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【World Topics】「共同意思決定」の時代

公開日時 2015/05/25 03:50

53歳のガブリエラは1年前に乳がんと診断され、手術の後10週間にわたる化学療法(ケモセラピー)を受けたが、最近の検査でがん細胞の残存がわかった。検査結果の説明の後、UCSFの主治医は、ガブリエラに「選択肢は2つです。部分切除の手術を受けて放射線治療を受けますか、全摘手術を受けますか、 どちらにしますか?」とたずねた。ガブリエラの返事は「私が決めるんですか?」であった。(医療ジャーナリスト 西村由美子)


専門医が患者に複数の治療方法を説明し、患者自身が治療方法を選択する。最近の米国の、特にがん治療の現場におけるトレンドだ。


治療方針は医師が決定するのではなく、医師は可能な治療方法を選択肢として示し、決定は患者自身にゆだねる:“Shared Decision Making(共同意思決定)”とよばれる、患者参加の新しい治療手順である。治療方法の選択は、患者自身が、自らのライフスタイルや価値観、さらにはそれらの優先順位にしたがって決めるべきだという考え方がその基盤となっている。


だが、必ずしも医学的知識の十分でない患者にとって意思決定は容易ではない。そのため患者の意思決定を支援するための特別プログラムも実施され始めた 。モデルケースの1つは、Shared Decision Making(共同意思決定)”に特化した研究プロジェクトを設置しているUCSFだ。


http://www.informedmedicaldecisions.org/tag/ucsf/


UCSFでは、医師は患者に書く治療方法のメリットとリスクを説明するだけでなく、患者の優先順位についてヒアリングするよう義務づけられている。さらに患者は、帰宅後あらためて一人でよく考えることができるよう、家族等に相談できるよう、治療方法の選択肢の説明が掲載されたDVD、パンフレット、オンラインのリンク情報等を受け取る。


40代で夫と死別し、シングルマザーとして子どもを育て上げたガブリエラは乳房全摘手術を選んだ。「孫たちの成長を見届けたいから」というのがその理由。共同意思決定についての感想は「当初は恐ろしいと思いましたが、自分で選べたことに満足しています。それに、まるで先生や看護師さんたちの治療チームの一員になった気分です」であった。

 

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