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厚労省・後発品検討会が報告書 業界再編へ「中核企業は業界団体通じてリードを」 GE薬協が決意表明

公開日時 2024/05/23 05:29
厚労省は5月22日、「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」の報告書を取りまとめた。報告書では、安定供給に向けて企業間の協業や連携など個々の企業の取組みだけでなく、「産業全体として、先を見据えた業界再編の機運を高めていかなければならない」と指摘。「業界の中核を担う自覚のある企業には、こうした動きを牽引し、業界団体を通じて業界全体をリードする役割も求められる」と強調した。業界団体の機能が適切に発揮されなかったとの指摘があったことも報告書に盛り込まれる中で、同日の検討会に出席した日本ジェネリック製薬協会の高田浩樹会長(高田製薬社長)は、「社会的責任を果たすとともに強い企業となり、リーダーシップを取っていきたい」と決意表明した。

「何よりも、国民に品質の確保された後発医薬品を安定的に供給するという産業全体の責任を果たさずして、後発医薬品が国民から真に信頼を得ることはあり得ない」-。報告書では、医薬品産業全体の課題をこう指摘した。

◎企業規模の成長優先で「少量多品目という中長期的に成り立たない産業構造に」

後発品80%目標が示され、右肩上がりの市場拡大が約束される中で、多くの企業が市場に参入。「中長期的な展望や足元での収益改善よりも目先の市場機会を捉えた企業規模の成長を優先して、多くの製品を投入した結果、少量多品目生産といった非効率な生産が広がり、少ないシェアで多数の同成分の品目が過当競争を行うという中長期的には成り立たない産業構造となった」と指摘。これにより、品質確保や安定供給が疎かになったとした。このため、「後発品の品質・供給問題は、問題を起こした企業の単独・一過性の問題ではない」と強調。後発品企業が先発品の製造を受託しているケースもあることから、「品質・安定供給にかかわる問題は、医薬品産業全体の問題」とした。

◎「社会的責任を果たしつつ、持続可能な産業構造を」 業界団体の機能に問題意識も

また、後発品企業にオーナー経営の企業が多く、株主など外部の目線が入りづらかったことや、日本ジェネリック製薬協会に加盟していない後発品企業も多く、「各企業の能力を補完し、産業として中長期的な展望を示す上で業界団体の機能が適切に発揮されなかったこと」、政府も将来を見通せずに産業育成への関与が不十分だったことにも課題認識を示した。こうした産業構造から脱却する必要性を指摘。「製造管理・品質管理体制の確保、安定供給能力の確保といった産業としての社会的責任を果たしつつ、持続可能な産業構造を目指さなければならない」とした。

◎大手企業も単独での対応には限界「規模の経済が動きやすい企業群へ移行を」

産業構造転換に向けては、「個々の後発医薬品企業による収益性の向上や品質・安定供給確保に向けた取組は必須」としたうえで、「大手企業においても単独での対応には限界がある。 後発医薬品企業の収益構造の改善のためには、過当競争状態を是正し、過度な低価格競争から脱却するとともに規模の経済が動きやすい企業群へと移行することが必要」とし、「産業全体として、先を見据えた業界再編の機運を高めていかなければならない」とした。

さらに、「業界の中核を担う自覚のある企業には、こうした動きを牽引し、業界団体を通じて業界全体をリードする役割も求められる」と言及した。このほか、低薬価などの課題も指摘される中で、「流通慣行の是正等による適正な価格による取引の推進」に向け卸や医療機関・薬局などの理解・支援も不可欠とした。

◎社会的要請に応え飛躍する将来ビジョン「自ら描いていくべき」

検討会で議論した“あるべき姿”については、「現下の問題を解決し、品質の確保された医薬品を安定的に供給するという医薬品産業としての当然の前提を果たすためのあるべき姿」と説明。この姿を達成した先に、バイオシミラーなど、「あらゆる創薬モダリティの後発品を低コスト・高品質で安定的に供給するという社会的要請に応える産業となるためのビジョンを提示することが次なる課題として残されている」と指摘。「それぞれの後発品企業、そして業界団体は、残された課題や後発医薬品産業に寄せられた期待を念頭に、さらに飛躍するための将来ビジョンを自ら描いていくべき」とも明記している。

◎5年程度の改革集中期間 「業界自らがイニシアティブを」

報告書では、後発品のあるべき姿として、製造管理・品質管理体制の確保、安定供給能力の確保、持続能な産業構造の3本柱の実現することが「ベースライン」と指摘。「徹底した自主点検の実施、ガバナンスの強化、個々の企業における安定供給確保体制の整備、生産効率の向上、企業間の連携・協力の推進を業界自らのイニシアティブで進めていくべき」とした。5年程度の集中改革期間を設け、実施すべき対策を整理したロードマップを速やかに策定、定期的にフォローアップすることが必要とした。

◎企業間の連携・協力の推進 「新法人設立で屋号統一」などのモデルも示す

対策の方向性として、柱の一つとして、「企業間の連携・協力の推進」が据えられた。長引く供給不安の背景にある後発品の産業構造として少量多品目生産による生産効率が低下することや、比較的中小規模で生産能力が限定的で増産の余力がないことを指摘。安定供給確保に向けて、一定の規模が必要としたうえで、「各企業において、企業間の品目統合やそれに伴う各企業での品目削除により少量多品目生産を適正化し、品目ごとの生産能力や生産規模を増大させ、採算がとれる生産体制を構築する必要がある」と指摘。また、「品目統合以外についても、製造部門、品質管理部門、営業部門、販売部門など様々な段階での企業間の協業により効率化を図ることが期待できる」とした。

協業の姿としては、「大手企業が他の後発 医薬品企業を買収し、品目統合や生産・品質管理を集約する等の効率化を実現していくモデル」、「後発品企業が事業の一部または全部について、他の企業に譲渡するモデル」、「ファンドが介在して複数の後発品企業や事業の買収を行い、統合していくモデル」、「複数の後発医薬品企業が集まって、新法人を立ち上げて屋号を統一化する形等により、品目・機能を集約・共有していくモデル」など、具体的に示した。

◎金融・財政措置など政府が企業の取組み後押しを 独禁法に抵触しない事例集で周知も

業界再編に向けては、「他産業での業界再編に向けた取組も参考にしつつ、金融・財政措置等様々な面から政府が企業の取組みを後押しする方策を検討していくべき」とした。品目統合のための情報交換や協業、企業統合などについて、独占禁止法に抵触する可能性があることを懸念する声があることから、厚労省で現行法の中で問題なく行える企業間連携などの具体例をわかりやすく示した事例集を作成し、業界に積極的に周知することも盛り込んだ。
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