米FDA 小児ディシェンヌ型筋ジストロフィー遺伝子治療Elevidysを承認
公開日時 2023/07/07 04:50
米食品医薬品局(FDA)はこのほど、米Sarepta Therapeutics Inc社のDMD(ディシェンヌ型筋ジストロフィー)を適応とする遺伝子治療Elevidys(delandistrogene moxeparvovec-rokl)を承認した。同治療の適応は、4歳から5歳の小児におけるDMD遺伝子変異陽性のDMDである。Elevidysは、健常筋肉細胞の短縮型マイクロジストロフィン産生を行わせる遺伝子をアデノ随伴ウイルスに運搬させる治療法である。単回静脈注射剤。
DMDは、時間経過とともに身体の筋肉が衰弱、委縮して、悪化する希少かつ重篤な遺伝性疾患である。同疾患は筋肉細胞の維持に必要なタンパクであるジストロフィンの欠損を招く遺伝子欠損によって引き起こされる。同遺伝子の欠損により、歩行・走行障害、頻回の転倒、疲労感、学習困難、心筋機能低下による心機能障害、呼吸筋の機能低下による呼吸困難などの症状が発現する。FDAは、同療法について迅速審査の指定を行った。
FDAのPeter Marks医薬品評価研究センター(CDER)長は、「本日の承認は、時間経過とともに悪化が進展し、治療法が限られている壊滅的疾患であるDMDの治療法におけるアンメットメディカルニーズに応えるものであり、重要な進歩である」と述べたうえで、「FDAは、衰弱性疾患の影響を減弱し、それら患者のアウトカムとQOLを改善する画期的新規治療法の促進に取り組み続けている」と話した。
Sarepta社のDoug Ingram社長兼CEOは、「Elevidysの承認は、DMD治療にとって重要な転換点である。同治療法は、ディシェンヌに対して承認された初めてかつ唯一の遺伝子治療である。この承認は、我々に、この変性疾患の疾患軌道(経過)を変更させる可能性を提供する治療法を前面に出すという我々のゴールを近づけてくれた」とコメントした。