アストラゼネカと富士フイルム 肺がん化学放射線療法の過去症例検索できる医療情報システムを共同開発
公開日時 2024/04/10 04:50
アストラゼネカと富士フイルムは4月9日、切除不能なステージIII非小細胞肺がん(NSCLC)に対する化学放射線療法(CRT)の過去症例を検索できる医療情報システムを共同開発したと発表した。放射線治療計画も表示できる。本システムの検索機能は3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」にオプション搭載され、富士フイルムのグループ会社である富士フイルムメディカルを通じて10日から提供される。
アストラゼネカが14の医療機関からNSCLCに対してCRTが適用された約1900症例の放射線治療計画の情報を収集した。富士フイルムがその情報のデータベース化および検索機能の開発を行った。本システムは、医師がCT画像を入力し腫瘍の位置や検索条件を指定すると、データベースから腫瘍の中心の相対位置が近い過去症例を検索。医師が参照したい症例の放射線治療計画の情報を表示して、医師による放射線治療計画の作成をサポートする。
肺がん診療ガイドラインでは、全身状態が良好な場合の切除不能なステージIII NSCLCの治療法として、根治を目的としたCRTが推奨されている。近年の放射線治療の高度化や免疫チェックポイント阻害薬の登場による治療法の進展に伴い、切除不能なステージIII NSCLC患者にとってCRTの重要性がますます高まっている。しかし、放射線治療計画の作成は、ステージIII NSCLCの腫瘍の大きさとリンパ節転移の位置のパターンが多岐にわたること、また、放射線の影響による肺臓炎などの有害事象を引き起こさないようにする必要があることから難しく、医療現場の負担となっている。