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MSD・タトル社長 HPVワクチン「男性定期接種見送り」「キャッチアップ接種終了」に懸念 医学界と協働へ

公開日時 2024/05/27 04:51
MSDのカイル・タトル代表取締役社長は5月24日の年次定例記者会見で、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種率向上に向けた取り組みを医療界などのステークホルダーと推進する方針を明言した。タトル社長は、5月22日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会で男性接種の定期接種化が見送られたことに「非常に残念に思う」と指摘した。さらに、HPVワクチンの定期接種の対象年齢(小学校6年~高校1年相当)の間に接種を逃した人に行う「キャッチアップ接種」を25年3月末で終了する厚労省の判断について、「ワクチン接種率を上げることが重要だと言っているにも関わらず、来年3月末で終えるのは矛盾している」と述べ、今後は医学界と協力してギャッププログラムを埋める活動を行っていきたいと述べた。

同社は、2022年4月の積極的勧奨再開以降、約329万回分のHPVワクチン・ガーダシル(4価ワクチン)とシルガード(9価ワクチン)を提供してきた。シルガード9は23年4月から定期接種およびキャッチアップ接種に追加されている。また、男性接種については東京都内15自治体を含む30以上の自治体でHPVワクチンの公費助成を行っている。

◎「多方面からこのギャッププログラムを埋める活動を行っていきたい」

タトル社長は、「男性の定期接種化を加速させる必要がある。G7だけでなく、60以上の国と地域で男性接種の定期接種化が標準となっている」と説明。厚科審部会の判断について、「私達は非常に残念に思っている。なぜなら他の国では既にもう標準となっているからだ」と強調した。加えて、厚労省がキャッチアップ接種を2025年3月末で終える判断をしたことに対し、「日本以外の国に目を向けたときに、HPV関連の疾患が撲滅に近い状態まで来ている国もある。そういう国を見たときに公衆衛生としてのコミットメント、その政府やリーダーからの強いリーダーシップやコミットメントがあって初めて撲滅に近い状態が達成できている」と指摘。「個社でやるにはハードルが高い。引き続き医学会の方々と協力しながら、多方面からこのギャッププログラムを埋める活動を行っていきたい」と意欲を示した。

白沢博満代表取締役上級副社長(グローバル研究開発本部長)も、「日本では毎年1万人か罹って3000人の方が亡くなっており、それも増えている。この状況は良くない。すごく懸念を持っている」と述べ、「医学的にゼロにならないが、やれることは全部やっていきたい」と強調した。

◎タトル社長「日本への投資が呼び込まれるような環境作りに寄与したい」

タトル社長は会見で、2024年度薬価制度改革について、「ポジティブな進展が中医協であった。非常に重要なステップだったと認識している」と評価した。ただ、同社がこれまで主張してきた“共連れ”について、「弊社製品が良い影響を与えたことに対しては喜ばしく思いつつも、それが全体に適用されなかったということに関しては理解しがたいものを感じている」と指摘。「今後も政府との対話を重ね、日本への投資が結果的に呼び込まれるような環境作りに寄与していきたい」と強調した。

◎白沢上級副社長 「小児医薬品の開発に関して良い意思決定をする段階にきている」

白沢上級副社長も今回の薬価制度改革について、小児医薬品の開発などで“潮目が変わった”と表現しながら、「企業の努力を評価しようというシグナルが示された。小児に関して我々は良い意思決定をする段階にきている」と述べ、小児領域の医薬品開発で前向きな姿勢を示した。


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