【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

エーザイ・内藤COO レカネマブに3つの治療オプション提示 「ADフリー社会・治療の世界標準目指す」

公開日時 2025/10/10 04:52
エーザイの内藤景介代表執行役専務COO兼チーフグロースオフィサーは10月9日開催の「AD Day」(オンライン開催)でAD戦略の全体像を語り、早期AD治療薬レカネマブについて、①早期AD、②プレクリニカルAD、③AD発症後の認知機能の維持―という3つの治療オプションを推進する方針を明らかにした。また、標準治療と併用療法の拡大と、診断・治療パスウェイの効率化の拡大により、「ADフリー社会におけるAD治療の世界標準を目指す」と力を込めた。この日のイベントでは、プレクリニカルADを対象としたレカネマブの臨床第3相試験「AHEAD 3-45」への対象群への組み入れ(n=1620)が2024年10月15日に完了し、トップラインデータが2028年度中の公表を想定していることが報告された。

◎プレクリニカルAD「AHEAD 3-45試験が順調に進行」

「今後のターゲットは、まず診断・治療体制の整備、そしてAD発症後の認知機能の悪化抑制、AD発症抑制そしてAD発症後の認知機能維持、これらを視野に入れた標準治療・併用療法の拡大といったAD治療を一貫して包括的に力強く展開する」-。内藤COOはこう強調し、エーザイが取り組むAD戦略の未来像を語った。特に、レカネマブの治療オプションについては、早期AD(Clarity AD+OLE 4年間継続投与)に対する認知機能の悪化抑制に加えて、プレクリニカルADに関する「AHEAD 3-45試験が順調に進行している」と報告。内藤COOは、「早い段階でレカネマブを投与することによって、ADが発症しないという可能性を想定している」と述べた。

◎レカネマブと抗MTBRタウ抗体Etalanetug (E2814)併用 認知機能悪化の完全抑制目指す

さらに、レカネマブと抗MTBRタウ抗体Etalanetug(E2814)の併用によって、「ADが発症した後の認知機能悪化の完全抑制を目指すアプローチを進めている」と強調。「アミロイドβとTauというADの発症、そして進行に重要な役割を担っている2つの因子を抑えることによって、認知機能の悪化を完全に抑制し、認知機能の維持というところを目指している」と指摘し、「これらは我々が“Modified AD Continuum”と呼ぶADの未来を変えていく治療戦略になる」と述べ、次世代AD治療の確立に強い期待感を表明した。

◎血液バイオマーカー検査「簡便にAβを確認」 パスウェイの短縮や容量拡大に期待 

一方でパスウェイの効率化・スループット最大化について内藤COOは、「入り口として定期的な脳の健康チェックなど、日常の中で少しでも早い気づきが重要である」と強調、「より簡便な認知機能検査をかかりつけ医の先生方に使っていただくような体制づくりなどインフラの整備を進めたい」と意欲を示した。また、認知機能検査後の血液バイオマーカー検査によって、「より簡便にアミロイドβの確認が可能になると想定している」と述べ、これに伴うパスウェイの短縮や容量の拡大に期待感を示した。

レケンビの投与方法に関しても、点滴静注製剤やオートインジェクター皮下注射製剤が新たな選択肢になったことで、「在宅での投与を可能にするなど、通院の負荷も軽減され、患者中心の治療を実現できると考えている」と述べ、さらに現在開発中のデジタルバイオマーカーや血液バイオマーカーを用いることで、「有効性やアミロイド関連画像異常(ARIA)をしっかりとモニタリングしていくことが可能になると考えている」と期待感を表明した。

◎「AHEAD 3-45試験」不可逆的な神経変性や認知機能低下が生じる前にレカネマブで介入

この日のイベントでは、Eisai Inc.シニアヴァイスプレジデント デピュティ・チーフクリニカルオフィサークリニカルリサーチのMichael Irizarry氏がプレクリニカルADに対するレカネマブの効果をみる「AHEAD 3-45試験」を説明した。同試験はADの最も初期段階の治療に位置づけられるもので、認知機能障害がなく、脳内Aβ蓄積が陽性のプレクリニカルADおよび脳内Aβの蓄積が境界域レベルの早期プレクリニカルADにおけるレカネマブによる治療の有効性を評価する試験。

「AHEAD 3-45試験」についてMichael Irizarry氏は、「世界的に推定3億1500万人がプレクリニカルADの段階にあると見込まれている。この集団には不可逆的な神経変性や認知機能低下が生じる前の最も初期段階にレカネマブによる介入を行う」と強調。「血液バイオマーカー技術の進歩によりPET検査や髄液検査より早期かつ容易にアミロイド値の上昇者を特定し、症状発現前に治療を提供することが可能となる」と述べた。その上で「AHEAD 3-45試験」の背景について、「我々の仮説は、アルツハイマー病の最も早期の病理段階でAβプロトフィブリルとプラークを除去することが認知機能の低下を遅延させる、または予防する最良の機会を提供するものだ」と説明。すでに1620人(A3:境界レベルのAβ蓄積・n=447、A45:高レベルのAβ蓄積・n=1173)の対象群の組み入れが昨年10月に完了したことを明らかにし、トップラインデータの公表は28年度を想定しているとした。
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(17)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー