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サノフィ 医療への信頼度は性的マイノリティの当事者で低い傾向が明らかに 外資5社合同勉強会で公表

公開日時 2023/06/23 04:50
サノフィは、性的マイノリティが直面する医療上の課題に関する調査結果をこのほど公表した。性的マイノリティの当事者とそうではない人を比較したところ、当事者の方が医療への信頼度が低い傾向が見えた。当事者の方が批判や差別を受けたと感じる人の割合が高いためだという。この調査結果は、同社を含む外資系製薬企業5社が性的マイノリティに対する理解を深めようと結成した「Pharma for PRIDE」の合同勉強会で公表した。性的マイノリティが身近にも存在することや配慮すべき点などを学んでおくことで、当事者が安心して医療を受けることができると確認したうえで、製薬業界としてできることは何かを考えた。(提供写真)

調査は、2022年7月から8月にかけて日本、アメリカ、イギリス、フランス、ブラジルの5カ国で1万人余りを対象にインタビュー形式で行われた。その結果、「医療従事者に対して信頼が損なわれたような経験をしたことがあるか」との質問で「はい」と回答した人の割合は、性的マイノリティを指すLGBTQ+ではない人では52%だったのに対し、当事者では60%に上るなど、マイノリティの方が医療への信頼度が低い傾向が浮き彫りになった。

信頼が損なわれた理由について尋ねたところ、当事者と非当事者間で大きな差がついたのが「批判されたと感じた」(当事者29%、非当事者18%)や、「故意ではなかったが、差別された」(当事者16%、非当事者7%)―といった項目だった。

◎医療従事者への期待が理由か 当事者の外部講師が指摘

これに対し、勉強会の外部講師で自身もトランスジェンダーの堀川歩氏(株式会社アカルク代表取締役社長)は、「医療従事者であれば、性的マイノリティに関する知識もあり、不快な思いはさせられないだろうという当事者側の期待があるためではないか」と指摘した。堀川氏自身も、服を着たままでは一見男性に見えるものの手術を受けておらず、戸籍もまだ女性だった頃、聴診器を当てようとした医師が、男性だと思い込んで診察を始め、「戸籍はまだ女性なんだね」などと何気なく言われた言葉が引っかかったと打ち明けた。

一方で「医療従事者も傷つけようと思って発言しているわけではない」とも指摘。待合室で名前を呼ばないことや、問診表に配慮してほしいことを書く欄を設けるなど、性的マイノリティの存在や知識を知ることで配慮できることはあるのではないかと投げかけた。

◎医薬品に関する要望はPrEPの認知向上や感染症治療薬の開発

勉強会では「LGBTQ+に関連する医療・医薬品への希望や要望」について寄せられた121件の意見も紹介。最多は、「パートナーも家族として認めてほしい」で31件に上った。また「医療関係者のLGBTQ+に関する理解向上」(26件)、「性別欄の必要性を常に考えてほしい」(14件)という声が相次いだ。医薬品に関しては、性交渉する前からHIVの薬を内服し、HIV感染のリスクを減らすPrEPの認知向上(10件)や、HIV根治や感染症治療薬の開発(2件)、手軽なホルモン療法の確立(2件)-を求める声もあった。

勉強会は3回目の開催で、アストラゼネカ、アッヴィ、アラガン・ジャパン、アレクシオンファーマ、サノフィの5社から約800人が参加した。参加者からは、「医療従事者向けの勉強会を実施してはどうか」「すべての学会への働きかけが必要なのではないか」などの意見が寄せられた。

今回勉強会に参加した5社から成る「Pharma for PRIDE」では、「より多くの社員への啓発に加え、製薬業界全体、さらには社会全体へのインパクトをもたらすことを目的に今後も活動を進めていく」とコメント。性的マイノリティをめぐる問題について、他社や他業界と連携し、解決に向けて取り組むことや、合同勉強会を継続していくことで、「LGBTを理解・支援する人」を指すアライネットワークの拡大を目指す考えだ。

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