厚労省 新薬等15製品を承認 新有効成分は3製品 ノボの週1回投与の2型糖尿病配合剤・キーンスも
公開日時 2026/02/20 04:50
厚生労働省は2月19日、新医薬品など15製品を承認した。新有効成分含有医薬品は、ファイザーのHER2陽性乳がんに対する経口HER2阻害薬・ツカイザ錠(一般名:ツカチニブ エタノール付加物)、アッヴィの片頭痛の発症抑制に用いる経口CGRP受容体拮抗薬・アクイプタ錠(アトゲパント水和物)、IPSENの進行性骨化性線維異形成症治療薬・ソホノスカプセル(パロバロテン)――の3製品。
また、今回の承認品目には、新医療用配合剤としてノボ ノルディスク ファーマの週1回投与の2型糖尿病治療薬・キーンス配合注(インスリン イコデク/セマグルチド)が含まれる。
承認された製品は次の通り(カッコ内は一般名、製造販売元)。薬効分類及び投与経路順に記載。
【新有効成分含有医薬品】
▽アクイプタ錠10mg、同錠30mg、同錠60mg(アトゲパント水和物、アッヴィ):「片頭痛発作の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は、小児開発の必要性から2年間の延長が認められ、10年。薬効分類119。
経口CGRP受容体拮抗薬。用法・用量は、「通常、成人にはアトゲパントとして60mgを1日1回経口投与する」。アッヴィのティアゴ・カンポス ロドリゲス社長は、今回の承認取得を受けて、「片頭痛治療に新たな選択肢が加わることで、より多様な患者さんの予防治療ニーズに応えることが可能となり、個人の健康や生活の質が向上するだけでなく、社会における生産性の向上や医療制度のよりよい活用にもつながる効果が期待される」とコメントしている。
国内で同じ経口CGRP受容体拮抗薬として、ファイザーのナルティークOD錠が25年9月に片頭痛発作の発症抑制(予防療法)と急性期治療の両方の適応で承認され、販売されている。アッヴィは25年12月、アクイプタ錠について片頭痛発作の急性期治療で承認申請している。
海外でアクイプタは、2021年9月に米国で「成人の反復性片頭痛発作の発症抑制」の効能・効果で承認されて以降、25年11月現在、「片頭痛発作の発症抑制」に係る効能・効果で欧米を含む60を超える国又は地域で承認されている。
▽ソホノスカプセル1mg、同カプセル1.5mg、同カプセル2.5mg、同カプセル5mg、同カプセル10mg(パロバロテン、IPSEN):「進行性骨化性線維異形成症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類399。
レチノイン酸受容体ガンマ作動薬で、国内初の進行性骨化性線維異形成症(FOP)に対する治療薬。ソホノスは成人、及び8歳以上の女児、10歳以上の男児のFOPに対し、規定の用量を1日1回食事中又は食直後に経口投与で用いる。
FOPは、異常な骨形成が持続的かつ恒久的に進行する希少骨疾患で、進行性の運動機能低下と平均余命の短縮を引き起こす。IPSENの野田征吾社長は、今回の承認取得を受けて、「身体機能の著しい低下を引き起こすFOPと生きる患者さんの生活に深刻な影響を及ぼす、異所性骨化として知られる新たな異常骨形成を抑制することが示された革新的な医薬品の製造販売承認を取得できたことを、心より嬉しく思っている」とコメントしている。
海外では、2022年にカナダで承認されて以降、25年12月現在、米国を含む5カ国で承認されている。米国では23年8月に承認された。
▽ツカイザ錠50mg、同錠150mg(ツカチニブ エタノール付加物、ファイザー):「化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。薬効分類429。
HER2選択的チロシンキナーゼ阻害剤。用法・用量は「トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びカペシタビンとの併用において、通常、成人には1回300mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
今回の承認は、トラスツズマブ、ペルツズマブ及びトラスツズマブ エムタンシンの治療歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がん患者を対象とした海外第2相試験と、日本を中心とした国際共同第2相試験の結果等に基づく。ファイザーは、「この度の承認により、HER2陽性の転移・再発乳がん治療におけるアンメットメディカルニーズである、抗HER2療法に抵抗性を示した患者さんや脳転移のある患者さんに対する新たな治療選択肢が加わることとなる」としている。
海外では、2025年9月時点において、化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳がんに係る効能・効果で、50以上の国又は地域で承認されている。
【新有効成分含有医薬品以外(効能追加、用法追加、新投与経路、配合剤)】
▽パルモディアXR錠0.2mg、同XR錠0.4mg(ペマフィブラート、興和):「高脂血症(家族性を含む)」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類218。
