Ultragenyx 長鎖脂肪酸代謝異常症治療薬・トリヘプタノインを承認申請 希少疾病用医薬品
公開日時 2025/08/12 04:50
Ultragenyx Japanは8月8日、長鎖脂肪酸代謝異常症(LC-FAOD)治療薬候補のトリヘプタノインについて、条件付き承認制度に基づく製造販売承認申請を行ったと発表した。同剤は3月に厚労省から希少疾病用医薬品の指定を受けている。承認された場合、LC-FAODに対する日本でファーストインクラスの治療薬となる可能性がある。
今回の申請は、主に健康成人を対象とした海外第1相試験、LC-FAODの小児および成人を対象とした2つの海外第2相非盲検試験に基づく。日本も参加している国際第3相臨床試験は現在進行中となっている。
◎日本で約5万5000人に1人の割合で発症 患者数は最大2270人
LC-FAOD患者は体内で長鎖脂肪酸をエネルギーに変換することはできない。同剤は、LC-FAOD患者に対して迅速かつ効率的なエネルギー源となる高度に精製された合成中鎖脂肪酸。LC-FAOD治療薬として20年以上の臨床実績があり、米国では2020年に承認されている。
LC-FAODは、体内で脂肪からエネルギーを生成するための代謝プロセスに関わる酵素異常により様々な問題が生じる先天性の疾患。ヒトの重要なエネルギー源である長鎖脂肪酸をミトコンドリア内で適切に代謝できなくなることが原因で発生する。
特に、脂肪酸を主要なエネルギー源としている心臓、筋肉、肝臓などへのエネルギー供給が不十分となり、深刻な影響を与える。これらの臓器へのエネルギー欠乏やストレスなどが原因で突然の横紋筋融解症、心筋症、低ケトン性低血糖が生じることで緊急入院となる場合があり、適切な治療がなされない場合は死に至る可能性もある。
現時点では日本でLC-FAODに対して承認された治療薬はなく、長い空腹を避け、脂肪摂取を制限する食事療法や通常の脂肪酸よりも代謝が容易で、エネルギー源として活用できる中鎖脂肪酸(MCT)の補充、減少した脂肪酸の輸送酵素をサポートするL-カルニチンの投与が行われるなどしている。日本では約5万5000人に1人の割合で発症すると推定され、国内患者数は最大2270人と考えられている。