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帝人・内川社長 医療用薬「在宅医療の事業基盤にのせることで価値がでる製品に集中」 希少疾患に注力

公開日時 2025/05/13 04:49
帝人の内川哲茂代表取締役社長執行役員は5月12日の2024年度決算説明会で、ヘルスケア事業の中の医療用医薬品について、「将来扱っていくものは、在宅医療の事業基盤にのせることで価値がでる製品に集中していく」と強調した。取扱製品の一例としては、在宅医療において患者ケアが必要となる難病・希少疾患の医薬品を挙げた。この事業方針から外れる医薬品については森山直彦代表取締役専務執行役員が、「その他のものをどうするかについては決めていない」と現状を説明した。

ヘルスケア事業は現在、「希少疾患+在宅医療」体制への事業構造の転換を進めている。この一環として24年7月に帝人及び帝人ファーマの正社員等を対象に早期退職者が募集され、応募者は24年9月末付で退職した。募集人数は150人、応募者数は非開示だが、森山氏はこの日、早期退職者募集を含めた50億円の固定費削減目標は計画通りに進捗していると説明した。計画通りのため追加の人員削減は現時点では必要ないとの認識を示した。

◎ヘルスケア事業 24年度は減収・2ケタ減益

24年度決算を見てみる。帝人のヘルスケア事業は、売上収益は前年度比5.3%減の1370億円、事業利益は68.7%減の57億円だった。増益要因として、▽在宅持続陽圧呼吸療法用機器(CPAP)の検査数増加に伴う新規処方件数拡大によるレンタル台数の増加(前年度末比約7%増)、▽骨粗鬆症治療薬・オスタバロの販売量増加、▽固定費削減――があった。しかし、▽糖尿病薬やフェブリクの販売数量の減少、▽24年4月薬価改定での6%台半ばの改定影響、▽CPAPのレンタル台数増加に伴う消耗品使用量増加に伴うコスト増、▽23年度の医薬品に係るライセンス収入の反動減――の減益影響が大きく、ヘルスケア事業は大幅減益となった。内川社長は「いろいろ努力した後も減益の方向になった」と振り返った。

国内のピーク時売上が400億円近くあったフェブリクは、22年6月に後発品が参入し、24年度売上はピーク時の約10分の1となる38億円(前年度比48.6%減)となった。

◎ネシーナなど糖尿病薬4製品で減損損失280億円を計上 「想定されていた収益が見込めなくなった」

また、帝人はこの日、帝人ファーマが21年4月に武田薬品から取得したネシーナなど糖尿病治療薬4製品の国内販売権について、24年度に280億円の減損損失を計上したことを発表した。帝人は、「競合薬の想定以上のシェア伸長や今後の薬価改定影響等を鑑み、想定されていた収益が見込めなくなったことから、収益予測の見直しを行った」とし、「回収可能価額が帳簿価額を下回ったため、帳簿価額を回収可能価額まで減額した」とした。帝人は当時、糖尿病薬4製品を1330億円で獲得した。

◎25年度計画 ヘルスケア事業は大幅増益へ

ヘルスケア事業の25年度計画は、売上収益は前年度比1.5%減の1350億円、事業利益は119.3%増の125億円を目指す。CPAPレンタル台数の更なる増加やオスタバロの伸長、固定費削減効果の通年での発現、24年度の糖尿病薬4製品の減損に伴う償却費減少――などにより、フェブリクなどの減少や25年4月の薬価改定影響などの減益影響を吸収し、大幅増益となる。25年4月の薬価改定では4%台前半の改定影響を受ける。

帝人 ヘルスケアセグメント
【24年度業績(前年同月比) 25年度予想(前年同期比)
売上収益1370億円(5.3%減) 1350億円(1.5%減)
事業利益57億円(68.7%減) 125億円(119.3%増)

【24年度国内主要製品売上(前年同期実績)、億円】
糖尿病治療薬4製品合計 200(228)
ソマチュリン 64(61)
ベニロン 63(55)
ボナロン 54(63)
フェブリク 38(74)
オスタバロ 33(11)
ゼオマイン 23(20)
ロコア 17(18)
ムコソルバン 12(19)
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