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住友ファーマ・野村社長 限定出荷のツイミーグ「夏には正常化できる」 増産に向け準備中

公開日時 2023/05/16 04:51
住友ファーマの野村博代表取締役社長は5月15日、2022年度(23年3月期)決算説明会で、限定出荷中の2型糖尿病治療薬・ツイミーグについて、「夏には正常化できると思う」と見通しを示した。想定を大幅に上回る処方により社内在庫がひっ迫し、4月下旬から限定出荷となっている。野村社長は現状を陳謝するとともに、「原薬の生産、製剤化、包装化の増産に向けて準備している」と話した。

同社は4月下旬に、「『ツイミーグ錠500mg』供給に関するお詫びとお願い」を発出した。この中で同剤について、「想定を大幅に上回る処方をいただいており、一時的に弊社在庫がひっ迫する状況となった」と報告。医薬品卸に対して限定出荷とするとともに、治療継続中の患者への安定供給を最優先とするため、新規患者への処方開始を見合わせるよう求めた。

同剤の22年度売上(仕切価ベース)は22億円、23年度は42億円と予想している。

◎22年度連結業績 売上5555億円 営業損失769億円

22年度連結業績及び23年度予想は、4月28日に公表した22年度業績予想の修正(記事はこちら23年度を初年度とする5カ年の新中期経営計画(記事はこちらの通り、厳しい数値が並んだ。

22年度の連結業績は売上5555億4400万円(前年度比0.8%減)、営業損失769億7900万円、親会社帰属純損失745億1200万円だった。利益面の赤字要因は複数あり、特に▽米国で売上計画を下回る状況が続いていたパーキンソン病治療薬・キンモビの556億円の減損損失、▽開発中止となった急性骨髄性白血病(AML)治療薬候補TP-0903の206億円の減損損失、▽北米事業構造改善費用127億円――をそれぞれ計上したことが影響した。日本市場でも、▽約8%台半ばの薬価改定影響(109億円)、▽ファブリー病治療薬・リプレガルの22年2月での契約終了(21年度売上124億円→22年度ゼロ)、▽2型糖尿病薬・トルリシティの22年12月での販売契約終了(同336億円→248億円)――などが響いた。

◎22年度国内市場は15.9%減収

なお、22年度の日本市場の売上は1261億円(前年度比15.9%減)だった。ラツーダは96億円(39.3%増)、22年9月に長期投与が解禁されたツイミーグは22億円としたが、薬価改定や、リプレガル及びトルリシティの提携終了の影響が大きかった。

◎23年度予想 コア営業損益も620億円の赤字に ラツーダクリフの影響大きく

23年度連結業績は、売上3620億円(34.8%減)、コア営業損失620億円、営業損失780億円、親会社帰属純損失800億円――と予想した。コア営業損益も赤字となり、営業損益は約10億円損失が増加する見通しだ。野村社長は4月28日の新中期経営計画の発表会見で、23年度を業績の底に24年度からコア営業損益の黒字化を目指す方針を示していたが、この日の決算会見でも「(コア営業損益の)2年連続の赤字は何とか避けたいと思っている。24年度に向けてできることを23年度に色々考えてやっていく」と強調した。

◎ラツーダ米国売上 22年度1985億円→23年度予想209億円

23年度は、米国で人員削減や合理化を進めて販管費を前年度から736億円(31.4%)圧縮し、トータルで販管費を799億円(26.7%)減らす計画。しかし、連結売上の4割近くを占める主力の抗精神病薬・ラツーダが23年2月に米国で特許が満了し、この影響が23年度にフルに出るため利益面での赤字は避けられない状況となった。

ラツーダの米国売上は、22年度は1985億円(2.8%減)だったが、23年度は209億円(89.5%減)になると予想。23年度は金額で1776億円の大幅減収になるとしている。

ラツーダの米国特許満了後の新たな成長は、前立腺がん治療薬・オルゴビクス、子宮筋腫及び子宮内膜症の治療薬・マイフェンブリー、過活動膀胱治療薬・ジェムテサ――の新製品3品目の米国での早期最大化と、自社創製品の開発・上市成功がカギをにぎる。自社創製品では統合失調症などを対象疾患に、日米で開発中のTAAR1アゴニスト「ulotaront」(開発コード:SEP-363856)への期待が大きい。

◎オルゴビクスとジェムテサは倍増、マイフェンブリーは5倍以上の増加を計画

各製品の23年度売上予想はオルゴビクス515億円(108.5%増)、マイフェンブリー249億円(454.1%増)、ジェムテサ470億円(90.5%増)――で、3製品とも急成長させるとした。野村社長は倍増を計画するオルゴビクスやジェムテサについて、23年3月末までの出荷状況や両剤を手掛けていたマイオバント社の100%子会社化による販売活動の効率化・加速化により、「オルゴビクスとジェムテサはそれほど難しい数字ではない」との認識を示した。

23年度に5倍以上伸ばす計画のマイフェンブリーについては、「若干ストレッチした目標」だとした。ただ、今回設定した売上目標に近づけるため、テレビCMやソーシャルメディアなどを通じて「産婦人科医や患者に、この薬剤への関心を高めてもらう」ことに取り組むほか、製薬企業が患者負担軽減のために発行する「コペイカード」について、当初想定よりも発行数が多い現状を精査・修正していく構えをみせた。コペイカードは米国特有の仕組みで、患者は当該薬剤を通常よりも安く購入でき、製薬企業がその埋め合わせをするもの。

23年度の日本市場は売上1050億円(16.7%減)と予想した。ラツーダは125億円(30.5%増)、ツイミーグも限定出荷解除と成長を計画したが、トルリシティの販売提携終了が大きく影響する。

【22年度連結業績 (前年同期比) 23年度予想(前年同期比)】
売上高 5555億4400万円(0.8%減) 3620億円(34.8%減)
コア営業利益163億6400万円(72.0%減) ▲620億円(-)
営業利益 ▲769億7900万円(-) ▲780億円(-)
親会社帰属純利益 ▲745億1200万円(-) ▲800億円(-)

【22年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 23年度予想、億円】
エクア・エクメット 336(375) 324
トルリシティ 248(336) -
トレリーフ 167(164) 150
ラツーダ 96(69) 125
メトグルコ 77(81) 75
ロナセンテープ 29(21) 33
ツイミーグ 22(2) 42
オーソライズドジェネリック品 92(97) 86
*トルリシティ以外は仕切価ベース。トルリシティは薬価ベース。
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