国立大学病院長会議 26年度診療報酬改定年間443億円増収で赤字解消へ 外科医療確保や臓器移植加算を評価
公開日時 2026/03/09 04:51
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国立大学病院長会議の大鳥精司会長(千葉大学医学部附属病院)は3月6日の記者会見で、2026年度診療報酬改定により、入院料など主要項目のみで年間443億円増収との試算を示した。試算は、42大学44病院の合計。25年度は321億円の赤字との見通しを引き合いに、「(今回の改定で)十分賄える額だ」と評価。「本当にありがたく受け止めている」と話した。特に、外科医療確保特別加算や臓器移植実施体制確保加算が新設されたことを前向きに受け止めた。一方で、26年度改定では、紹介・逆紹介患者の少ない特定機能病院に対する初診料・外来診療料の減算規定について逆紹介割合が30%未満から50%未満に引き上げられることでの減収も見込む。現時点では4分の3の大学病院が減算規定に該当するとして、「我々の努力を今後求められる領域だ」との見方も示した。
◎外科医療確保特別加算の新設 外科医療集約化への大きなドライビングフォースとして期待
26年度改定では、診療科偏在対策推進の観点から、外科医療確保特別加算が新設された。外科医療確保特別加算では、地域医療体制確保加算2の施設基準に示された、若手医師数が減少傾向にある、消化器外科、心臓血管外科、小児外科及び循環器内科のうち、医師の確保が特に必要な診療科として3つ以内で特定した診療科(特定診療科)で算定できる。
大鳥会長は外科医療確保特別加算の新設により、22億円の増収の見通しであることを示しながら、「外科離れが進む中で、今回の改定は大きな決断だったと思う。大学病院にとっても大きな収入だ。少しでも外科医が増えてほしい。働き方改革が進む中での重労働に対する加算と受け止めている」と話した。
会見に出席した筑波大学附属病院の平松祐司病院長も、外科医療確保特別加算の新設は「非常に大きなインパクトがある」と強調。「外科医、特に消化器外科医にとっては大きな起爆剤というか、元気が出る材料になったのではないか」と述べた。「特に外科医療は集約化をしていかないと成り立たない未来像が見えている。集約化をしていくための大きなドライビングフォースになるのではないかと期待している」と話した。
◎臓器移植実施体制確保加算の新設「病院の持ち出し、ほぼ全て解消できる額」
大学病院長会議が訴えてきた臓器移植について、「臓器移植実施体制確保加算」が新設されたことにも大鳥会長は言及した。臓器移植実施体制確保加算は、当該手術の所定点数の100分の400に相当する点数を加算するというもので、実質4倍の点数がつく。改定影響額は、35億円という。
大鳥会長は、これまで肺移植一件で400万円の病院持ち出しがあったと説明。千葉大病院で試算した結果、「臓器移植で7700万円の病院の持ち出しがあったが、それをほぼ全て解消できるぐらいの額だ」と評価した。
◎初診料の減算規定で逆紹介患者割合引上げ「4分の3が減算対象」 18億円の減収見通し
一方で、減収を見込む改定項目もある。特定機能病院を紹介状なしで受診した患者についての初診料・外来診療料の減算規定について、逆紹介患者割合が30‰未満から50‰未満に引き上げられる。影響額としては18億円の減収を見込む。大鳥会長は「国立大学病院の4分の3が減算対象となる。今後、もっと逆紹介をして比率を増やさないといけない。我々の努力が今後求められる領域だ」と述べた。
国立大学病院長会議が実施したシミュレーションによると、25年度の病院の総収入は1兆6303億円、総支出は1兆6624億円、321億円の赤字の見通し。これに対し、26年度診療報酬改定の影響額は年間443億円の増収との試算を示した。
項目で最大となったのは、特定機能病院A入院基本料の増点の287億円。外科医療確保特別加算の新設(22億円)、内視鏡手術用支援機器加算(手術ロボ)の新設(25億円)、臓器移植実施体制確保加算の新設(35億円)、入院時食事療養の増額(9億円)、入院物価対応料(特定機能病院入院基本料)の新設(75億円)、重症患者対応体制強化加算の対象機関の追加(8億円)とした。一方で、初診料、外来診療料の減算既定の見直しで18億円の減収を見込んだ。なお、試算はDPC係数により変動するが、「少し上がることが予想される」(大鳥会長)と話し、増収に寄与する期待感も口にした。
なお、シミュレーションには26年度のベースアップ評価料の増額分が含まれていない。ベースアップ評価料では122億円の増額を見込むが、人件費の支出は措置額以上となる見込みという。
◎2040年に向けた医療・研究体制を議論するWG設置 国民に発信へ
大鳥会長は、「補正予算と今改定で当座のことは支えていただいた」「年度単位でも財政難はかなり改善している状況だ」と説明した。そのうえで、「我々は救っていただいた立場だ。地域医療を支える医師の派遣、教育の充実、日本から創薬の創出など、今後文科省、厚労省と協働で2040年に向けて進めていかなければいけないという我々のミッションがある」と表明。「2040年に向けた医療提供体制や研究体制、地域医療を支えていくための医師派遣を真剣に我々で考えて、国民に発信するワーキンググループを作ることを決定した」ことも紹介した。