フィブラート系薬剤。新たな用法・用量は、「通常、成人にはペマフィブラートとして1回0.2mgを1日1回経口投与する。ただし、トリグリセライド又はLDL-コレステロール高値の程度により、1回0.4mgを1日1回まで増量できる」となり、「又はLDL-コレステロール」が追記された。これにより現在のトリグリセライド高値に加え、LDL-コレステロール高値の程度によって増量できることになった。
▽メキニスト錠0.5mg、同錠2mg(トラメチニブ ジメチルスルホキシド付和物、ノバルティス ファーマ):「がん化学療法後に増悪した低異型度漿液性卵巣がん」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和8年3月27日まで)。薬効分類429。
MEK阻害薬。事前評価済み公知申請品目であり、保険適用済み。用法・用量は「通常、成人には2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
▽テゼスパイア皮下注210mgシリンジ、同皮下注210mgペン(テゼペルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(既存治療で効果不十分な患者に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和14年9月25日まで)。薬効分類229。
抗TSLP抗体。国内では22年9月に気管支喘息の適応で承認されており、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(CRSwNP)は、それに続く2つ目の適応となる。CRSwNPの用法・用量は「通常、成人には1回210mgを4週間隔で皮下に注射する」。
国内でCRSwNPの適応で承認されている生物製剤には、抗IL-4/13受容体抗体・デュピクセント皮下注(2週間隔で皮下投与。症状安定後には4週間隔)、抗IL-5抗体・ヌーカラ皮下注(4週間隔で皮下投与)、抗IL-5抗体・エキシデンサー皮下注(26週間隔で皮下投与)がある。
▽キーンス配合注フレックスタッチ(インスリン イコデク(遺伝子組換え)/セマグルチド(遺伝子組換え)、ノボ ノルディスク ファーマ):「インスリン療法が適応となる2型糖尿病」を効能・効果とする新医療用配合剤。再審査期間は残余(令和14年6月23日まで)。薬効分類396。
週1回投与の基礎インスリン製剤・アウィクリ注と週1回投与のGLP-1受容体作動薬・オゼンピック皮下注を固定比率で配合した、週1回の皮下投与製剤。プレフィルドペン型注射器「フレックスタッチ」で用いる。
用法・用量は、「通常、成人には、40ドーズ(インスリン イコデク/セマグルチドとして40単位/0.114mg)を開始用量として週1回皮下注射する。その後は患者の状態に応じて適宜増減するが、週350ドーズ(インスリン イコデク/セマグルチドとして350単位/1.0mg)を超えないこと。なお、本剤の用量単位である10ドーズには、インスリン イコデク10単位及びセマグルチド0.029mgが含まれる」。
ノボ ノルディスク ファーマのマルチン ジヒマ開発本部長は、承認の根拠となったCOMBINE試験の結果から、「BasalインスリンまたはGLP-1受容体作動薬で十分な血糖管理が得られない2型糖尿病のある方々において、本剤は血糖管理だけでなく、体重に関するベネフィットや低血糖の発現率低下をもたらしながら、注射回数を減らすことでインスリン強化療法を簡素化できる可能性があることを示している」とコメント。「糖尿病のある方々の血糖管理や長期予後の改善に寄与できると期待している」と話している。
▽サフネロー皮下注120mgオートインジェクター(アニフロルマブ(遺伝子組換え)、アストラゼネカ):「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間は6年。薬効分類399。
抗I型インターフェロン受容体1抗体。これまでに全身性エリテマトーデス(SLE)に対して点滴静注製剤が「4週間ごとに30分以上かけて点滴静注する」との用法・用量で承認されている。今回、皮下投与製剤が追加され、その用法・用量は「通常、成人には1回120mgを1週間ごとに皮下注射する」。
▽イラリス皮下注射液150mg(カナキヌマブ(遺伝子組換え)、ノバルティス ファーマ):「シュニッツラー症候群」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は10年。薬効分類399。
抗IL-1β抗体。追加適応となるシュニッツラー症候群は、慢性蕁麻疹様皮疹と単クローン性免疫グロブリン血症を特徴とし、間欠熱、骨痛、関節痛(関節炎)を伴う希少な自己炎症性疾患。
その用法・用量は「通常、成人には体重40kg以下の患者では1回2mg/kgを、体重40kgを超える患者では1回150mgを8週毎に皮下投与する。十分な臨床的効果がみられない場合には追加投与又は適宜漸増するが、1回最高用量は体重40kg以下の患者では4mg/kg、体重40kgを超える患者では300mgとする」。
