提供:株式会社セールスフォース・ジャパン
株式会社セールスフォース・ジャパンは、今年10月から製薬や医療機器などライフサイエンス企業向けのエンゲージメントプラットフォーム「Life Sciences Cloud for Customer Engagement」の提供を開始する。最大の特徴はAIエージェントの存在だ。医師へのメールの作成はもちろん、医師に対する効果的かつ効率的なコミュニケーション戦略も提案してくれるなど、MR業務効率の大幅な向上が期待できる。
AIが業務の効率化に貢献
2024年4月から始まった医師の働き方改革以降、MRと医師との面談の機会は減りつつある。それだけにMRには、限られた時間で効果的かつ効率的なコミュニケーションと提案が行える力が求められる。そんなMRに心強い存在が現れた。セールスフォース・ジャパンが10月から提供を開始する「Life Sciences Cloud for Customer Engagement」だ。これは昨年7月に同社がリリースした製薬・医療機器メーカー向けの統合プラットフォーム「Life Sciences Cloud」のうち、Commercial向けの機能である。
Life Sciences CloudはClinical、Medical、Commercial、Patient Serviceの機能を有するプラットフォームであり、Life Sciences Cloud for Customer Engagementは、MRの業務負担の軽減と医師に対する効果的な情報提供を行うことに主眼が置かれている。最大の特徴はAIとデータの活用を前提にプラットフォームが構築されていることだ。

Life Sciences Cloud for Customer Engagementはモバイル版、ウェブ版があり、iPadやPCで立ち上げると、画面に「AIエージェント」が現れ、MRは対話する感覚で質問を入力しながら、AIの回答を参考にし、業務を行うことで効率性の向上はもちろん、成果につながるようになっている。
業務効率の向上でわかりやすいのはルーチン作業負担の軽減だ。たとえば、医師との面談終了後、会話の音声データを入力すると、AIが自動的にコールレポート(訪問記録)を作成してくれる。事前に自社のコンプライアンスガイドラインを読み込ませておけば、コンプライアンスコードに違反および抵触の恐れがあるコメントや表記を指摘してもらうことも可能。コールレポートの質を一定レベル以上で標準化することにもつながる。

分籐氏は「MRの皆様はAIと対話しながらアクションを起こしてもらえれば、業務の効率性も生産性も向上する仕組みになっています。AIの精度を上げるために、音声入力などの非構造化データを活用した記録が今後重要になってくる」と説明する。
AIについて、「Life Sciences Cloud for Customer EngagementはAI活用を前提に設計しているため、今までにない優れたUI/UXとなっています。当社は他業種を含めて10年以上前からAIを開発・提供してきたという歴史を持っています。単にCRMを刷新するだけではなく、AIの力を最大限に活用して、ライフサイエンス業界に新しい価値を提供していきたいです。」と、中本氏は語る。
高効率なアプローチも実現
AIとデータを連携することで、医師に対して高効率なアプローチを行うための提案を行ってくれるのもメリットの1つだ。Life Sciences Cloud for Customer Engagementには「Data Cloud」というデータプラットフォームが包含されており、ここに「自社のHPでどんなコンテンツを確認しているか」「どんなオンラインセミナーを視聴しているか」といった、医師のパーソナルなデータを集約・統合することができる。特筆すべきは、自社で蓄積したデータだけにとどまらず、サードパーティ(パートナー企業)の持つデータや、医療情報を持つ企業およびサービスのデータも活用できることだ。
製品ポータルサイトのコンテンツ閲覧状況や参加したウェビナーといった自社で得られた医師の関心事や行動履歴はもちろん、勤務履歴やつながりのある医師、臨床支援アプリの活用状況、他のWEBメディアの閲覧傾向といった医師のパーソナルな情報も併せてData Cloudに集約・統合することが可能。様々な情報をもとにAIが「現段階で優先的に訪問すると高い成果を得られる可能性が高い医師」をリストアップするとともに、「その医師に好みに応じたコンテンツの提供や効果的なアプローチの仕方」なども提案してくれる。

「『ウェビナーに参加』などの項目をエンゲージメントのKPIに設定しておくと、AIが集約・統合されたデータをスコアリングし、訪問すべき医師をリストアップすることもできます。また、『どの医師に』『いつ』『何を』『どのように』情報提供すべきか、最適な訪問計画のレコメンドも可能です。データが多いほど、その医師の関心事に対する理解を深めることができるため、価値のある提案ができる可能性は上がります。つまり、AIの力を最大限活用するためには、より多くのデータを集約・統合することが重要になります。さまざまなパートナー企業を持ち、第三者機関のデータも活用できる。Data Cloudという基盤を持っていることは他社にはない当社の強みだと言えます」と早田氏は語る。
早田氏は「CRMは顧客(医師や施設)軸での情報管理システムですので、AIの分析精度を上げるには、各種データを顧客(医師や施設)軸で整理する必要があります。Data Cloudはこの役割も担っています。そこからLife Sciences Cloudにデータを取り込み、シームレスに様々なデータを統合・可視化し、MRの皆様の生産性向上に寄与するための戦略提案につなげています。一方、多くの製薬企業は、時系列で起きたことを管理するタイムライン軸でデータを集約されています。これだけではCRMに反映させるのが困難となり、データをうまく活用できなくなってしまいます」と補足する。
日本特有の要件にも対応
Life Sciences Cloud for Customer Engagementは、「日本の要件に対応できるのか」という疑問もあるだろう。これに対して、分籐氏は「全く問題ありません」と強調する。日本語はもちろん、各種法令やGxP関連の規制、日本の実消化データといった日本特有の要件にも対応している。さらにクライアントが既存CRMからスムーズに移行できるように、ITコンサルやベンダー、Slerとのパートナーシップも強化しているからだ。
「現在、ベンチャーを含めて様々な企業との連携を進めており、リアルタイムデータを活用したユースケースを増やすための取り組みも進めています。1社でデータを集めるのには限界があり、MRの皆様の業務の最適化を図っていくためには、多くの企業と協同でデータを集め、現場で活用しやすく加工することが重要です。Life Sciences Cloud for Customer Engagementは、データの集約や構造化するツールとAIが同じプラットフォームに乗っているため、データの統合にかかるコストや時間を削減することができるというメリットがあります。」(早田氏)
同社は「MRの皆様の生産性の向上はもちろん、情報を求める医師のカバレッジを増やし、ひいては患者さんに貢献する。これが我々の目指すものであり、当社のCRMの設計思想になっています。医師により質が高い情報が提供されるよう、MRの皆様の情報提供活動をCRMの観点から支援してきたいです。新しいMRの形として欧米で展開されつつある「Hybrid Rep」や「Scientific Rep」の様に、データ、デジタル、AIで強化されたMRの新しい姿を実現していきたいと強調する。」。
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