厚労省・臨床研究在り方検 最終報告書を了承 “広告目的”“適応外”の臨床研究法規制へ

公開日時 2014/11/27 03:52
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ノバルティスファーマの降圧薬・ディオバン(一般名:バルサルタン)をめぐる臨床研究不正を受け、厚労省の「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大学経済学部教授)は11月26日、未承認・適応外の医薬品・医療機器を用いた研究や広告目的の臨床研究についてICH-GCPの遵守を求めた最終報告書を了承した。来年の通常国会にも法案を提出し、法制化する。また、一連の臨床研究不正では、誤ったデータが広告を通じて医療界に広まり、治療方針の決定に影響を与えたことから、医療従事者による“広告監視モニター制度”の構築など、新たな広告審査の枠組みづくりを進めることも求めた。



◎臨床研究の信頼回復へ ICH-GCP遵守で国際水準の臨床研究実施を


最終報告書では、一連の臨床研究不正が起きたことによる日本の臨床研究の信頼回復の重要性を強調し、「我が国においても、5年後・10年後の将来を見越した上で、国際水準の臨床研究が実施できるような制度づくりが必要」とした。その上で、現状の臨床指針に基づく指導では不十分と指摘。研究者等による自助努力の重要性も指摘した上で、議論を重ねた結果、法制化が必要との結論に至ったとした。


臨床研究の実施に際しては、臨床研究の質の確保、被験者保護の観点から、ICH-GCPの遵守を求めた。モニタリング・監査が有用とした上で、これまで製薬企業が治験実施時に実施した手法では、費用面の負担増を懸念。「実施する研究のリスク等に応じ、適切な方法、頻度を検討すべき」とした。法規制の対象は、被験者に対するリスクと研究結果が治療方針に与える影響をみた社会的リスクを勘案し、▽未承認または、適応外の医薬品・医療機器を用いた臨床研究、▽医薬品・医療機器等の広告に用いられることが想定される臨床研究––とした。


被験者保護の観点からは、臨床審査委員会の重要性を強調。問題事案が発生した際の“歯止め”となるためにも、「研究デザインや統計解析などの科学的妥当性についても十分審査できる能力を有することが必要」とし、委員構成や審査内容などの要件設定を求めた。研究開始段階だけでなく、研究の途中段階での関与も促した。ただし、こうしたスキルのある人材に限りがあることから、「将来的には、地域や専門領域等に応じた倫理審査委員会の集約化を図っていくことが必要」であることも明記した。そのほか、有害事象発生時の速やかな対応や、臨床研究に関する情報公開も求めた。


製薬企業に対しては、資金提供などのさらなる利益相反(COI)の透明性確保を求めた。労務提供についても、「業界による行動指針等の策定が必要」と指摘。イノベーションの推進には産学連携が不可欠であることから、COIの適切な管理、公表により、国民の理解を深めることが必要であることも明記した。


一方、不適正事案へのペナルティーについては、研究者が属す研究機関や学会に対し、「厳しい姿勢で臨むよう、自主的な取り組みが求められる」とした上で、「行政当局は関係者に対して必要な調査を行うとともに、必要な措置を講じさせる等の権限を確保すべき」とした。ただし、直ちに法律に基づく罰則を課すのではなく、行政指導や改善命令等による是正を促した上で、なお改善が図られない場合に適用することを原則とした。


◎広告審査新たな枠組み導入へ 医療従事者による監視モニター制度も


一連の臨床研究不正で広告が薬事法66条の虚偽・誇大広告の禁止に抵触したことについても報告書では触れ、広告の審査に際しては、製薬企業、業界団体が透明性を確保した審査組織で審査を行うことを求めた。また、広告違反の端緒を幅広く把握するため、医療従事者による広告監視モニター制度を含めた新たな枠組みの導入の検討も示唆された。行政機関は、監視・指導体制の強化を図る。


報告書では、「一旦失った信頼を回復することは容易ではなく、制度を整備しても研究の現場が変わらなければ、その意味は乏しい」と指摘。日本の臨床研究が信頼を取り戻すために、「製薬企業等の産業界や行政等を含めた臨床研究にかかわる全てのものがそれぞれの果たす役割に真摯に取り組む必要がある」と強調した。


 

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