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BRAF阻害薬・ビラフトビの結腸直腸がん1次治療の追加など新薬3製品を審議へ 10月29日の第二部会で

公開日時 2025/10/16 04:48
厚生労働省は10月29日に薬事審議会・医薬品第二部会を開き、小野薬品のBRAF阻害薬・ビラフトビカプセルにBRAF遺伝子変異陽性結腸・直腸がんの1次治療を追加するなど新薬3製品の承認の可否を審議する。このほかの審議予定品目は、ブリストル・マイヤーズ スクイブのROS1阻害薬・オータイロカプセルにがん種横断適応となるNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発固形がんの追加、中外製薬の抗CD20/CD3二重特異性抗体・ルンスミオの皮下注製剤の追加となる。

◎ダラキューロの「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫」の適応追加を報告へ 初の治療薬に

報告予定品目は3製品。この中にはヤンセンファーマの抗CD38抗体/ヒアルロン酸分解酵素配合剤・ダラキューロ配合皮下注に「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」の適応を追加することがある。承認されれば、ダラキューロは多発性骨髄腫(MM)に進行するリスクの高いくすぶり型(無症候性)MMに対する国内初の治療薬となる。

このほか、同日の部会では、8月22日の部会で承認することが了承されたものの、部会後に確認事項があるということで現時点で承認が見送られているヤンセンファーマのリブロファズ配合皮下注について、「その後の対応」(厚労省医薬品審査管理課)も報告される予定。リブロファズは抗EGFR/MET二重特異性抗体・アミバンタマブとrHuPH20製剤を組み合わせた皮下注製剤で、効能・効果はアミバンタマブ(製品名:ライブリバント点滴静注)と同じ。

【審議予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
ビラフトビカプセル50mg、同カプセル75mg(エンコラフェニブ、小野薬品):「BRAF遺伝子変異を有する治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。

BRAF阻害薬。種々のがんに関連するマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路上のBRAFを標的として選択的に阻害し、がん細胞の増殖を抑制する。今回、BRAF遺伝子変異陽性結腸・直腸がんの1次治療の承認の可否が審議される。小野薬品は24年12月に、セツキシマブ及びFOLFOX併用下における1次治療を申請した。

ビラフトビは現在、BRAF遺伝子変異陽性の結腸・直腸がんに対し、がん化学療法後に増悪した症例(2次治療以降)におけるセツキシマブとの併用、又はビニメチニブ及びセツキシマブとの併用で承認されている。

オータイロカプセル40mg、同カプセル160mg(レポトレクチニブ、ブリストル・マイヤーズ スクイブ):「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がん」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。

ROS1阻害薬。ATP競合性のROS1、TRKA/B/Cを選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬で、ROS1またはNTRK融合遺伝子を有するがん細胞の増殖を抑制する。このうちNTRK融合遺伝子は、NTRK融合遺伝子陽性の固形がんにおいて発がんドライバーとして作用すると考えられている。NTRK融合遺伝子の発現頻度は主要ながんで低いことから、患者数は極めて少ないとみられる。

対象疾患の、がん種を問わないNTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形がんの適応を持つ薬剤には、ロズリートレクやヴァイトラックビがある。オータイロはこれらと同様に小児への用量も設定されている。

なお、オータイロは現在、ROS1融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを効能・効果に承認されている。

ルンスミオ皮下注5mg、同皮下注45mg(モスネツズマブ(遺伝子組換え)、中外製薬):「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」を対象疾患とする新投与経路医薬品。

抗CD20/CD3二重特異性抗体。静注製剤が24年12月に承認されており、今回、皮下注製剤の追加が審議される。抗CD20/CD3二重特異性抗体では、エプキンリ皮下注が「再発又は難治性の濾胞性リンパ腫」の適応を持っている。

【報告予定品目】(カッコ内は一般名、申請企業名)
報告品目は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)の審査段階で承認して差し支えないとされ、部会では審議せず、報告のみでよいと判断されたもの。

ベネクレクスタ錠10mg、同錠50mg、同錠100mg(ベネトクラクス、アッヴィ):「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

経口BCL-2阻害薬。慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)の1次治療を追加するもの。CLL/SLLに関して、現在、再発又は難治性に対する適応を持っている。

CLLは、欧米では最も多く見られる白血病で、成人の白血病全体の約30%を占める。一方、日本のCLLの推定総患者数は約6000人と報告されており、日本では患者数の少ない稀な疾患。予後不良のリスクが高い患者においては、遺伝的要因を有する患者が含まれる。SLLは、末梢血や骨髄への浸潤がないCLLと同一の細胞の腫瘍と定義され、多くは緩徐な経過を示すが、一部に進行が速く予後不良なものがみられる。

ダラキューロ配合皮下注(ダラツムマブ(遺伝子組換え)/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」を対象疾患とする新効能・新用量医薬品。

ヒト型抗CD38モノクローナル抗体/ヒアルロン酸分解酵素配合剤。承認されると、ダラキューロは国内初の「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」の適応を持つ薬剤になる。

対象疾患のくすぶり型多発性骨髄腫は、多発性骨髄腫の無症候性の前駆状態であり、異常な形質細胞が骨髄内で検出されるが、無症状との特徴がある。現在は多発性骨髄腫に進行するまで治療されておらず、標準的なアプローチとして生化学的な病勢進行及び/又は末端の臓器障害発現まで経過観察とし、症候性となってから治療を開始している。しかし最近のエビデンスでは、多発性骨髄腫への進行リスクの高い患者には、早期からの治療介入が効果的である可能性が示唆されている。

アネメトロ点滴静注液500mg(メトロニダゾール、ファイザー):「○嫌気性菌感染症<適応菌種>本剤に感性のペプトストレプトコッカス属、バクテロイデス属、プレボテラ属、ポルフィロモナス属、フソバクテリウム属、クロストリジウム属、ユーバクテリウム属、<適応症>敗血症、深在性皮膚感染症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、肺炎/肺膿瘍/膿胸、骨盤内炎症性疾患、腹膜炎/腹腔内膿瘍、胆嚢炎/肝膿瘍、化膿性髄膜炎、脳膿瘍、○感染性腸炎<適応菌種>本剤に感性のクロストリジウム・ディフィシル、<適応症>感染性腸炎(偽膜性大腸炎を含む)、○アメーバ赤痢(小児用量の追加)」を対象疾患とする新用量医薬品。事前評価済公知申請。

小児用量を追加するもの。事前評価済み公知申請品目であり、保険適用済み。
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