日本製薬団体連合会の岡田安史新会長（エーザイ代表執行役COO）は5月25日、就任挨拶をホームページ上に公開した。同日付で就任した岡田会長は、「各団体の意見や提言を傾聴しつつ、様々なステークホルダーの皆さまと対話し、立ちはだかる課題の解決に取り組み、健康寿命の延伸、経済成長の牽引、および経済安全保障の強化に大いに貢献してまいります」と抱負を語った。

岡田会長は前職で製薬協会長を務め、前任者の眞鍋淳日薬連会長（現・第一三共会長）とともに、製薬業界の懸案事項である薬価・流通、産業構造、ビジネスモデルの転換などの課題に業界の顔として様々な議論をリードしてきた。今回は眞鍋会長の後任として、製薬協から日薬連に立場を変え、日薬連傘下の団体と連携しながら製薬業界の抱える懸案事項に引き続き立ち向かうことになる。

◎岡田会長「国の基幹産業として経済成長に貢献することが期待されている」

岡田新会長は挨拶の中で、日本の社会経済・社会構造が急速に変化していることを捉え、「国民皆保険制度のもとで国民の豊かで健やかな生活を維持するためには、経済・財政・社会保障の抜本的見直しが不可欠な状況だ。このような状況において、医薬品産業にも、国民皆保険の支え手として、自ら変革を遂げ続け、国民の健康増進に寄与するとともに、国の基幹産業として経済成長に貢献することが期待されている」との現状認識を改めて強調した。

◎ドラッグラグ・ロスの顕在化、相次ぐ品質管理問題、原薬の過度な海外依存など課題山積

一方で、「いわゆるドラッグラグ・ロスの顕在化、相次ぐ品質管理の問題や原薬の過度な海外依存に起因するサプライチェーンの脆弱性による医薬品の安定供給不安など、様々な課題が露呈している」と指摘。「医薬品業界の使命は、アンメット・メディカルニーズを満たす有効で安全な医薬品を創出すること、ならびに国民の日々の生活に欠かせない高品質な医薬品を製造し、非常時にあっても安定供給を維持すること」と述べ、業界内はもちろん外部のステークホルダーとも対話を続けながら日本が抱える種々課題についても産業界の立場から貢献したいと意気込みを語った。