及び代替治療について十分説明いただき、継続投与の是非を慎重に判断ください――と求めている。
◎国内推定使用患者数8503人 重篤なVBDS 22例、死亡13例
同社の安全性データベースによると、同剤の2022年の国内販売開始から26年4月27日までの国内推定使用患者数8503人において、胆管消失症候群(VBDS)を含む重篤な肝機能障害で死亡に至った症例が、薬剤との因果関係不明を含め、20例報告された。うちVBDSについては、市販後において重篤な症例が22例、死亡13例が報告されている(薬剤との因果関係不明を含む)。いずれも既知の「重大な副作用」であり、同社はこれまでも注意喚起してきた。
なお、同社は5月11日、米国での承認撤回提案や欧州での調査開始について、情報収集を進めるとともに、PMDAに適宜報告し疑義照会に対応中と明らかにしている
(関連記事はこちら)。同社は5月15日時点で、「日本における本剤の承認は継続している」とも話している。
◎米FDA「薬剤が有効であるように見せた」と指摘
一方、米国では、FDAの医薬品評価研究センター(CDER)が4月27日、新たに得られた事実から、「有効性が示されていない」、「承認申請書類には重要な事実に反した記載が含まれている」として承認撤回提案を行っている。同社は5月15日、米国での承認撤回提案をめぐる動きについて、FDAの公開文書をもとに、医療関係者向けホームページ上で情報提供を始めた。
それによると、公開された文書においてFDAは、「ADVOCATE試験において、盲検化されていない担当者が、当初の解析では有効性を支持しない結果であることを知った上で中央判定委員会に再判定を依頼し、薬剤が有効であるように見せた」と指摘。この再判定が米国での承認審査過程で開示されていないこともあり、「これらが、タブネオスが承認された適応症に対して有効であることを示す十分な科学的根拠が存在するとは結論できないとの見解に至った要因」だとしている。
タブネオスの米国承認は、創製元の米ケモセントリクス社(現アムジェン)が取得した。国内権利を獲得したキッセイ薬品はADVOCATE試験結果などをもとに日本で承認申請し、21年9月に顕微鏡的多発血管炎(MPA)及び多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の効能・効果で承認を取得した。