▽トレムフィア皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgペン、同皮下注100mgシリンジ(グセルクマブ(遺伝子組換え)、ヤンセンファーマ):「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の寛解導入及び維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間は残余(令和15年3月26日まで)。薬効分類399。
抗IL-23p19抗体。トレムフィア皮下注は中等症から重症の潰瘍性大腸炎(UC)に対し維持療法が承認されているが、今回、寛解導入療法の効能及び用法が追加された。なお、トレムフィア静注製剤は、中等症から重症のUCの寛解導入療法の適応で承認されている。
▽キイトルーダ点滴静注100mg(ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)、MSD):「局所進行頭頸部がんにおける術前・術後補助療法」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類429。
抗PD-1抗体。用法・用量は、術前補助療法では単独投与、術後補助療法では放射線療法又はシスプラチンを用いた化学放射線療法との併用となる。
切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がんでは、これまで放射線療法(RT)が標準的な術後補助療法とされ、症例に応じてシスプラチンが併用されてきた。しかし、患者の予後は不良で、医療ニーズは依然として高い。MSDは、「今回の適応追加の承認によって、切除可能な局所進行頭頸部扁平上皮がん患者さんに新たな治療選択肢を提供することが可能になった」としている。
▽ベスレミ皮下注250μgシリンジ、同皮下注500μgシリンジ(ロペグインターフェロン アルファ-2b(遺伝子組換え)、ファーマエッセンシアジャパン):「真性多血症(既存治療が効果不十分又は不適当な場合に限る)」を効能・効果とする新用量医薬品。再審査期間は残余(令和13年3月26日まで)。薬効分類429。
ロペグインターフェロンα-2b製剤。これまでに真性多血症に対して、「1回100μg(他の細胞減少療法薬を投与中の場合は50μg)を開始用量とし、2週に1回皮下投与する。患者の状態により適宜増減するが、増量は50μgずつ行い、1回500μgを超えないこと」との用法・用量が設定されている。
今回、急速漸増投与の用法・用量(B法)が追加された。具体的には「通常、成人には、1回250μgを開始用量とし、忍容性が良好であれば2週後に1回350μg、さらに2週後に1回500μg、以降は2週に1回500μgを投与する。なお、患者の状態により適宜減量する」。
▽リツキサン点滴静注100mg、同点滴静注500mg(リツキシマブ(遺伝子組換え)、全薬工業):「自己免疫性溶血性貧血」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類429。
抗CD20抗体。事前評価済み公知申請品目であり、保険適用済み。日本血液学会および日本小児血液・がん学会より開発要望が提出されていたもの。
自己免疫性溶血性貧血(AIHA)は、赤血球膜上の抗原と反応する自己抗体が後天的に産生され、抗原抗体反応の結果、赤血球が破壊(溶血)されて赤血球寿命が著しく短縮することにより生じる免疫性溶血性貧血の総称であり、国の指定難病。
▽ボンベンディ静注用1300(ボニコグ アルファ(遺伝子組換え)、武田薬品):「von Willebrand病患者における出血傾向の抑制」を効能・効果とする新用量医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間は6年1日。薬効分類634。
遺伝子組換えヒトフォン・ヴィレブランド因子製剤。これまでにフォン・ヴィレブランド病(VWD)に対して18歳以上の患者に対する用法・用量が設定されている。今回の承認は、18歳未満に投与を可能とするもので、18歳未満患者の「出血時の止血治療および管理」ならびに「周術期の止血管理」を対象に承認された。なお、出血傾向の抑制を目的とした定期的な投与(定期補充療法)は、今回の承認には含まれておらず、従来通り18歳以上の患者が対象となる。
VWDは、止血に必要なフォン・ヴィレブランド因子の量的または機能的異常により、出血が止まりにくくなる遺伝性疾患。
▽ジアグノグリーン注射用25mg(インドシアニングリーン、第一三共):「▽次の疾患におけるセンチネルリンパ節の同定:子宮頸がん、子宮体がん、▽リンパ管静脈吻合術に係るリンパ流の評価」を効能・効果とする新投与経路・新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。薬効分類729。
センチネルリンパ節同定用薬・蛍光血管造影剤。事前評価済み公知申請品目であり、保険適用済み。
海外では2025年11月現在、子宮頸がん及び子宮体がんにおけるセンチネルリンパ節の同定に係る効能・効果で米国、カナダ、豪州で承認されている。リンパ管静脈吻合術に係るリンパ流の評価に関する効能・効果で承認された国又は地域はない。