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AZ・堀井社長 30年までに40件以上の承認取得を目指す RWD活用で「医療DXでもNo.1パイオニアに」

公開日時 2025/04/15 06:00
アストラゼネカの堀井貴史代表取締役社長は4月14日、記者会見に臨み、2030年に向けた新たな日本のビジョンとして、「イノベーションで患者さんの人生を変えるNo.1パイオニア」を目指すと力を込めた。30年までに新薬を含め、40件以上の承認取得を目指し、成長を加速させる。さらに、リアルワールドデータ(RWD)の積極的な活用にも注力する。堀井社長は、「データサイエンス、医療DXのエリアでも、製薬業界の中で我々はパイオニアでいたい」と強調する。医療圏の抱える課題に対して、RWDの利活用を通じて、トランスフォームケア(保健医療の変革)を起こす必要性を強調。自治体や地域医師会など多様なステークホルダーと協働するネットワークを通じ、健康寿命延伸に貢献するビッグピクチャーを描いた。

◎「従業員一人ひとりがNo.1パイオニアに」 生成AIの活用や新たな疾患へのチャレンジ

同社が2030年に向けて掲げた“イノベーションで患者さんの人生を変えるNo.1パイオニア”。堀井社長は、「会社自体がパイオニアなのではなく、我々の従業員一人ひとりがNo.1パイオニアでありたい、そういう会社を作っていきたいという想いを込めて、(パイオニア企業とした25年のビジョンから)企業という言葉を取った」と説明した。

例えば、MRがChatGPTなどの生成AIを医師との面談にどのように活用するか、一つとっても“パイオニア”でいることができると話す。「新たなツールは皆にとって未体験。皆、それぞれ自分の持ち場で、パイオニアでいることができる。まずは、そういったことにチャレンジしていただきたい」と話す。さらに、新薬の上市が続き、アンメット・メディカルニーズの高い疾患領域に挑戦することも同社では多いという。堀井社長は、「MRなどが学ぶスピードも上げていかないといけない。アストラゼネカにいるからこその醍醐味で、2、3年間で3倍くらい経験できるような、濃密な時間が過ごせると思っている。そういった観点でもパイオニアでいただきたい」と強調した。

◎24年12月に国内売上高2位、オンコロジー領域で1位に躍進 「売上自体の成長も大きな成果」

25年までの姿を描いたVision2025については、「しっかりと達成できた」と振り返る。「新薬をしっかり上市し、患者さんにお届けすることを最重要視している」なかで、2019~24年間の6年間で、13の新薬を含む42の承認を取得。年間約900万人の患者の治療に貢献したとして、「我々にとって一番の誇りであると自負している」と語った。

上市が加速するなかで、売上高も伸びた。2019年段階では日本5位の企業だったが、24年12月には国内売上高2位に躍進した。24年第2四半期(4~6月)では国内売上高トップに立ったが、抗がん剤・イミフィンジの再算定の影響が響いたという。堀井社長は、「前年ながら、年間では1位にはならなかったが、少なくとも我々はかなり売上自体を成長させることができた。これも事業としての大きな成果」と胸を張った。

オンコロジー領域では19年から24年にかけて65%成長し、国内売上高トップに立った。「オンコロジーの領域では、昨年から日本でナンバーワンのオンコロジーカンパニーになることができた。今後も、多くのがんのパイプラインの開発が進んでおり、日本で最も死因の多いがんの患者さんに、新たな治療の選択肢を引き続きお届けしていきたい」と意気込む。

◎RWD利活用で地域の健康寿命延伸に貢献 日本発のエビデンス創出も視野

2030年に向けては、新たなビジョン下でさらなる成長軌道を描く。二重特異性抗体など新たなモダリティへの挑戦を通じ、2030年までに新薬を含め、40件以上の承認取得を目指す。

さらに、RWDの積極的な活用を進める。1年半かけて、病院レセプト、保険者レセプト、電子カルテなど延べ9000万人以上のヘルスケアデータを活用できるデータプラットフォームを構築。社内でタイムリーな解析を可能にする環境を整えた。堀井社長は、「今あるデータを皆がしっかり使えるように、スピーディーに、まずプラットフォームを作ったというところが一つ大きな特徴」と強調。今年2月には、仮名医療情報利用事業者の認定を第一号で受け、さらに広範のRWDを活用できる体制も構築した。

こうした体制整備を進めるなかで視野に入れるのが、医療圏が抱える健康課題解決に向けて、RWDの利活用を通じて貢献することだ。イギリスやカナダなどでは、RWDの利活用による早期発見・介入が重症化抑制につながるなど治療アウトカムの改善や医療経済的なコスト削減効果が示されるなど、エビデンスも出てきていると説明。「グローバルの知見もレバレッジしながら、日本の保険医療の変革に貢献していきたい」と意気込んだ。

今年3月には、福島県と健康づくりの推進に関する連携協定を締結した。COPDの予防・早期発見・早期治療を促進し、地域の健康寿命延伸に貢献するのが狙い。地域医師会や地域医療データプラットフォームを扱う人と連携し、新たに患者を同定し、早期介入をする予定という。堀井社長は取組みに際して、自治体や地域医師会、臨床医などのネットワーク構築が重要との考えを表明。そのうえで、「我々が今まで蓄積してきているデータのノウハウが生きるタイミングが来ると考えている。アカデミアに論文化していただき、日本から知見が発信されていくことができれば、日本を超えて世界の医療に発信し、貢献できると思っている。2030年に向けて実現していきたい」と意欲を示した。

◎24年売上高 3.3%増の5141億円 フォシーガもブロックバスター入り

同社の24年(1~12月)の国内売上高は対前年同期比3.3%増の5141億円(薬価ベース)。堀井社長は「日本の医薬品市場全体の成長は約2%で、業界の成長を少し上回る形で成長させていただいた」と述べた。売上高1000億円超の製品はイミフィンジ、タグリッソに加え、フォシーガがブロックバスター入りした。

領域別にみるとオンコロジー領域は▲1%、イミフィンジが特例拡大再算定(▲25%)と用法用量変化再算定(▲11.1%)と年に2回の再算定を受け、36%の薬価引き下げを受けた影響が響き、「ほぼフラットという一年になった」と話した。一方、循環器・腎・代謝疾患領域が13%、呼吸器・免疫疾患が18%と2桁成長を遂げた。ワクチン・免疫療法は▲15%。売上高にはサノフィとコ・プロモーションするベイフォータスの売上50億円は含まれておらず、これを含めれば「実は3.8%の成長をしている」とも述べた。堀井社長は、「我々にとって、全体的には一年しっかりと薬をお届けできた。そんな1年だったのではないか」と振り返った。

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