【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

CQI研究会・九州がんセンターの藤名誉院長 がん医療体制の「集約化」 波風立つが進めざるを得ない

公開日時 2025/09/01 04:51
国立病院機構九州がんセンターの藤也寸志名誉院長は8月30日開催の「CQI研究会」で、厚労省ががん拠点病院を含めた医療提供体制の「集約化」を打ち出したことに、「相当な波風が立つたが、進めざるを得ない」との見解を示した。今後は都道府県協議会で均てん化・集約化の検討を行うと見通し、患者が住み慣れた地域で質の高い医療を受け続けられるよう、「医療機能の見える化」を推進する考えを強調した。一方で難治がんや希少がんの専門医の存在や過去2年間の症例数などを地域住民に公開する際に、「専門医がいるのに症例が無いでは患者は迷う」と述べ、「患者さんに診てほしいデータ作りの定義」などを議論する必要性に言及した。

この日の「CQI(Cancer Quality Initiative)研究会」には、全国のがん診療連携拠点病院など132施設(25年度会員数285施設)の180人がリアルとオンラインのハイブリッド形式で参加した。なお、研究会は2007年設立で、DPCデータの入院・外来データや独自に作成した調査項目などを用いて診療プロセスや経営指標を比較し、実証的なベンチマーク分析を行う。

◎都道府県および都道府県がん診療連携拠点病院が病院機能再編などの検討を担う

九州がんセンターの藤名誉院長は研究会で、厚労省のがん診療提供体制のあり方に関する検討会が8月1日付で「2040年を見据えたがん医療提供体制の均てん化・集約化に関するとりまとめ」を公表したことに言及。都道府県および都道府県がん診療連携拠点病院が事務局として都道府県協議会の運営を担うことになると述べ、地域単位でがん医療圏の見直しや病院機能再編などによる拠点病院等の整備について検討するとになると見通した。

一方で、がん医療を提供する医療施設の集約化については、「難治がんなど高度で難治性の高い症例をまとめていこうということはわかる。希少がんも1つに集めた方が成績が良くなることも分かる」と理解を示しながらも、「(集約化に向けて)拠点病院として動かなければならなくなる。ただ、集約化しろと言ってもどうやってやるのがよいか全然わからない。これは相当波風がたつかもしれないが、進めざるを得ない」との認識を表明した。

◎希少がんの専門医がいるのに2年間で症例ゼロの施設をどう見るか

各拠点病院に対しては、「胃がん、大腸がんなど一般的ながんから、希少がんまで、それぞれの施設で、診断できるか、手術できるか、放射線療法ができるか、薬物治療ができるか、再発、治療するかなどで報告を求めることになる」と説明。がん診療連携拠点病院のデータから、胃がん・大腸がんなどは、どの施設も対応できるが、非小細胞肺がんは施設間でのバラツキがあると指摘。一方で副鼻腔がん、後腹膜肉腫、悪性軟部腫瘍などランダムに選んでチェックしたところ、地域間、施設間のバラツキも大きくなるとの分析結果を示し、今後の議論の課題にあげた。さらに、「希少がんの専門医がいるのに2年間で症例ゼロという施設もある」と述べ、「患者さんに診てほしいデータを作るためには、やはりこの辺の答え方や定義をしっかりしていかないといけない」と述べた。

また、厚労省の検討会が示した「均てん化」についての見解を示し、「地域の病院が閉鎖されていることも、どんどん増えてきている。この条件で、誰1人取り残さない今のがん対策基本計画を実施していくためには、集約化も大事だけど均てん化を真面目に考えなきゃいけなのではないか」とクギを刺した。

このほか、今回の研究会では、胃がん、前立腺がん、肺がんの経年変化および改善の見える化や、食道がんにおける周術期ケモの治療選択と治療完遂などをテーマに報告があった。
 
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(7)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事


ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー