国立成育医療研究センターとMICINは1月24日、医療的ケア児の体調を介護者や医療者に情報共有するアプリの探索臨床研究を開始したと発表した。今月からユーザビリティ評価を実施し、保護者、介護者と子どもを預かる施設の双方で、質問内容の入力時の問題、情報交換する際の問題点の有無などについての検討に着手する。

国立成育医療研究センターと MICIN は、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム（SIP）「ＡＩ（人工知能）ホスピタルによる高度診断・治療システム」事業において、医療的ケア児の保護者へのアンケート調査やインタビューなどをこれまで実施してきた。今回のアプリ開発は、こうした取り組みを通じて得た知見から、保護者の日常生活の負担を低減する手法を検討。解決策の一つとして MICIN が開発した治療生活支援アプリ「MedBridge (メドブリッジ)」をベースに新たなアプリを共同開発することになった。

全国で約２万人と推計される医療的ケア児は、たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアが日常的に必要となる。また、病態により状態が個人で異なることから、保護者・介護者の判断が難しく、在宅環境の中では介護者が医療的ケア児の健康状態を的確に把握できるかの不安や、介護者となる母親に負担が集中したりする傾向があった。今回のアプリ開発に際しては、保護者・介護者がアプリを的確に操作でき、心理的・身体的負担を軽減することができれば、ケア経験の少ない他の家族や介護職にも患児のケアに参画してもらうことが可能になると期待を込めている。