自民GE議連が福岡厚労相に提言 「消費税収増で必要財源確保」で薬価上の措置を 人材の重要性も
公開日時 2025/05/28 04:50

自民党の「ジェネリック医薬品の将来を考える会」(上川陽子会長)は5月27日、骨太方針に向けた提言を福岡資麿厚労相に手渡した。提言では、薬価制度について「これまでに、最低薬価の引き上げや不採算品再算定等の措置が行われてきたが、物価・賃金上昇等も十分に踏まえ、消費税収増等から必要な財源を確保した上で、さらに取組を講じていく必要がある」としている。改正薬機法に品質保証責任者の設置根拠や設置義務が明記されることに触れ、「人材の確保」の重要性も強調。「クオリティー・カルチャーの情勢の観点も含め、人材の育成・確保に向けた取組が不可欠」としている。
提言では、ジェネリック医薬品産業を持続可能な産業構造とするために、「生産規模の拡大による生産性の向上が重要」と指摘。まずは、現在検討が進められている品質や安定供給に向けた取組みを「地固めとして着実に実施」することが必要とした。今後、「品目の統合や業界の再編を進め、各企業において生産性の向上に向けた投資が行われる必要がある」と指摘。さらに次のステージとして、「我が国の優れたジェネリック医薬品を海外展開することも視野に入れる必要がある」とした。
業界再編に向けた環境整備として改正薬機法に盛り込まれた後発医薬品製造基盤整備基金による企業間連携などの支援を「必要な予算額の措置も含め、着実に進める必要がある」と指摘。その際には、「業界の自主的な取組みを促すだけでなく、個々の企業が、その経営状況、製造能力及び品質管理等について第三者による評価を受ける枠組みを新たに検討する等、客観的な外部の視点を織り込んで着実に再編を推進する必要がある」と提案した。
議連に出席した議員から人材育成の必要性があがったことから、人材こそが(ジェネリック医薬品産業のあるべき姿の)基盤」と提言に追記。改正薬機法により、品質保証責任者の設置根拠や設置義務が省令から格上げされることに触れ、「企業における品質管理体制の強化が図られることとなるが、そのような役割を果たせるだけの人材が確保されることが必要である。クオリティー・カルチャーの醸成の観点も含め、人材の育成・確保に向けた取組が不可欠である」と明記した。
このほか、感染症関連の医薬品や医療上の必要性が高い医薬品等について、想定外の感染症の流行や品質・製造トラブルの発生などに備え、「在庫を通常以上に積み増しておくことが重要」と指摘。「備蓄の積み増しは経済的な負担となることを踏まえ、国においても財政支援を行うなど、必要な支援策を講ずる必要がある」ことも盛り込んだ。
提言は、①ジェネリック医薬品産業のあるべき姿、②医薬品の価値が正しく評価される薬価・流通の仕組みの構築、③経済安全保障を見据えたサプライチェーンの強靭化、④新たに顕在化してきた課題への対応と更なる成長-が柱。
提言を福岡厚労相に手渡した後、上川会長は記者団に、「議連の提言と、省内で検討いただいていること、改正薬機法の方向性と変わらないのではないかということで、問題意識を共有しているという印象だった。今後の展開に向けて拍車をかけたい」と話した。