東京レインボープライド 複数の製薬企業がブースを出展 性の多様性や偏見のない社会の実現呼びかけ
公開日時 2024/04/24 04:51
複数の製薬企業も参加した「東京レインボープライド」が4月20日から2日間、東京・代々木公園周辺で開催された。性的少数者や支援者が集い、差別のない社会を目指す国内最大級のイベント。ブースを出展した企業は、福利厚生の対象となる配偶者の定義を同性のパートナーなどにも拡充した取り組みや、性的少数者の医療アクセスの改善に向けた自社の活動などをアピールした。最終日の21日にはパレードも開催され、製薬各社の従業員らも性の多様性の象徴である虹色の旗をはためかせながら会場周辺を練り歩いた。
◎ノバルティス 性的少数者の医療アクセス改善目指す
製薬産業からは15社(ミクス編集部調べ)がブースを出展した。このうちノバルティスでは、性的少数者の支援者「Ally」を表明した医師を検索することができる「Ally表明医師マップ」を紹介した。性的少数者が医療機関を受診した際に不快な経験をしたり、適切な医療を受けられなかったりする事例を減らそうと作成したもの。ブースを訪れた人が自由に書き込めるメッセージには、「性別以降に伴う医療アクセスがしやすくなりますように」、「胸を切除しても(公的な)乳がん検診を受診できるといい」などの願いや、活動に賛同する声が多く寄せられていた。
◎武田薬品 新人事制度紹介 同性婚パートナーも「配偶者」
武田薬品の従業員グループは、福利厚生の対象となる「配偶者」の定義を拡大し、事実婚や同性婚パートナーも含む新たな人事制度を開始したことを紹介した。制度は4月1日から。グループの1人は、「制度について『いいね』と声を掛けてもらったことで、自身の会社を誇らしく思った。初めて参加したが、明るい雰囲気でとても楽しめた」と話していた。
◎ギリアド AIDS国内流行終結目指し他社や他団体と協力
ギリアド・サイエンシズのブースでは、虹色のボディペイントが楽しめることから、多くの人が列を作った。同社では、HIV/AIDSに対する誤解を解消しようと、啓発動画も公開。▽日常生活で感染する可能性はほとんどないことや、▽男性同性愛者だけではなく、誰にでも感染の可能性がある―などの正しい知識をショートムービーで紹介した。毎年出展しているという同社広報部の石川貴枝子さんは、「以前は性的少数者の当事者の参加が目立ったが、今年は子ども連れが目立つなど、イベントの変化を感じている。小さな時から正しい知識や多様な人がいるということが伝わるといい」と話していた。周辺では、同社とともに国内のAIDSの流行終結を目指す団体もブースを出展したほか、パレードでは、ヴィーヴヘルスケアやMSD、患者団体やNPOと協力し、HIVに関連する差別や偏見の解消を呼び掛けた。
東京レインボープライドは、性的少数者が差別や偏見にさらされることなく生きていける社会の実現を目指し、2012年から毎年開催されている。今回は238団体がブースを出展したほか、1万5000人(主催者発表)がパレードに参加するなど、過去最大の参加者数となった。